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闇色のセレナーデ 第15話  恥辱プレイの身だしなみ


























【第15話】




(しまった!)と思った時には遅かった。
性欲に取り憑かれた二人組は、踏み切り板からダッシュするように姿勢を前傾させる。
弾けるように飛び出した。

「逃げろ! 千佳!」

卓造は声の限り叫んでいた。
露出調教がご破算になったって構わない。
和也の失望を買って自分がどうなろうとも、それでも構わない。
本気でそう思って……

千佳がこちらを振り向いた気がする。
けれどもダッシュした男二人に割り込まれて、更に千佳とその男達の間にもう一人の影が……?

「おい、ジャマなんだよ!」

男の一人がキレる声を上げた。
けれども立ち塞がったマスク男は、カメラをぶら下げたまま平然としている。

「なんでだ? どうして、アイツが……?」

黒いサングラスに口を覆うマスクという異様な男の出現に、大学生風の二人連れが動揺した。
その出で立ちのまま、マスク男が棍棒のような腕を振りかざして……

「ひゃぁっっ!」

衣を引き裂くような、女でも出せない高音域ボイスで悲鳴が響いた。
先頭に立つ男が瞬時に回れ右を実行し、二人目の男が狭い段差を踏み外す寸前で、Uターンを決行する。
後は負け犬のように退散するのみ。
電車に乗ることも忘れて、入ってきた改札口を逆向きに飛び出していった。

「驚いたでしょ、おじさん? この人は藤波さんと言って、わたしのボディーガードをしてくれているの」

「ボディーガード?」

電車のホームフロアーで千佳に紹介されたのは、撮影係兼監視役として尾行していた男の正体である。
身長175センチはある卓造より、更に10センチは高いそのマスク男を改めて見上げてみる。

「この藤波さんは可哀想な人なの。妹さんがいるんだけど、難病で子供の頃から入院していて、1ヶ月後にアメリカで手術する予定になってるの。でもその費用が1億円くらい掛りそうで……」

「要するに、村越技研副社長の和也がその金を用立てる代わりに、千佳ちゃんと俺の撮影係兼監視役をやらせていると」

「そういうこと。あと、何かあった時のためのボディーガード役もね」

千佳が2度も口にするということは、監視役よりもボディーガードの役目の方が比重大ということだろう。
確かにスーツの上からでも実感できる分厚い胸板は、柔道か何か、格闘技を経験しているのは間違いなさそうだ。

「藤波竜也と申します」

卓造の前に向き直った男は、身体に見合った低めの声で名を告げるとサングラスとマスクを外した。

「あ、あぁ……佐伯卓造です……よろしく」

いかつい身体付きをしているのに、現れた素顔は美男子だった。
切れ長の瞳には、キラりと光る星まで浮いているようである。
少女マンガに登場する白馬の王子様と言えば、持ち上げすぎだろうか。

(もしかしたら、千佳ちゃんは藤波のことを? だとしたら、俺と千佳ちゃんが……そのだ、セックスしたり、今もこんなハレンチなことをさせたりして、それでも平気なのか?)

卓造より遥かに若い20代半ばの青年に、複雑な感情が持ち上がってくる。
年甲斐もなく開花させ始めた恋心に水を差されたような?
でも、それで良かったような?

「あ、電車が来るわよ。藤波さん、撮影をお願いね。ほら、おじさんはぼぉっとしないの。行くわよ」

だが中年男のハートが感傷に浸る間はないらしい。
テニスウェアから伸びやかな肢体を晒した千佳が、気合を付けるようにほっぺたを叩くと、銀色の車輌に乗り込んでいったのだ。



車内は意外と込み合っていた。
横座りの席は全て埋まり、座席と同等の人数が吊革にもぶら下がっている。

卓造は千佳に寄り添うようにして、ドア横のスペースに身体を預けていた。
藤波はというと、1メートルも離れない近距離から片腕を吊革に通したままカメラを構えている。

乗り合せた乗客の目がチラチラとこちらを覗うのは、やはり目立ちすぎる千佳の衣装のせいだろうか?
それとも再びマスクとサングラスを装備した藤波の、堂々とした撮影っぷりにだろうか?

「おじさん、わたしの方はいつでもいいからね」

そんないたたまれない空気が漂うなか、千佳がそっと囁いてきた、
『いつでもいい』とは何を指しているのか。
その答えをポケットの中で握り締めている卓造は、ぎこちなく頷いてみせた。

「操作する時は、ちゃんとポケットから取り出してお願いね。カメラに映らないと意味がないから」

「分かった。そうするよ」

気付けば、卓造と千佳。それに藤波の周辺から人の気配が消えている。
半円を描いたように、男も女も年寄りまでもが遠巻きに見守っている感じである。

卓造はズボンのポケットに手を突っ込むと、楕円形の形をした物体を2個取り出した。
それほど大きくはない。
二つ同時に握り締めても、手のひらから食み出ない程度のモノである。

(千佳ちゃん、すまない)

ピンク色と、青色。
手のひらの中で転がしながら卓造は青色を選択すると、滑らかなボディに埋め込まれたスライドボタンを押した。

カチッ……! ヴゥーン、ヴゥーン、ヴゥーン……

「ひくぅっ……んはぁっ……」

銀色の握り手を掴んでいた千佳の身体が、ビクンと反応した。
それと同時に、車体の底で呻りをあげるモーターとは別個な低い器械音が、卓造の真ん前から響いてくる。
千佳の下腹部から。

「はぁ、ああぁ……もうひとつのも……うぅ、早く……」

「分かった」

白いウェアを震わせながら、千佳が更に要求する。
卓造は口に溜まった唾を飲み干すと、ピンクの物体に人差し指を乗せた。
スライドスイッチをONにする。

カチッ……! ビーンッ、ビーンッ、ビーンッ……

「ひゃぅっ! や、はぁ……あぁ、お腹の中で動いてぇっ……あぁ、ふぁぁっ……」

低くて耳障りな器械の音に、甲高くても耳障りなモーター音がミックスされる。
背中の震えだけで済まなくなった千佳が、悪寒が走ったように全身の筋肉を硬直させる。
それでもガマンならないように、ブルブルと揺らせた。

そういうことである。
卓造が操作する楕円形のリモコンによって、千佳の下腹部を貫いている2本のバイブが卑猥な運動を開始したのだ。







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