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軽トラックに乗った白馬の王子様 軽トラック少女編  第二話



  
                                          


【第二話】



軽トラック少女は切々と己を語り始めた。

「あたしを救ってくれたのはお前さんじゃ。
生まれてすぐに親元を離されたあたしと、あたしと同じ境遇の子達。
皆、死ぬまで奴隷の身として売り払われていく。
どうせ安い命と軽んじられ、その身が朽ちるまで延々と酷使が続く。
それでも一般的には奴隷のあたし達は長く生きる。
頑丈に生まれた我が身を怨みながら――なのかもしれん。
その点、あたしは幸せだった。
あたしを買い取った人物が、あたしを可愛がってくれたからのぅ。
長く生きてみるものじゃな。
まさか人語を使い、お前さんと話ができる日が来ようとは」
「お前がそんな風に人の姿をして、ナース服を着て、話ができるようになったのは、どうしてなんだ?」
「なぜだと思うん?」
「ここ最近、この軽トラックからはいろいろと不思議で、幸運な体験をさせてもらっていたから、今回の出来事もその中の一つなんじゃないかと思ってるよ。
お前は生まれて30年になる。
猫は30年生きると、猫又っていう妖怪になり、二足で立ち、人語を話し、妖術を操るというから、お前もその類いなんじゃないかと考えているんだ」
「ほほぅ」

しかし軽トラック少女はクロスチョップのように両腕で大きく×字を作った。
そしてケタケタと笑った。

「なぜあたしがナース姿をしておる?
なぜお前さん好みの可愛い子の姿をしておる?
あたしはお前さんの考えなぞお見通しや。何度も使い回したその理屈とて知らぬわけなかろう? ならばあたしがせっかく謎問いした解が、その理屈のわけなかろうが、お前さんはアホやなぁ」

なんだか高額な費用を支払って車検を通してやったことを後悔したくなってきた。
つい先月、あまりにオンボロすぎて車検費用に22万8300円も支払ったというのに、廃車寸前のオンボロ軽トラは恩を仇で返すように高笑いしてくれやがった。
軽トラックから軽トラック少女を蹴落としたらどうなるんだろう?
僕の中に黒い想像力が新たに湧いてきていた。

「だが、当たらずといえども遠からず、じゃ」
「ちゃんと説明して欲しいところだな」
「ダメじゃ、まだ言えぬ」
「まだ?」

すると軽トラック少女は遠くを見遣りながら、下腹部を優しく撫で始めた。
まるで妊婦が、その腹の授かり子を秘密にしなくてはならなく事情があって憂うような横顔。
そんな顔を見せられたら男の僕にはそれ以上の詮索ができなくなってしまうのだった。

――
――

さて、旅の話に戻ろう。
着の身着のまま、風任せのぶらり一人旅にお供するのはナース姿の軽トラック少女。
最後の旅よと語る軽トラック少女に行きたいところはあるのかと訊いてみると、高速道路を走ってみたいというので東北道を南下して首都高で迷子になりながら、東名高速を走って名古屋へ向かった。
オンボロ軽トラックで高速走行したのではぶっ壊れるんじゃないかと心配したが、当の軽トラック少女はご機嫌だったので、たぶん大丈夫なんだろと思ってアクセルを踏み続けた。
まぁ実際には水温計が上がりまくるので各サービスエリアに立ち寄って、休憩を入れながらだったけれど。
軽トラック少女は軽トラックから離れることもできるらしく、サービスエリアに着くと物珍しげに走り回る子供のように僕の手を引いて、振り回してくれた。
鉄屑四輪と自分を卑下する軽トラック少女ではあったけれど、その手はまるで本当の少女のように温かく、場違いにナース服なんか着ているのだから周囲の視線を集めた。
当然、ナース服を着ているのは軽トラック少女だけ。
駐車場に軽トラックを並べているのは僕らだけ。
けれどそれがなんだ。
どうせその場限りの行きずりの人、旅の恥はかき捨てとは言ったもので、なんだか周囲から好奇の視線を向けられれば向けられるほどに旅をしている気分が昂じるのだ。

「旅とはこんなにも楽しいものじゃったか。
いつもは近場をグルグル巡っているだけだったからな」

皮肉をこぼしながらご当地料理を豪快に食べ漁る軽トラック少女。
二人で都会の夜景を遠くに眺めながら、僕は軽トラック少女に笑われて否定された持論を思い出す。
軽トラック猫又化説――30年生きた猫が猫又という妖怪に生まれ変わり、二足で立ち、人語を話し、妖術を使うという。
初年度登録から30年経過した軽トラックも同じく妖怪の類いに本性を変えてしまったのではないか。
まさか少女の姿となって現れるとは思ってもいなかったけれど、これまでに軽トラックにまつわる不思議な出来事だって、その説で一応の納得はつくのであるが。

「さぁ風が冷えてきたようじゃな、車に戻ろう」

すっかり水温計が下がった軽トラックの助手席で、軽トラック少女はまた下腹部を優しく撫でる。
そのお腹に預かり子を宿しているのか、食べ過ぎなだけなのかは、今もわからない。




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