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エスカレーターの狭間で…… 第2話  恥辱ステージへの誘い

























【第2話】



「あ、あの……そういうのはちょっと……」

目尻がちょっと下向き加減の瞳が、困惑したように左右に泳ぎだしている。
俺は、階段を上る物好きがいないことを確認して、怜菜ちゃんの耳元で囁いた。

「いや、年を聞いたのは、まあ、冗談だけどさぁ。そのぉ、見えちゃってるよ。怜菜ちゃんのパンティ。ずばり、黒でしょ。ついでにブラジャーも」

「えっ?! や、やだぁっ、そんなぁっ!」

怜菜ちゃん、は1オクターブ高めの声をあげるとお尻に両手を当てた。
そのまま、エスカレーターと接している壁際まで飛ぶように移動した。

「その作業着、夏用だから生地が薄いんじゃないのかな? だから、ちょっと屈んだだけで透けちゃってるんだと思うけど」

「どうしよう? それじゃ私、ずっと……?」

俺は同情するように深く頷いて……

「たぶん怜菜ちゃんのパンティを、たくさんのおじさんたちが覗いていったと思うよ。まあ、俺もだけどね」

そう言うと、ピタリと閉じ合わされた彼女の股間を見下ろした。

「い、イヤッ、みないで。見ないでください」

ここが地下街の入り口だということも忘れて、怜菜ちゃんは大粒の涙を浮かべた。
その足元には、寂しそうにモップが転がっている。
それを健康オタクなのか、初老のカップルがジロリと睨んで俺を抜き去った。

まずいなぁ。このままだと俺が何かしたと勘違いされちまう。

「ま、まあ、恥ずかしいのは分かるけど、いつまでもこうしている訳にはいかないだろう? ところで怜菜ちゃんは、この仕事長いの?」

俺の問いに、彼女は首を大きく横に振った。

「いえ、今日が初めてなんです。大学の同級生が体調を崩しちゃって、取り敢えず私が代役で」

「ふーん、怜菜ちゃんは女子大生かぁ。で、その子とは仲がいいわけ?」

俺の問いに、また彼女は首を大きく横に振った。

「いえ、たまに挨拶を交わすくらいで」

「へえ、そうなんだ。だけど、どうしてそんなバイトを引き受けたりするの? そんなの放っておけばいいだろ」

「だめなんです、私。頼まれたら嫌と言えなくて」

おいおい、こんな絶滅危惧種がまだ存在してたとは……
俺は彼女に同情の顔を見せながら、舌舐めずりした。

「う~ん、どうしたもんか……? 他の色なら……でも白でも透け具合は一緒だし、まあ、Tバックならパンティラインが出ないとか聞いたことがあったような……」

「Tバックって、そんな……第一私、替えのパン……ううん、下着なんて持ってません」

涙声だった。
顔を真っ赤に染めた怜菜ちゃんが、半泣きの表情のまま俺を見上げている。
背中を壁に押し付けて、両手を股間の前でクロスさせて。

「でも参ったなぁ。俺だってお仕事で忙しいんだけどな。この付近にランジェリーショップなんてなかったと思うし、でもこのままだと怜菜ちゃん。恥ずかしくて仕事にならないでしょ?」

俺は難しそうな顔をして頭を掻いた。
前半の言葉はほとんどウソだが、後半は真実と俺のスケベ心が、新たな愉しみの伏線を仕掛けようとしている。

「どうする? どうせ怜菜ちゃん、アルバイトなんだし。だったらこんな仕事放り出して、隣の駅前までTバックのパンティを買いに行く? まあ、なんだかんだで2時間くらい掛るかもしれないけど」

「で、できませんっ! そんなお仕事を途中で放り出すなんて! それに、後30分くらいで見回りの人がチェックすることになっているんです」

案の定、怜菜ちゃんは喰い付いてきた。
そう、おとなしそうな割には、この子は責任感が強い。
これでも営業畑15年。こんな小娘の心理を読むなんて簡単簡単。

「だったらどうするかなぁ? まあ、下着を脱いじゃえば透けることもないだろうけど」

「えっ……下着を……ですか?」

怜菜ちゃんが哀しそうな顔で俺を見る。

「そう。ノーブラ、ノーパンで。ちょっと恥ずかしいかもしれないけど、これだったら、透け透けの黒いパンティとブラジャーを覗かれないで済むと思うけどね。それとも、恥ずかしいのを我慢してお仕事を続ける? まあ、おじさんたちはその方を応援するけど」

「い、イヤです! そんなの……でも下着無しなんて……」

声がしだいに小さく細くなっていく。
ここは一気に……

「あのさぁ、悩むのも分かるけど、時間は待ってくれないよ。玲奈ちゃん。どうするの? トイレならこの階段を下りた所にあるから」

指先までピンと伸ばして、階下にある女子トイレのマークを指し示す。
その指先を追うように、帽子の下の視線が後を追い掛けていく。

「……わかりました。脱いで……来ます」

観念したように、玲奈ちゃんが弱々しく呟いた。

「ごめんなさい、おじさん。背中、ガードしてくれますか?」

「ああ、いいとも」

モップを壁に立て掛けた彼女は階段を下りていく。
チラチラと後ろを気にしながら、両方の手のひらをお尻にあてがい、俺の視線さえシャットアウトする。

まあ、いいさ。お愉しみは後に取っておかないとな。
それに自分に降りかかった突然の不幸と、これから始まる更に恥辱的な行為を思えば、多少の同情もまたありかな。

俺はトイレの通路へと消えていく作業着の女の子を見送り、目の位置を上にした。
モップだけが取り残された踊り場と、それに続く階段。

ふふふっ。まるで宝塚の劇場みたいじゃないか。
ただし、恥辱のショータイムの場としてだが……