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闇色のセレナーデ 第14話  羞恥調教の身だしなみ


























【第14話】




「待たせたわね。さあ、行きましょうか?」

目立つ格好の割には影のように潜むマスク男に、千佳が気安く声を掛けた。
卓造はお役御免とばかりに、ハンディカメラをその男に押し付けていた。

「それで千佳ちゃん、これからの予定は?」

「電車に乗るわ。今から終点の駅まで行くのよ」

卓造の呟く問い掛けに、千佳は真っ直ぐ前を向いたまま答えると、化粧品売り場のコーナーを縫うように歩いて、駅の構内に繋がる出入り口を目指している。

「やだ、あの子ったらクラブ活動の帰りかしら? ユニフォーム姿でなんて」
「ホントね。たぶん、お手洗いでも借りに来たんじゃないの? 駅のトイレは不潔だから」


黒色でまとめられた化粧品コーナーに、千佳の白く輝くテニスウェアはひと際目だっている。
人生の折り返しをとっくに過ぎた中年マダムのやっかみもあるのだろう。
手のひらを口に当てて囁く会話には、嫌みなモノが垣間見えている。

「辛くないのか?」

「ん? それってバイブのこと? だったら全然平気よ。まだ動いてないもの」

卓造は千佳の足元に目を落としていた。
口では平静を保っているが、身体の方はウソを付けない体質らしい。
スコートから覗く太股の筋肉が、小刻みに痙攣している。
歩くたびに2本のバイブが捩れて、デリケートな肉を刺激しているのは間違いなかった。

切符は卓造が買いに走った。
背後からマスク男が撮影しているが、いちいち細かい事まで気にはしていられない。
何といっても、千佳にとって最初の試練が待ち構えているのだから。

「千佳、こっちだ。エスカレーターなんか使うなよ。階段を昇ってもらうからな」

卓造が仰々しい声を上げた。

「は、はい……分かりました、おじ様」

千佳は恨めしそうにエスカレーターを見やった後、消え入りそうな声で返事をする。

(千佳ちゃん、こんな感じかな?)

(OK、おじさん。この調子で頑張ってね)

その上で、けっしてカメラが拾わない目と目の会話を二人は成立させる。



「ちっ、いったい何段あるんだ?」

卓造は立ち塞がるようにそびえ立つ階段を見上げた。
中年サラリーマンの常套手段。
中央の階段を挟むようにして設置されたエスカレーターを利用する身にとって、それは別世界のように初めて見る光景である。

既に千佳は、その階段を昇り始めていた。
健康自慢な年寄りに息を切らせながら追い抜かれても、それどころではない。
1段1段、足をふらつかせながらも這い上っていく感じである。

(やっぱり、見えちまっているよな)

スクールバッグをお尻にひっつければ、多少隠せるかもしれない。
けれども、そんな普通すぎる女子学生では、和也を満足などさせられない。
これは、公共施設を利用した羞恥調教なのだ。
千佳から5段分後ろに立つ卓造は、スコートの下から覗く彼女の股間を目の当たりして、そう自分に言い聞かせていた。

「お、おい! アレを見ろよ」
「んん? なんだよ……あ! すげえな……」

早速気付かれたようだ。
卓造の背中で声を潜めた会話が聞こえた。

そして会話の主である大学生風の二人連れは、卓造の事を先客と思ったらしく並びかけて軽く会釈した。

その間も千佳は、地獄の階段を昇り続けている。
太股どうしを捩り合せて極端な内股のまま、ようやく中間ポイントまで辿り着いていた。

「どう見ても、パンティーを穿いてないよな? お尻の割れ目が丸見えだもんな」
「と言うよりさ。あの尻から突き出してんの、バイブだろ? アナルバイブってやつ」
「いや、お尻だけじゃないような……? 今、チラッと見えたけど、アッチの穴にも刺さってるんじゃねえの? バイブ」
「アッチの穴って……? オマ○コのことかよ。ということはさ、前と後ろ2本刺しじゃん。変態だね」
「だよな。わざわざテニスウェアまで着て、目立つ格好でさ。変態露出狂って奴だよな。はははっ」

押し殺して始まった二人の会話は、次第にボルテージが上がっていく。
階段を昇るには不自然なほど腰を曲げて、下から覗き上げているのだ。
ノーパンの上、ヴァギナとアナルをバイブで貫かれた卑猥な千佳の下半身を。

(くそ! こいつら、好き勝手に言いやがって)

腹の中から、どうしようもない怒りが込み上げてくる。
スローモーションの足取りで昇る二人連れを、突き落としたい衝動にかられた。

(落ち着け! 冷静になるんだ!)

卓造は消えかけた理性を呼び起こすと、二人の男以上に腰を低くした。
真正面から覗ける特等席は俺のモノだというように、自慢げな顔をしてみせる。

「んんっ……見ないでぇ……お願いだから、のぞかないでぇ……はぅっ」

残り5段を残して、千佳が哀しい声を吐き出した。
スクールバッグを引きずるように持ち上げながら、耐え切れないように腰を震わせている。

「見ろよ、お尻の肉がヒクヒクしてるぜ。覗かないでって言いながら、感じてるんじゃないの」
「ああ、そうだよな。バイブをマンコとケツの穴に突っ込む変態だから、濡れ濡れだぜきっと」
「ふふふっ。ということは、俺たちと……?」
「だよな。声を掛けたらきっと……」

男達の会話が良からぬ方へ進展していく。
その男達の下半身を誘っているかのように、千佳の腰振りダンスが激しくなる。
足を1段持ち上げるたびに、張り形と化したバイブが恥肉を刺激するのだろう。
膣腔と直腸にクロスするように挿入されたソレが、過敏な粘膜を抉っているのかもしれない。

「ふぁ、はぁぁ……」

千佳が最後の一段を越えた。
安堵感より悩ましさを優先させた溜息を吐くと、小水でも催したかのように肩が背中がガクガクと揺れた。
つっかえ棒のように飛び出たアナルバイブがスコートの裾を浮き上がらせて、それがヒラヒラと舞っている。

「もう、限界だぜ!」
「おい、待てよ。抜け駆けはナシだぜ」