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エロウォーキング  その1























(5)


9月 8日 月曜日 午後2時 早野 有里



「さぁて、有里様にはなにをしてもらいましょうか?
う~ん……そうですねぇ……」

副島は、あごに手を当てて考えるポーズをしている。

「……う、う~ん……」

でも、それってパフォーマンスに決まっている。
わたしは、そう思って横沢さんの姿を探した。

……やっぱり。

彼は砂浜の上を歩きまわり、足を使って長い線を引いていた。
それが終わると、今度はビデオカメラの準備に取り掛かっている。
砂浜の上で涼しげに思案を続ける副島の横で、文字通り汗まみれになりながら行為の下準備を黙々と続けている。

横沢さんもよくやるわね。
こんな最低の男の、最低の指示に毎回従っているんだから。
こんなことやらされて、この人、不満とかストレスとか溜まらないのかな?
ううん、それ以上に男としてのプライドとかあるのかしら?

わたしだったら、こんなの絶対無理ッ!
いくらお仕事だといっても、人の道に外れるのはどうかと思う。
当然わたしみたいな健気な美少女をイジメルなんて、論外だよって、横沢さんに一度言っておく必要があるかも。

……あっ、カメラのレンズをこっちに向けてる。
わたしの水着姿を撮影してるんだ。

……やっぱり恥ずかしいよ。
横沢さん。お願いだから、カメラ向けないでよ。



引き続きわたしは、前屈みのまま前と後ろを手で隠して、唸り続ける副島の言葉を待っていた。
さっきまでエロ水着の撮影をしていた横沢さんも、暇そうに感情のない目で海を眺めている。

それにしても、一体いつまで待たせる気だろう。
早くしないと、こんな変態みたいな格好、誰かに気付かれちゃうのに。
……というか、これも副島のいやらしい作戦なのかな?
うん、きっとそうに決まってる。

こうして、恥ずかしい有里の水着姿を晒し物にする気なんだ。
ああ、そういうことね。
これが罰ゲームだったんだ。副島の言ってた「お仕置きとかいう…」
だったら恥ずかしいけど、もう少しの間我慢すれば……
わたしは、横沢さんの存在も砂浜のラインのことも、全部頭から消し去った。

そして……

「有里さんのお仕置きが決まりましたよぉー♪」

副島の甲高いハスキー声が砂浜に響いた。
同時に、わたしは思った。

この人には、ひとつだけ感心する特技がある。
落ち込んだハートに希望の光を覗かせて、ベストなタイミングで釘を刺せる……
うん、これってなかなか出来ない技だと思うよ。
……普通の人間ならね。

「……取りあえず、砂浜を歩いてもらいましょうか。
ちゃんと、姿勢を正してお尻を振りながらね……」

副島は、わたしの顔を覗き込みながら事も無げに言った。
そう、微かな希望に勝手にすがったわたしがバカだった。
この男がどういう性格か、嫌というほど知っていたのに。

わたしは自分を納得させると、砂浜に引かれた線を目で追った。
続けて、ラインの中間ポイントに陣取る哀れな横沢さんにも……

「出来ないと言っても、どうせやらせるんでしょ。
……やるわよっ! ……やれば、いいんでしょっ!」

どうせこの人は、どんな理由を付けてでも、やらせるつもり。
だったら、こんな恥ずかしいこと。さっさと片付けよう。

わたしは副島が指示した位置に立つと、言われたとおり背筋を伸ばした。
でも、身体を伸ばしたことで、水着の生地が限界まで引き伸ばされる。
信じられないくらいに、股間に水着が喰い込んでいる。

……恥ずかしくて……痛いッ……!

「……くぅっ……!」

小さく声も漏れてしまう。

これって、締め付けられた身体の悲鳴かな?
それとも、羞恥に襲われる心の悲鳴なのかな?

でもこんな事、どうってことないんだからっ!
負けないんだからっ!

わたしは自分の心に喝を入れると、右足を一歩前に踏み出した。
焼けた砂の中に素足が沈み、足の裏が火傷するって泣いた。

大丈夫よ、有里……頑張れ、有里……

何度も念じながら、一歩一歩と両腕と両足を動かした。

「ほらぁ、お尻振り振りを忘れていますよぉ。
出来ないのなら、最初からやり直させますよぉ」

「わかっているわよ。……ううぅぅっっ……」

言い返したからって、ぎこちなく手足を振るのが精いっぱい。
どんなに命令しても腰が知らんぷりする。

「仕方ありません。一往復で勘弁してあげようと思っていましたが、そんな態度をとるのでは、もう一往復追加してあげましょうねぇ。
まあその間に、身体が覚えるでしょう。エロイ歩き方をね……クックックックッ……」

どうしよう? ホントに追加されちゃった。
このままだと、こんな情けない姿を誰かに見られちゃうよ。

わたしは一旦、手足の動きを止めた。
そして浜辺に点在する人たちを、ひとりひとり目で確認する。
一人、二人、三人……十二人……
その中で、ここから一番近い人で100メートルくらい。
あの感じだと、わたしたちには気が付いていないのか、それとも興味がないのか……
とりあえず、視線はこっちに向いていない。

……今しかチャンスはないかも?

大丈夫、有里……頑張れ、有里……大丈夫、有里……頑張れ、有里……

口の中で、新しいオマジナイを自分自身に掛けてみた。
掛けながら、もう一度手足を動かしてみた。
ついでに腰にもお願いした。お尻を振ってっと……

「ふーん、やれば出来るじゃないですか。
それじゃあ、もう2往復追加して、4往復ほどエロウォーキングを続けてもらいましょうか。有里様」



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