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涼風の御霊よ我に力を……























(19)
 


「では約束通り、まずはこの社を焼き払ってくれようぞ! ものども、準備はよいな?」

牛頭をした鬼、阿傍の揚々とした声が建物の中にまで伝わってきた。

「あなた、このままだとお社が……?」

「ふっ、心配するでない三鈴。先ほどの天上神との契約の際、この件も伝え申した」

お父さんが諭すようにお母さんに話している。
でもなぜかな? わたしにはお父さんが自分自身を諭しているように感じるんだけど。

「かかれいッ!」

(ウガァァァァッッ! グゴォォォォッッ! 燃えろ燃えろ燃えろぉッ!)

突然、地鳴りのような呻き声が建物の外から聞こえた。

阿傍の指揮でお社への一斉放火が始まったみたい。
ちょっと見てくるわね。

わたしは扉板をすり抜けるとふわりと飛んだ。
触れたって火傷しないのに、放射される炎を避けながら桧皮葺の大屋根の上まで舞い上がっていた。

バチッ……バチバチバチ……バチッ!

そんなぁ。こんなことって……?!

視界を遮る大量の火の粉とゆらゆらと揺れる大気。
本殿だけじゃない。境内も山門もわたしたちが暮らしている母屋も。
みんなみんな、炎の渦に飲み込まれている。

山門の外側では2列に並んだ100体くらいの鬼の頭が、口から紅蓮の炎を吐き出しているのが見えた。
なにか大声で喚きながら、阿傍が片手を振り上げている。

いくらお父さんが大丈夫って言っても、これじゃわたしたち焼け死んじゃう!
涼風のお社も全焼しちゃう!
早く消防車を呼ばないと……だけどなんて言えばいいのよ。
まさか、魔モノに襲われて火事ですって……多分信じてくれないよね。

「ぐぅぅっ、こしゃくなぁッ! なぜだ?! なぜ焼け落ちんッ!」

でもどうしてかな?
炎に包まれたお社を阿傍が憎々しげに見上げている。

確かに、これだけの炎を浴びせかけられているのに、涼風のお社は未だに無傷なんて……?
それに、そんなに熱くも感じない。というか全然平気かも。
これがお父さんが話してた、神様との契約ってこと? 天上神様の力なの?
だったら、どうしてわたしたちにこんな酷い試練を…… 

「阿傍よ、ちと苦戦しているようだな」

「くそぉッ。どういうわけか、燃え広がらんのだ」

「うーむ。これはおそらく結界。
封魔護持社を守らんがため四巡の奴、天井神となにやら契約を結んだのやもしれん」

「ならどうする羅刹?」

火力の落ちてきた鬼の頭を殴りつけながら、阿傍はあごに手を当てる羅刹を横目で睨んだ。

「ふふっ、ならば知れたことよ。本殿に引き篭もるあ奴らに見せてくれようぞ。
我らの業火に包まれる己が街の姿をな!」

地鳴りするような羅刹の声。そして眼下に広がる夜景を見下ろしている。

これって、お父さんとお母さんに聞かせるために?
ふたりを本殿からおびき出すために?

卑怯よっ! 鬼のくせにもっと正々堂々と戦えないのっ!
って、それどころじゃないんだ。急がないと。

「あなた、このままでは街が炎に……」

「うむ、そのようなこと言われなくても分かっておる。
しかし、我にもお前も霊力がほとんど残ってはおらぬ。
このままでは、犬死するが必定。何か手立てを……」

わたしが本殿へ戻るまでもなく、ふたりの耳にも羅刹の声は届いていたみたい。
お父さんは目を閉じたまま天井を見上げ、お母さんは思い詰めた表情で床を見つめている。

「あなた……ひとつ策がございます」

しばらく続いた静寂を破るようにお母さんが呟いた。
でもその顔色は白色を通り越して真っ青になっている。

「観鬼の手鏡を……
魔を砕くあの鏡には我ら人には扱えない霊力が蓄積されていると聞いたことがあります。
そう、始祖鬼巡丸と共にした巫女、涼風の御魂がこの中に」

「三鈴、そのことを誰から?」

「今はそれを説明している暇はございません。さあ、早く手鏡の霊力をその剣に」

「だが、そんなことをすれば三鈴。お前の命が危ういものになるやも知れんぞ」

「それでも構いません! もうすでに覚悟はできております」

お母さんが胸の前で、観鬼の手鏡を抱いた。
逃げるときになんとか拾い上げた白衣を肩に掛けただけの姿で、お父さんを見つめた。
その瞳で決断を促した。

どういうこと? 命が危ういってどういうことなの?
まさかお母さん、自分の命を賭けて……?!

イヤァァァッッ、そんなの絶対にダメェェッッ!

わたしはお母さんに抱きついた。
抱きつきながら向い合せに座るお父さんをすがるように見上げた。
『そんな恐ろしいこと、お父さんは絶対にしないよね』ってお願いしながら。

「どうした四巡ッ! 出て来ないなら仕方あるまい。街に火を放つぞぉッ!
ものどもぉッ、準備はよいなぁッ!」

そんなわたしの気持を羅刹の声が踏みにじる。
そして、お父さんがお母さんに負けないくらい顔色を青くして頷いた。
手にした剣の刃先を手鏡の中心に添えた。

「覚悟はよいな、三鈴」

「ええ、あなた……」

ダメェェッッ! しちゃダメェェッッ! イヤァッ、イヤイヤイヤイヤ……イヤァァァァッッ!!

剣が鏡の中へと吸い込まれていく。
音もなく静かにそれが当然の姿のように……

鏡から溢れる光の放射線がお母さんを照らした。
刃を突き立てるお父さんを照らした。

お母さん、優しい目をしている。優しい笑顔をしている。
お父さんの剣を受け入れながら、眼尻が垂れて緩んだ頬のまま唇を動かした。
細い声で囁いた。

「神楽、元気でね……」って。



目次へ  最終話へ





かすかな希望……詠唱の果てに……























(18)
 


地響きする羅刹の号令の元、お母さんを犯す憎い鬼が腰の動きを更に加速させる。
肌を埋め尽くす肉棒も自分で自分を刺激して、射精する体液で全身を満たしていく。

お母さんは意識を失っているのかな? ピクリとも反応しない。
でもこれで良かったのよ。きっと……
そして、わたしもまた傍観者のように、投げ出された肢体に群がるおぞましいモノを眺めている。耳を澄ましながら。

そんな地獄みたいな世界を、阿傍と羅刹、2体の鬼が見下ろしては牙を剥き出しにして笑った。
お供の邪鬼たちも、耳を閉じたくなる野次を浴びせては喚声を上げた。
全ての目線が待つもの。
それは抵抗を封じられた女体を覆う、禍々しい鬼たちの精液。
それが一斉放出される瞬間。

でも、誰も気付いてなんかいない。
山門奥深く、本殿外陣の開かずの扉板が音もなく開いたことに。
お父さんが……輪廻の霊媒術師が詠唱を続けていることに。
低く囁く小河のせせらぎのようなメロディーに……

じゅちゃッ、じゅちゅッ、じゅちゃッ、じゅちゅッ、じゅちゃッ……

真っ赤に腫れあがったお母さんの割れ目。
そこから引き抜かれる巨大な肉棒。
恥ずかしいお汁が大量に糸を引いて垂れ落ちて、トドメのように鬼の腰が高々と持ち上げられた。
その他の邪鬼たちも、それに倣うように自分の肉棒をパンパンに張り詰めさせる。

(いよいよじゃあ、このひと突きで涼風の巫女も我らの傀儡よ)
(そうなれば、毎晩宴じゃな。あの女を餌にして)

「やれいッ!」

邪鬼たちがザワメキ、羅刹が短く叫んだ。
仕掛け人形のように、鬼の腰が大きく沈みトドメを刺そうと肉棒を押し出した。
先端が割れ目のヒダに押し付けられ、喰い付こうとしたその時?!

「はあぁぁぁッッ! 闇夜裂光!!」

闇を突き破るようなお父さんの怒声。
頭上高く突き上げられた隠滅顕救の剣。
その刃身が力を取り戻したように眩く輝き、そして全てが光に包まれていく。飲み込まれていく。

「うぐっ、な、何? 何の光だこれは……?!」
「見えんッ! 何も見えんッ?!」

2体の鬼が初めて口にする狼狽の叫び声。
その声は瞬く間に伝染して、お供の鬼はもちろん、散々お母さんを辱めた鬼たちまでもが一斉に四散する。
闇を求めて這いずりまわっている。

「三鈴っ! 三鈴っ!」

その隙を突くように、呪縛から解き放たれたお父さんが駆けた。
そして、地面に投げ出された白い裸体を愛おしそうに抱き寄せた。

「う、ううぅっ……あぁ、あなた……あなた……私……私は……」

光の陰に浮き上がるふたりのシルエット。
愛する人の両腕の中でお母さんの瞳が薄っすらと開いていく。
同時にその目は伏せられて、血の気を失った唇が辛い言葉を伝えようと小刻みに震えた。

「それ以上言うでない、三鈴。お前が身体を張ってくれたお陰で、我はこうして生きておる。神楽もな。
ただ無念なことに天上神が送りし霊力はこれが全て。
すまぬが、ここは逃れるしかあるまい」

悔しさを滲ませたお父さんの目から、一筋の光が流れて落ちていった。
その滴が乾いた土の中に消えた頃、魔剣の輝きも急速に衰えていく。

ふたりとも急いで! 早く!

わたしは飛んだ。
飛び上り、阿傍と羅刹の前であかんべえをしてから、本殿へと走るふたりを追い掛けた。

「ぐふふふっ、何かと思えばこのような子供だまし。
時として人の子は我らの思いも付かぬことをしでかす。無駄な労力を使ってな」

再び訪れる闇夜の世界。
次第に目が慣れたのか、羅刹が拝殿から本殿へと駆け上がるふたりを難なく見つけた。

「はあはあ……あなた、本殿の扉板が開いてる?! どうして?」

「これが我と神との契約ぞ。お前の心意気に天上神が報いたのじゃ」

黒光りする七段の踏み板の上に建つ『西鎮山 封魔護持社』本殿。
今から約四百年前、戦国時代末期に神楽のご先祖様によって建てられて以来、その扉板は一度も開かれることはなかったとされている。
でもその扉が左右に開かれて、ふたりを迎え入れてくれた。

よかった。間に合ったみたい。

「はあはあ、大事ないか? 三鈴」

「ええ、あなたこそ。私のために霊力を残らず使い切って……申し訳ございません」

ふたりが駆けこんだと同時に、本殿の扉が勝手に閉まる。
窓も照明もない暗闇の世界で、お父さんが握り締める隠滅顕救の剣が、今では死んだように鈍く光るだけ。

肩で大きく息をするお父さんとお母さんの背後にあるのは、本殿の内部を間仕切る朱色に染められた壁板。
以前、おじいちゃんに聞いたことがある。

本殿に入ったところにある部屋が外陣。
ここは、天上神に会うための控えの間。
そして、朱色の壁に埋め込まれた白木の格子戸の向こう側にあるのが内陣。
御霊代と呼ばれる神様と会話する神器が祭られているって。

でも最後に、おじいちゃんが怖い顔でこう話していた。

『内陣に足を踏み入れるならば、己が命捨てる覚悟有りやと』



目次へ  第19話へ





時は巡りて  また会う日まで





















 
皆様、ごきげんよう。物語もいよいよ、ハラハラドキドキのラストバトルに突入!
大好評連載小説『時は巡りて』でヒロインを演じております、春夏秋冬 神楽(ひととせ かぐら)です。
憎たらしい鬼たちを一匹残らず成敗して、感動のエンディングはやってくるのか?!

(有里)
むむ~! うむむ~んむう~ぅぅっっ!

(雪音)
神楽、有里はどうしてマスクなんかしているのよ。風邪でも引いたの?
バカは風邪なんか引かないと思ってたんだけど、あれでも意外と頭いいのかな?
あ、そんなことよりご挨拶です。
みんな~、前回はお留守にしちゃったけど元気かな~?
『シャッター・チャンス』のヒロイン雪音でぇ~す♪

(神楽)
はあ~はあ~……今回でメイン出演が終了なんて、神楽はとっても悲しいです。
もっともっと、『時は巡りて』の極秘情報をみなさんと語り合いたかったのに残念でございます。
誰かさんの作品みたいに、続編を作って欲しいな~って……ジロジロリ!

(雪音)
ちょっと神楽。なによ、そのジト目は?
それに……続編ってなんのことかな~? 雪音、わかんない。うふ♪

(有里)
んむうぅぅっっ! むむむッ! はむむむぅぅぅッッッ!!
ぜえ、ぜえ、ぜえ……死ぬかと思った。
神楽に嵌められて、三途の川でシンクロしかかったじゃない。
あ、でもご挨拶だけは。
みんなぁ、暑くなってきたけど泳ぐ時は水着を着ようねぇ。
すっぽんぽんは、警察さんに捕まっちゃうわよぉ~!
ということで、『少女涙の羞恥生活』『少女涙の羞恥生活 2』の兼任ヒロイン有里でぇ~す♪
地獄から復活してきました~

(神楽)
ちっ、ちっ、ちっ。さすがは元祖ヒロイン。
猿轡付きのマスクを喰い破るとは……猛獣なみね、その前歯。
ちょっと『少女涙の羞恥生活 2』の脚本を読ませてもらったけど、そんなノコギリ歯で舐め舐めとかできるの?
まさか、フランクフルトが血まみれになってたりして。ブルブルブル……

(雪音)
う~ぅ。神楽たん、その発言は、放送禁止エリアすれすれ飛行でございます。
それよりも、そんなツマラナイネタで字数を使っちゃうと、最終回なのに寂し~い終わり方になる予感が……

(有里)
ぐふふふふっ、だったらその残り紙面、この有里様が埋めてあげようじゃないの。
題して『三途の川見聞録~有里は見た!!』
これで神楽、あなたは終わりよ。なんだか知らないけど、有里の出番を奪ったペナルティーよ。100倍返しするんだから。
って、あらら? か、身体が金縛り状態に?! 神楽、今度はなにをしたのよ?!

(神楽)
ふふふっ、忘れたの有里? 『時は巡りて』は、羞恥の風でただひとつのファンタジー風官能小説なのよ。
登場キャラはみんな、魔法使いなんだから~
マハリ~ク♪ マハ~リマ♪ ジャンジャンジャン♪

(有里)
うう~っ、身体が痺れるぅぅ~ 頭がねじれるぅぅ~ たじけてぇ~

(雪音)
え~っ、お二人ともおバカネタで盛り上がっておりますので、この雪音たんが『時は巡りて』予告コーナーを仕切らせてもらいますです♪


    第18話  6月25日  水曜日
    第19話  6月28日  土曜日
    第20話  7月 1日  火曜日


時刻は、それぞれ午後8時を予定しているようです。(一応……?)

出演は神楽となっておりますが、この子って役に立っているのでしょうか? 甚だ疑問クエスチョンであります。
例えるなら、うっかり八兵衛のような存在かも……
それにしても雪音は、お側方霊術師 狛獅子 守様が気になって仕方がないのですが、ラストまでに出番はあるのでしょうか?
神楽は鬼のエサにでもしてもらって、守たんの勇姿を拝見したいのでありますです。はい。


(神楽)
くうぅぅっっ! さすがは元祖ヒロイン、手強いわね。
でも神楽って、なにかとっても大事なことを忘れているような……

(有里)
ぐふふふふっ……神楽、あなたにはもう、紙面が残っていないのよ。
予告コーナーだって、雪音が勝手に仕切ってたわよ。
守たんたんと、エッチするのぉ~♪って。
残念でした~♪

(神楽)
こらぁ雪音っ! うっかり八兵衛って誰のことよ!
それよりも、何よ?! どうして雪音が守の写真なんか持っているのよ?
えっ! これって守の入浴写真? やだぁ、モザイク無用のフランクフルトまであるじゃない。
この盗撮娘! どこから忍び込んだのよ!

(雪音)
きゃあぁぁ~! 暴力反対ですぅ。
雪音は悪くないですぅ。シャッターを押すこの指が悪い子ちゃんなんですぅ。

(有里)
あ、あのぉ~ お取り込み中のところ申し訳ございませんが、そろそろバイナラの時間でございます。
では、僭越ながら私、有里が仕切らせてもらって……
一同、整列!

(神楽)(有里)(雪音)
皆様、『時は巡りて』のご愛読、誠にありがとうございました。
またいつか、続編が作られるかもしれませんので、その時までお元気で~
さようなら~♪♪

(神楽)
主役は神楽なのに、ラストを有里に持っていかれちゃった~
くやじいぃぃ~!!


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埋め尽くす肉棒























(17)
 


「どうした四巡? お主の大切な奥方が悲鳴をあげておるぞ。
助けに行かなくてよいのか? ふふっ、それとも返り討ちに会うのが怖いとでも?
悔しいよのぉ。満月でなければ、もう少しは我らに刃向かえたものを。
まあ悔しついでに、愛する妻の嬌声をお主にも聞かせてしんぜようぞ。ぐががががぁっ」

鬼がお父さんを笑った。
金魚の糞みたいにお伴の鬼たちも笑った。

それでもお父さんは耐えている。
哀しみや苦痛、あらゆる感情を消し去って、彫像みたいに立ち尽くしている。

「はあはあ、ひぃっ、ひぐぅっ……苦しい……」

そんなお父さんを挑発するのが役目のように、頭のない鬼がお母さんにひどいことをしている。
頭もないくせに、腰を密着させたまま棍棒みたいな両腕でお母さんの両足を持ち上げた。
180度に押し拡げたまま肩近くまで押し上げていく。
胸が圧迫されて、ひざ裏の腱も限界まで引っ張られて、その姿で神楽の腕みたいな肉の棒がお母さんのお腹を貫いている。

「ふぐぅぅ……くぅぅぅっ、はあ、はぁ……膣(なか)がきついぃっ」

苦しそうなお母さんの声。
閉じたまぶたがプルプル震えて、心と身体の両方から襲いかかる苦痛に必死に耐えている。

ズズッ……ズズズズッ……ズリュゥゥッ……

「あぐっ、ああぁっ……う、動かないでぇっ! きつい、きついのぉっ!」

鬼が腰を前後にゆすった。
何度も何度も突き上げては引いてを繰り返す。
いくつもの瘤に覆われた肉棒が割れ目を引き裂くように沈んでは、過敏なヒダを引き伸ばしていく。

そのたびに、手形で真っ赤に染まるおっぱいが揺れた。
お母さんの頭が左右にも上下にも振らされる。

「ぁぁああんッ、いやぁッ……ゆるしてぇ……膣がぁ裂けるぅぅ……んんんぐぅぅッ……」

「よい眺めじゃ。子を産み落とした女でも、あ奴のマラはちときついと見える。
ほら、もっと鳴いてみよ。そのマラをして歓喜の声をあげてみよ」

牛頭の鬼、阿傍の気を惹こうと、2体の腕が揺れる乳房を揉み始めた。
下から突き上げるリズムに合わせて、鬼らしくない繊細な手付き。
その指先が半円のメロンのような膨らみを刺激して、乳首を指の腹で転がしている。

じゅぶっじゅぶっ、じゅじゅじゅ……じゅぶぅぅっ……

「あひぃっ……ひぃっ! 奥に当たってぇぇ……はうぅぅぅっ、乳首いやぁっ。くぅぅッッ!」

上からも下からも刺激されて、哀しい声なのに鼻に抜けるモノが紛れ込んでくる。
ガンガン打ち込まれるたびに、恥ずかしい水の音が結合部から聞こえた。

「ぐふふふっ、さあ鳴け。涼風の巫女よぉ、獣のように快楽の声をあげるのじゃ。
四巡に浅ましい女の本能を見せつけるのじゃ。
モノども遠慮はいらん。やれい! この女に鬼の精を絞り出してもらえ」

羅刹の号令に、鬼たちが歓喜の声をあげた。
涎を垂らした肉棒の群れが、競うように襲いかかってくる。
空を飛んで、地面を這って、わたしはお母さんにしがみ付いているのに……
その空気の身体も貫かれて、無数の肉の凶器がまとわりついてくる。

「ひッ、ひうぅッ……むぅぅぐぅぅぅっっ!」

噛み締めていた唇がこじ開けられる。
張り合うように2本の棒が突き立てられる。
乳房を感じさせることに専念していた腕が投げ棄てられ、ここでも硬直した肉棒たちが、柔らかいふたつの肉を奪い合い容赦なく沈み込ませてきた。
肌という肌、隙間という隙間、挟間という狭間。
擦りつけられて勝手にしごかれて、お母さんの身体中が無数の肉棒に犯されている。
性欲の捌け口として玩具にされている。

「いいぞぉ、もっと犯れぇぃ。女の肢体を盛りの付いたマラで埋め尽くすのじゃ。
涼風の巫女を快楽漬けにするのじゃぁっ!」

じゅちゃッ、じゅちゅッ、じゅちゃッ、じゅちゅッ、じゅちゃッ……
ぐちゅぐちゅぐちゅ……むにゅむにゅむにゅむにゅぅっ……

「うくぅッッ、ぐうぅッッ! ぷはぁっ、はあはあ……むぐむぐむぅぅぅっっっ!」

お母さんは首を無理やり振って、追いすがる肉棒を引き剥がした。
その瞬間を利用して、水面に顔を出した魚のように息継ぎを繰り返している。
それでもまた、肉棒の待つ水面下へと引きずりこまれていく。
肉片のような身体の群れに覆い尽くされていく。

そうしている間も、巨大な肉棒がお母さんのあそこを責め続けた。
肉と肉がぶつかり合う音。骨と骨が軋む音。
見えないスピードでゴツゴツした腰が前後して、噴水みたいに恥ずかしいお汁が飛び散っていく。

(この女ぁ、本気で感じていやがる。ま○こ汁でぐしょぐしょじゃねえか)
(おう、俺たちのマラに掛れば未通女でもいちころよ)
(おらぁ、早く吐き出せ。次が混んでるんだぜ)

おこぼれに与れない鬼たちが、お母さんの両腕をがっちりと押さえ付けていた。
その細い手首が、気持ちいいモノに抵抗するように反り返る。
地面が抉れて爪を傷付けながらも、ブリッジする。

お母さん、もういいよ。もう我慢しないで。
でないと、死んじゃう。お母さん、ホントに死んじゃうよ。

わずかに覗くウエストがクネクネと揺れた。
折り曲げられた腰のはるか先で、つま先が宙を彷徨っている。

それが何なのか? 神楽にもわかるよ。
わたしだって女だから。それにオマセだから。
ベッドの中でこっそり自分のあそこを弄ったりするもん。
その時だって頭が真っ白になって、何も考えられなくなるもん。
ただエッチって気持だけになるもん。

「んんぶっ、ぷはぁっ、イヤぁっ、ふぅぅぅんんっ、んぐぅっ……げほっげほっ」

「ぐふふふっ、そろそろじゃ。ものどもぉっ、準備はよいなぁっ?
一斉に精を放ち、涼風の巫女を快楽の獄へと落とし、我らの人型(ひとがた)とするのじゃ」



目次へ  第18話へ





貴方様の仰せのままに……























(16)
 


「くっ、ううぅっっ……許せ三鈴!」

お父さんが呻いた。
拳を震わせながら、うな垂れた首を上げようともしない。

ここで自分が動けば、耐え忍んでいるお母さんの行為が全て無駄になると。
たとえ99%の絶望の世界が待っていても、1%のチャンスに全てを賭ける。
そう思っているのか、必死で沸き立つ怒りと闘っている。

(おお、ま○こだ。涼風の巫女のま○こだ)
(その年で、ここだけはおぼこみたいに閉じていやがる。くぅぅっ、早くブチ込みてぇっ)

数百といる邪鬼が、お母さんの身体に血走った視線を送っている。
顔を背けて両目をきつく閉じているけど、お母さんは両足を思いっきり開いていた。
全裸のままで群がる鬼たちに見せつけるように、恥ずかしいあそこを晒している。

「そのまま自分の指で拡げてみせろ。
腰を突き出して、花弁の中の肉までよく見えるようにな」

「はぁぁ、はい。仰せのままに……」

さっきと同じ答えを繰り返すお母さん。
そして、鬼に命令されるままに腰を落とし気味にして、下腹部を前に押し出した。

「おおっ、まさに絶景じゃ。神に仕える巫女が己の恥部をさらけ出すとは、よき思い付きじゃあ、のう羅刹よ。
三鈴とやら、もっといやらしく女を見せてみろ。我らを悦ばせてみよ」

「う……うぅ……お、仰せのままに……」

折り曲げた中指と人差し指を、大陰唇の内側の壁に引っかけて左右に開いていく。
中からサーモンピンクのデリケートなお肉が覗いて、その奥にある膣の入り口まで丸見えにしている。
でもお母さんはやめようとはしない。
引っかけた指に力を込めると、内側のヒダが千切れるくらいに左右に引っ張っている。

「うっぅぅ、み、見えますか? これが、み、三鈴のはしたない……お、おま○こです」

もういやだ。もう許してあげて。

わたしは目を閉じて耳も塞いだ。
それなのに、夢だから?
正視なんかできないリアルな映像が流れて、恥ずかしくて死にそうな言葉を耳に送り込んでくる。

(も、もう我慢ならぬ。は、早く舐めさせてくれぇ)
(わしもじゃあ、まずはあの真珠豆を剥き出しにしてくれようぞ)
(なにを言うかぁ、穴に埋めねば話にならん。わしのマラをぶち込んでくれるわぁ)

「ぐふふふっ、盛りのついた邪鬼どもがうるさいよのぉ。では三鈴よ、百鬼とのまぐわい存分に愉しむがよい」

羅刹の言葉とともに、人体の一部を具現化した鬼たちが、奇声をあげながら飛んだ。

「ひ、ひぃぃぃッッッ! んむぅぅぅっむぐぅぅっ!」

「三鈴っ! 三鈴っ……すまぬ。不甲斐無い我を許してくれ……」

お父さんが絶叫する中、先を競うように白い裸体を目指して飛び掛かっていく。
恥辱に塗れたまま次の定めを覚悟するお母さんを、数体の手足が地面に押し倒した。

女の象徴であるおっぱいを、数えきれない指で揉まれている。
乳房の柔らかいお肉が真っ赤になるまで潰されて捏ねられて、節くれだった指たちに好きなように弄ばれている。
乳首だって、引っ張られて抓られて、爪を立てられて。
お母さんの胸の上なのに、鬼たちが場所争いの小競り合いを繰り返して……

同時に、首から上だけの鬼がお母さんの唇を塞いでいる。
おぞましい顔を密着させながら、望まないのに死ぬほどイヤな筈なのに、死人の唾液を流し込んでいる。

「むぐぅぅぅっ、ひぐぅぅぅっっ! むちゅぅぅっ、ぐちゅぅぅぅっ!」

イヤァァァッッ! お母さんッ、お母さんッ、お母さんッ!!

苦しみのたうち回る裸体に、わたしはしがみ付いていた。
悪夢を見続けているからどうしようもないのに、透通る身体を肌をお母さんに重ね合わせていた。

いつのまにか、わたしも裸になっていた。
膨らみ始めたばかりのおっぱいも、生え始めたばかりのアンダーヘアーも、みんな晒して鬼たちの気を惹こうとしていた。
全然怖くなんかない。
これは夢だから、神楽は恥ずかしくもないし、あんたたち鬼なんて全然平気なんだから。

そんなわたしの目の前で、お母さんの両足がこじ開けられる。
神楽の可愛いお尻が揺れているのに、無視するようにお母さんの女の部分に鬼たちの舌が伸ばされる。
伸び放題の爪先が乾いた割れ目に突き刺さる。

「んんぐぅぅっ……い、痛いっ、いたいッ! あぐぅ……ああぁぁっっ!!」

ひどい。こんなのひどすぎるよっ。
ここはデリケートな処なのに。ここは女の人にとって一番大切な処なのに。
それなのに……それなのにお母さん、神楽のために……

わたしは泣いた。
お母さんも泣いている。

でもわたしたちの心なんて、悪魔の鬼たちは理解してくれない。
後からやって来た頭のない巨大な鬼が、太い両腕で群がる鬼たちを払い退ける。押し潰した。
そして勢いに任せて、そそり立った巨大な肉の棒をお母さんの割れ目に突き立てた。
そのままメリメリと沈み込ませていく。

「いやっ、イヤァッ!……痛いっ、あそこが……裂けるぅぅぅっ……うぐぅっ、くっ!」

お母さんが断末魔の声を上げた。
全身が震えて心の芯まで凍り付いて、わたしはお母さんにしがみ付いたまま、おぞましい肉の塊をただ呆然と見ていた。

これが男の人のおち○○ん? これが……そのセックスなの?
……違う。こんなの違うよ。
こんな化け物に犯されたらお母さん、死んじゃう。ホントに死んじゃうよっ!

お父さん助けてあげてよ。
どんなに耐えたって、お母さんがどんどん苦しめられているだけじゃない。
お父さんは……お父さんは、始祖鬼巡丸の再来といわれた輪廻の霊媒術師なんでしょ!
だったらこんな化け物、その刀で切り裂いてよっ!



目次へ  第17話へ




性奴隷~白い快楽 第1話


  
                                          


第1話



        藤沢藍子が「ヘアーサロン・モダ」を開業してから約1年が経過した。
        店舗は仙台市郊外にあり外壁は白、落ち着いた雰囲気の10坪ほどの小
        さな建物だ。
        藍子は都内の美容短大を卒業後、実家のある仙台市に帰省し、高校時代
        から交際をしていた武彦と3年前に結婚した。
        藍子と武彦は共に25歳。二人の間に子供はいないが世間か羨むほど仲
        の良い夫婦だ。
        武彦は、妻の独立開業の夢を叶えるために、結婚後は昼夜を問わず働き
        続けた。
        そんな武彦の努力が報われ、昨年の春にモダを開店する事が出来たのだ。

        しかし店の経営は藍子にとって甘いものではなかった。
        完全予約制で従業員は2名。開店当初から赤字が続き、最近はローンの
        支払いも遅れがちになっていた。
        幸い店の土地は藍子の父が所有しているため家賃は不要だが、建物と内
        装工事で約1500万円程かかっている。
        武彦が貯めた200万円を自己資金として、不足分の1300万円を銀
        行から借り入れた。
        事業資金は住宅ローンのように長期の借り入れは出来ない。
        設備資金として7年契約。毎月の返済額は15万円を超えていた。

        「どう?最近の店の売り上げは?」
        「相変わらずよ……」
        「まだ赤字?」
        「うん……」

        開業して1年とはいえ、赤字続きの経営に夫の武彦も穏やかではなかっ
        た。

        「やっぱり店を建てたのが失敗だったのかな~?」
        「でも市内のビルは、どこも家賃が高かったんだろう?僕は店を建てて
        正解だったと思うよ」

        当初の計画は、市内のビルの一角を借り開業する予定だった。
        しかし藍子の父の強い勧めで、店舗を建設するに至ったのだ。

        「もう少し固定客が付けば経営も楽になるんだけど……」
        「きっとそのうち繁盛するさ。藍子、元気出そうよ!」

        夫の武彦はいつも優しく藍子を励ました。
        武彦は、市内の事務機器販売会社に勤務しているが、営業成績を上げる
        ために残業を惜しまず仕事に専念していた。
        仕事を終え帰宅するのは毎日10時を過ぎていた。

        (優しい夫の期待に応えたい…… もっと頑張ろう……)

        武彦に励まされる度に、藍子はそう誓っていた。

        モダの経営の最大の難題が客数だった。
        土日はそこそこ予約が入るが、平日は多くて4~5名。
        少ない日は1~2名しか予約がない日も珍しくなかった。
        銀行ローンに人件費、光熱費を加えると、黒字にはほど遠い。
        藍子は毎日、試行錯誤を繰り返していた。

        そんなある日、モダに1本の電話があった。

        「先生、相川です。今日の午後からお邪魔してもいいですか?」
        「あら、相川さん?どうしたの?何かお話でも?」
        「はい、ちょっと先生に相談したい事がありまして…… 3時頃いかが
        ですか?」
        「いいわよ。4時に予約が入ってるから遅れないでね」
        「じゃあ、後ほど…」

        電話の相手は、美容ディーラーの相川勇介だった。
        美容ディーラーとは、サロン専門の材料問屋だ。
        相川は、美容ディーラー「大成商事」の営業マンで、モダには週1~2
        度訪れる。
        相当な遊び好きで、妻とは3ヶ月前に離婚していた。



        相川が店を訪れたのは、3時を5分ほど過ぎた頃だった。
        紺色のブレザーに黄色のネクタイがやけに目立っていた。

        「ちょっとお願いね」

        藍子は二人のスタッフに声をかけ、奥の部屋に相川を案内した。
        6畳程のこの部屋は来客用、またはミーティングルームとして使われて
        いる。

        「何かいいお話でも?」
        「はい、先生の所にはいい話しか持って来ませんよ」

        藍子は、ようやく最近になって“先生”と呼ばれるのに慣れて来た。

        「そんな事を言って、また変なお誘いじゃないでしょうね?」

        相川は女癖が悪い。
        月に1度は客としてモダを利用するが、来店する度に藍子を食事に誘う。

        「いえいえ今日は違います」
        「じゃあ勿体ぶらないで早く言って」

        相川の目が真剣になった。

        「先生、婚礼のお仕事をしてみませんか?」
        「えっ?婚礼?」
        「はい、結婚式の花嫁創りです」
        「……」

        結婚式の花嫁創りは、店内での仕事とはわけが違う。
        結婚式、披露宴は、その人にとって一生に一度の晴れ舞台でありミスは
        許されない。

        (自分にそんな仕事がこなせるだろうか……)

        しかし店の業績を考慮すると、安易に断るわけにもいかない。
        喉から手が出るほど欲しい仕事だったが、藍子は返事に迷った。

        「もう少し詳しく知りたいわ」
        「はい、実は本社の大成ホテルで、新たに結婚式会場をオープンする計
        画がありまして……」

        大成ホテルとは、相川が勤務する大成商事の親会社で、ホテル業務の他、
        結婚披露宴会場、チャペルなど10店舗を運営する県内最大手のホテル
        だ。

        「えっ、本当?」
        「はい、極秘なんですが、今年の秋にオープンする予定です」
        「今年の秋って、あと3~4ヶ月後?」
        「はい、5000坪の敷地を確保してあります」
        「5000坪?凄いじゃない!」
        「はい、県内…いや東北でもいちばん大きいでしょうね」
        「その専属サロンをモダに?」
        「はい、先生ならきっと成功すると思います」
        「専属サロンの抜擢は相川さんが?」
        「はい、社長から任されまして……」

        藍子は、相川にお茶を出すのさえ忘れていた。

        「返事は、すぐでなくても構いませんので、検討していただけませんか?」
        「お返事は、いつ頃まですれば?」
        「出来れば今月中くらいでお願いします」
        「わかったわ」
        「じゃ、僕はこれで……」

        相川は、にっこり微笑みながら席を立った。

        「あっ、ところで相川さん……」
        「はい、何ですか?」
        「婚礼のお仕事って、報酬はどれくらいなの?」

        藍子は照れ臭そうに聞いた。

        「結婚式に披露宴を合わせて、平均15万円くらいかな?」
        「15万円!」
        「はい、でも手数料として1割いただきますので、仮に15万円だとし
        たら、13万5千円がサロンの報酬です」
        「……」
        「ただし、前撮り料金などは直接サロンの報酬ですし、披露宴当日は両
        親や親戚の人達のヘアメイクも頼まれるそうですよ」
        「それで結婚式って、月に何本くらいあるんですか?」
        「少なくても10~15本は予約があると思います。結婚シーズンです
        と月に20~25本かな?」
        「……」
        「やり方次第では毎月300万くらい稼げると思いますよ」
        「……」

        藍子は息をのんだ。




※ この作品は、ましゅまろくらぶ 真理子様から投稿していただきました。
  尚、著作権は、ましゅまろくらぶ 真理子様に属しております。
  無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。


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この身を捧げてでも……























(15)
 


「どうやら四巡、これまでのようだな。
どうだ。おとなしく我らにこの社を引き渡さぬか?」

真上から地響きのように鬼の声がする。
山門の上空を陣取った鬼の集団が、わたしたちを見下ろしている。
それと同時に、先陣を切った邪鬼たちの動きが止まる。

「ふっ、愚かなことを」

ふらつく足取りのまま、お父さんが空を見上げた。
その白銀の衣装は返り血に汚され、到る所を切り裂かれている。

「がははははッ、人の子の分際で愚かとな。言いよるわい。
このまま我らにひれ伏すなら、お主らの命だけは免じてやるものを……
まずは手始めに、この四百余年、我らを封じた封魔護持社を焼き尽くしてくれよう。いざ!」

赤髪の鬼が、あごをしゃくり合図を送る。
それに呼応して一列に並んだ鬼の頭が口を大きく拡げた。
鋭い牙の奥に渦巻く紅蓮の炎。それを一斉射撃するように、桧皮葺の大屋根に照準を合わせている。

全て焼き尽くす気なんだ。
お社も神楽が寝ている母屋も。

「待ってぇっ! 待って……ください」

そのとき、血を吐くような女性の声がした。
鬼たちの炎が口元から放出されようとしたその瞬間、胸まではだけさせられたお母さんが、お父さんの前に進み出ていた。

「お願いします。それだけは……火を掛けることだけはお許しください。
そのためなら私は……この涼風の杜の巫女である三鈴が、貴方様の申すことならなんなりと……如何様にもやらせてもらいます」

「み、三鈴っ! そなた、気でも触れたか?」

呆然とするお父さんにお母さんは哀しい目で応えていた。

「あなた、申し訳ありません。
ですが……涼風の杜の巫女として出来ることは、もうこれしか……」

そう呟くと、観鬼の手鏡をそっと地面に置いた。
身に着けている衣装を自ら脱ぎ去っていく。
授業参観のときでも神楽の自慢だった、きれいでスタイル抜群のお母さんが、あんな化け物たちの前に素肌を晒すなんて……
そんなことって……それもお社のため? 
違う! 部屋で寝込んでいるわたしのために……そんな……

シュル……シュルシュルシュル……ススッ……

白衣が地面に拡がり、緋袴の留め紐がスルスルと解かれる。
中から現れた白襦袢の腰紐も一息に引いた。

「ううっ、あなた、見ないでください……」

はらりと肌をすべる白い布。
残されたのは、女性の象徴を守るブラジャーとショーツだけ。

「がはははは、いいぞぉ。生娘でないのが惜しいが、これだけの美形。
どんな声で鳴くのか愉しみじゃのぉ。ぐふふふ、のぉ、羅刹」

「ったく、同意。だが、ただ犯すだけではお主も面白くあるまい。
ここはひとつ、趣向を変えてみてはと思うのだが?」

「ふん。羅刹、また良からぬことを思い付いたようだの。
ぐふふふ、好きにすればよかろう。俺様は頭を使うのが苦手じゃ。お主に任せた」

いつのまにか並んで座る2体の鬼を、胴体だけの物体が座布団のように敷き詰められて支えている。
その周囲を円周に囲む、上半身だけの鬼と下半身だけの鬼。

お父さんはというと、唇を血が滲むほど噛み締めたまま立ち尽くしている。
でも剣だけは手放していない。しっかりと握り締めたまま。

「どうした三鈴。早う残りの下穿きも取らんか?
そして、取り払ってこう言うのじゃ。『涼風の巫女の身体、どうぞご自由に』とな。
もちろんお主の道具を我らの目に触れさせること、忘れるでないぞ」

「ああ、はい。仰せのままに……」

震えるお母さんの指が背中に回る。
パチンとホックの外れる音を、わたしの心が聞いた。
緩んだカップを引き剥がした後で、豊かな乳房が波打つように揺れている。

(ケケケ……見ろよあの乳。しゃぶりつきてぇ)
(いや、餅みたいに捏ねてみてぇ)

ざわめく鬼たちの目線を浴びながら、お母さんの指が最後の一枚に掛る。
腰に両手を当てて一気に引き下ろして、まるで脱衣場にいるようにショーツを足首から抜いた。

(クククッ……艶っぽい太ももをしている)
(年の割には随分と慎ましい毛をしていやがる)
(いや、あれは剃っているんじゃねえのか? 風呂場で剃刀当ててよぉ。ケケケケ)

「おい、続きはどうした? 涼風の巫女はモノ覚えが悪い阿呆か。ググググ……」

立ち姿のまま両手で大切な処を隠すお母さんに、牛頭の鬼が次の行為を急かしてくる。
はやし立てるように取り巻く邪鬼たちも、禁句の単語を連呼する。

もういい! お母さん、もういいから!

わたしは耐えられなくなって、お母さんの前に立ち塞がっていた。
見えない透通る身体で残酷な鬼たちを睨みつけていた。

「神楽、あなただけは守る。どんなことがあっても守ってみせる」

それなのに……
まるでわたしが見えるかのように、お母さんは小さく小さく呟いた。
そして、わたしの方に笑い掛けると、そのまま空を見上げた。
上空に浮かぶ鬼をキッと睨んで、稟とした声で唇を開いていた。

「涼風の巫女の身体、どうぞご自由に」と……



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極秘情報はお静かに……





















 
皆様、ごきげんよう。物語もいよいよ、ハラハラドキドキの後半戦に突入。
大好評連載小説『時は巡りて』でヒロインを演じております、春夏秋冬 神楽(ひととせ かぐら)です。
日夜、常人には見えない魔のモノを成敗しておりますです。はい。

(有里)
はぁ~い、みんなぁ元気?
 『少女涙の羞恥生活』のヒロイン兼、羞恥の風ガールズのセンターは私よ!! の有里でぇ~す。
いよいよ『少女涙の羞恥生活 2』が来月公開されるよぉ。期待して待っててね♪

(神楽)
相変わらず飛び込みシーンからよくしゃべるのね。
同時に二つの作品を紹介するなんて、チョー厚かましいわよ。プンプン!

(有里)
ふふっ、そんなの口を開いたモノ勝ちよ。
まあ、駆け出しペイペイの神楽にはわからないでしょうけど、羞恥の風がここまで皆様に愛されてきたのも初代ヒロイン有里のおかげ。
身体の内面から迸るオーラがそうさせているのかしら。お~ほほほほっ……

(神楽)
ホントに可愛げのないキャラね。プンプン! のプンプン!! です。
で、いつものオジャマ虫、雪音はどうしたのよ? 今日はお休みなの?

(有里)
それが……そのぉ~……あのねぇ……
まだ公表するのが早いかな?
やっぱり、しゃべっちゃおうかな?
うううぅぅぅっっっ!! 有里の唇がウズウズするですぅぅぅぅっっっ!!

(神楽)
わ、わわわ……なんか神楽ってとんでもないことを聞いちゃったの?!
有里のキャラが壊れかけてるぅぅっっ!
ここは取り敢えずいつものCMということで……
『時は巡りて』予告コーナーに移りま~す♪♪



  第15話  6月15日  日曜日
  第16話  6月19日  木曜日
  第17話  6月22日  日曜日


時刻は、それぞれ午後8時を予定しています。
出演はヒロインであるわたし、春夏秋冬 神楽が務めさせていただきます。

科学文明が発達した現在においても、この世に未練を残す邪悪な闇は蠢いている。
だが、その闇を切り裂く者たちがいる。うら若き見習巫女『神楽』
彼女もまたそのひとりとして果敢に立ち向かう。差し出す身体を武器として……ご期待ください。


(有里)
ぜえ……ぜえ……ぜえ……
唇の気迫に有里は負けちゃったです。
ここでこっそり、皆様にだけ囁いちゃいま~す。
実は実は、『シャッター・チャンス』の続編が決定しました~♪♪ パフパフパフ♪♪
クラッカーだって、パーン! パーン!
ついでに、大玉八寸の打ち上げ花火も……

(神楽)
ピッ、ピッ、ピーッッッ!!
ステージを汚さない! 壊さない! ひとりだけで勝手に盛り上がらないッ!
ついでに、建物の中で花火を打ち上げないッ!
でもでも、『シャッター・チャンス』の続編には興味津々かも~♪

(有里)
そうなんです。これは一部の関係者しか知らないチョー極秘情報なんです。
え~っ、詳細につきましては次回に持ち越しということで、まずは有里の座席をゲットしてでして……
あと、どうしましょ? 
まだ字数余ってます?

(神楽)
もったいぶらずに、何かしゃべってよぉっ!

(有里)
あ、ああ~……衛星回線の調子がよくありませんねぇ。
これで現場からの中継を終了させていただきますです。はい。

(神楽)
有里ぃぃっっ、こんなところで勝手に打ち切らないでよぉ。
次回は絶対にダメなの。『シャッター・チャンス』ネタで独占させないんだから。
だってだって……

(有里)
『時は巡りて』最終話予告コーナーだからでぇ~す♪♪
チャンチャン♪♪ ぐふふふふっ……



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陽動……悲劇の始まり























(14)
 


やったね。お父さん、お母さん。

(んぐごぉっ、ば、ばかな……)
(お、おのれぇ……人間ごときにぃ……ふがぁっ)

間近に迫った鬼たちの無念そうな声が聞こえた。
一千の鬼たちが、たったふたりの霊媒術師の前に全滅したのだから。

「はあ、はあ。終わったのね……あなた」

全身で呼吸しながら、お母さんがお父さんを見上げた。

「ああ、おそらくな……」

お父さんも肩で息をしながらお母さんの方を見つめようとして……その動きが止まった?! なんなの?
楽観が不安に置き換わっていく。
聞こえない何かを感じとろうと、お父さんは目を閉じて眉間に指を押し当てている。

「んんっ?! そんな筈は……バカな!」

緩み始めていた顔が、みるみるうちに緊張の色に包まれていく。
ううん、緊張を通り越して白い肌を青白く染めた悲愴な表情に変化している。

「どうしたのです?」

問い掛けたお母さんも同じだった。
見上げた表情に危機を察したのか、顔から笑みが消えた。

「卯と酉の方位からだ。新たな敵がそれぞれ一千。
それにこの悪気は……?! ……有り得ない。あり得ないが……阿傍と羅刹?
そうか、あ奴たちが指揮しておったか、ふっ、どおりで……」

「あなた、それでは先ほどの一千鬼団は、囮と……?」

「ああ、そういうことだ。我らの霊力を消耗させるためのな。
そして、弱まった我らを確実に仕留める。
ふっ、伝説に聞く地獄の鬼、阿傍と羅刹。バカではないようだな。……できるか? 三鈴!」

「はい、あなた。たとえこの身が滅びようとも……
ただ、あの子が。神楽が不憫で……」

お母さんは社の端にある母屋を見ている。わたしの身体が寝ている方をじっと。
その能面のように強張った瞳からは涙が零れていた。
でも何もできない。傍観者のわたしはただオロオロと見ているだけ。

「神楽のことか……はは、心配するでない。
あの子には守がついておる。我が片腕、狛獅子守がな。
……それよりも、早速のお出ましのようだな」

お父さんが卯の方位、東の空を睨んだ。
背中合わせにお母さんが酉の方位、西の空を睨みつけた。

それぞれが宝器を手に身構える。
その空の彼方に異形の鬼の大集団が姿を現した。

未熟なわたしでも感じる。ものすごく大きな邪悪な気の集まり。
そしてその中央、百体ほどの邪鬼に囲まれた巨大な鬼がいる。
全身を醜い瘤の筋肉に覆われ、牛の頭をした鬼と、漆黒の肌に伸び放題の深紅の髪をした鬼。
挟み打ちのように迫るその鬼たちがニヤリと笑った。血走った眼で見下ろした。

たぶんこれが、阿傍と羅刹? 怖いよお父さん。
地面にふわふわと降り立ったわたしは、山門の陰に隠れた。

「いくぞぉっ、はあぁぁぁッッ! 邪鬼斬滅っ!!」

「涼風の御魂よ、我に力を! 邪気鏡殺陣!!」

左右に駆ける光の弧と光の帯。
敵の集団が接近する前に数を減らそうと先制攻撃を仕掛ける。
でもその光は、あきらかに衰えている。ふたりの息遣いに比例するようにパワーが落ちているんだ。

シュビッ、シュバッ、シュブッ……グシャッ! グシュッ!……

お空の端どおしで巻き上がる光の閃光と爆発。
それでも百体以上の人間の一部と化した鬼が切断される。粉微塵に吹き飛んでいる。

「まだまだぁっ! 邪鬼斬滅っ!!」

「はあはあ、邪気鏡殺陣!!」

荒い息の中、お父さんが魔剣を振り下ろす。
ふらつく身体を支えながら、お母さんが鏡を構える。

幾筋も飛び交う、激しい爆発と光の渦。その中でまた百体ほどの鬼が吹き飛び消されていく。
でもそんな犠牲を気にすることなく、邪気の群れは急接近してくる。

「ほう、人間にしてはよくやる。さすがは四巡。いや、輪廻の霊媒術師とお呼びしようか。
……確かに、通り名に偽りはないようだな。よう、阿傍」

「ふんむ。だがな……ふぐぐぐっ、所詮は人の子。この程度の霊力で我ら鬼族に逆らおうとは。
がははははっ、久しぶりに愉しませてもらうぞ」

吹き寄せる爆風を難なく払いのけた2体の鬼は、右手を軽く持ち上げさっと引いた。
混乱しかかった邪鬼の群れが、瞬時に陣形を整え槍のように一直線に襲いかかってくる。

早い! もう間に合わないよ!

ブシュッ、シュパッ、シュバッ!

刀を自在に操り、お父さんは迫る敵を一体ずつ切り倒していく。
背後のお母さんは、鏡を反射させては援護するように残る敵を粉砕する。

「くっ、させるかぁッ! はあぁっ!」

「はあ、はあ……あなた、左っ!」

でも切りがない。
怖い鬼たちが見守る中、何百という人の腕が足が、まるでふたりを弄ぶように襲い掛ってくる。

あっ! お父さんの肩に4本の腕がぶら下がってる。
動きを封じられて、その間に足だけの鬼が折り曲げたひざを鳩尾のあたりに打ち込んできた。

「うぐぅっ、ごほっ!」

苦しそうな声とともに、お父さんの身体が前に倒れる。
それと連係するように、今度は別の手足の鬼がお母さんに襲い掛ってくる。

「ひぃっ、い、いやぁっ。放してぇ、離れてぇっ!」

哀しい悲鳴とともに、鏡を持つ手が力を失いだらりと落ちる。
その両肩を男だった手が押さえ付けている。
腰のあたりに男だった足が絡み付き、地面に引き倒される。
足首を別の2体の腕が左右に引っ張り、白い襦袢を更に白い太ももを露出させる。

(お、女だ……ぐふぐふ)
(しかも、こんな上玉に巡り合えるとは……)
(誰か早くこの女を引ん剥いてくれや。くそぉ、わしにも腕があればぁ……)

「おのれぇ、邪鬼どもめがぁっ! 三鈴、三鈴っ!」

「あ、あなた……い、いやぁぁっ、んむぅぅぅぅっ」

引き離されて肢体を拘束されたまま、それでも目の前に迫る鬼を切り捨てるお父さん。
でもその先では、無数の鬼たちがお母さんに取り付いている。
鬼の手がエッチに蠢いている。

やめてぇ! もう、やめてよぉっ!

わたしは飛び出していた。
お父さんに殴りかかろうとしている腕だけの化け物にしがみ付こうとした。
お母さんの口を塞いでいる頭を取り除こうとした。

でも……身体が空気のように通り過ぎていく。
夢を見ている神楽には何もできない。誰も神楽に気付かない。
そう夢。これは怖い怖い夢なんだ。
だったら……だったら、終わって欲しいこんな悪夢。
でも、起きるのはもっと怖い。なぜかな? そんな気がする。



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5年前の夢























(13)
 


それは忘れもしない、今から5年前のこと……

当時中学生だったわたしは、運悪くインフルエンザにかかってしまい、自分の部屋で寝込んでいた。
40度近い熱が3日くらい続いて、お母さんが一生懸命看病してくれていたのを今でもはっきりと覚えている。
そして、ようやく熱が下がり始めて薬のせいでうとうとしかけていた時、あの不幸な出来事は突然のように襲いかかってきた。

「三鈴……ちと来てはくれぬか?」

遠慮がちにドアを開かれ、お父さんが顔を覗かせた。
でもその顔に、いつもの柔和な微笑みも、どこまでも落ち着き払った瞳も存在しない。
あるのは、焦りと苛立ちに満ちた表情。余裕って文字を忘れた神楽の知らない瞳。

「神楽、ちょっと待っててね」

お父さんの表情に何かを察したお母さんも顔を引き締める。
そして、わたしの肩口まで布団で覆ってくれると立ち上がり、ドアの所で振り向いた。

「お薬苦いけど、ちゃんと飲むのよ」

とっても優しい笑顔だった。とっても安心できる目をしていた。
でもなぜかな? お母さんの瞳、暗く沈んで。2度とその瞳と会えない気がして。
それなのに呼び止めちゃいけないって、誰かが囁いて。

ドアが静かに閉まる。
階下から張り詰めたふたりの声が聞こえて、わたしは睡魔に襲われていた。
ふわふわと波間を漂うように……



「よりによって守がおらぬ隙を突くとは、あ奴らにしてはやりよる。まして今夜は……」

「ええ。魔がその力を最も増すといわれる満月の夜。
それであなた、攻めてくる邪鬼の数はいかほどに?」

「うむ。それなんだが……我が張った外輪結界を突破したモノおよそ一千とみる。
おそらくは相当の手錬れが率いているに相違あるまい」

「い、一千……で、ございますか……まさかあの一千鬼団……
では、いよいよ言い伝えが現実のものに……?」

「ああ、運悪く我が代においてな。
現世を侵略する足掛かりとして、まずは四百余年に渡り守護してきたこの封魔護持社を壊滅させる。
その上で闇に乗じて新たな棲みかを手に入れるつもりであろう。
ふっ、あ奴らも陽の当らぬ地底生活に飽きてきたやもしれん。永久に変わることのない黄泉の獄にな」

「でも、それだけは我らが身に賭けても阻止せねばなりませぬ」

「うむ、よく申した三鈴。それでこそ我が妻。しからば頼むぞ」

「はい、あなた」

ここは……?
わたしはお父さんとお母さんの声を頼りに周囲を見回した。

歩いてはいない。飛んでいる? たぶん夢だから。

あっ、この桧皮葺の大屋根って、わたしとこの……本殿だよね。涼風の社の。
その先が広~い境内で、そのまた先に大きな山門があって。

ふ~ん、空から見るとこんな感じなんだ。まるで航空写真みたい。
それでお父さんとお母さんは、どこかな?

……見つけた! ふたり並んで立っている。

白銀色の絹で織られた上衣に、紫紋入りの紫袴を身に着けているのはお父さん。
お母さんは、白衣と呼ばれる白色の着物に、真っ赤な緋袴姿をしている。

わたし、初めて見たかも。
ふたり揃ってこの衣装を身に着けている姿なんて。

あれ? どうしてわたしの方を見ているのかな?
ううん、見ているというより殺気だった目で睨みつけている。

わたしを? 違う。もっと遥か上空を……闇に染まった汚れた空間を……

「不動にして不変の星よ。我に力を……我に屈せぬ御霊を……」

息の合った乱れのない詠唱。しばらくの沈黙。
そして……

「来たぞ!」

お父さんの両目がぐっと見開かれて、右手が流れるように半円を描いた。
漆黒の鞘から引き抜かれる真っ白な輝きを放つ直刀『隠滅顕救の剣』

隣ではお母さんが、舞を舞うようにしなやかに身体を一回転させる。
その頭上に掲げられているのは、春夏秋冬家の宝器『観鬼の手鏡』

手鏡に反射した青白い光が、サーチライトのように夜空を照らしだす。
闇に紛れながら涼風の社に急接近する集団を……!

(グゴゴゴォッ! グゲゲゲゲッ!)

両腕だけのモノ。両足だけのモノ。頭だけもあるし、切断された胴体に羽根が生えたモノだって。
あっ、こっちのは男の人のおち……いや、言えない。

でも何体いるんだろう?
100体? 200体? ううん、もっともっとたくさん飛んで来る。
群れをなして夜空の星々が覆い隠されるくらいに。

それに視線を合わせたまま、お父さんは天を突くように剣を掲げた。

「はあぁぁぁッッ! 邪鬼斬滅っ!!」

そして、気合とともに真上から一刀両断に振り下ろされる魔剣。
見えない大気が切断される。見えない空気が渦を巻く。
剣先から発した衝撃波は白銀の三日月を描きながら宙を突き進んでいく。

すごい。なんなの?! 三日月がどんどん大きくなっていく。

刃長だった剣波はグングンとその長さを増していき、更にその速度に磨きをかける。
やがて夜空を断ち切るかのように成長した三日月は、そのまま邪鬼の群れの中心を切り裂いていく。

シュビッ、シュバッ、シュブッ……!

悲鳴を上げる間もなく燃え上がり消滅する鬼たち。
腕が切断され足に火が付き、頭がのたうち回る。
敵陣の奥深く切り込んだ光の弧はその輝きを凝縮し、果てるように大爆発を起こす。

まるで人工の太陽。暗闇がお昼間のように白く照らし出されて……
剣を振り下ろしたままのお父さんが叫んだ。

「今だ! 三鈴っ!」

お母さんによって、頭上高く掲げられた春夏秋冬家宝器、観鬼の手鏡。
その丸い鏡面が四散した眩い光を吸い込み、残すことなく飲み込んでいく。
闇に戻った世界で鏡だけが太陽のように輝きを放ち、その中を生き逃れた邪気の群れが長い帯のように拡がり襲い掛ってきた。

ざっと数えて5百体くらいの人体の一部たち。
それが恨み妬み憎しみといった負を増幅させた邪気を伴ってものすごい速さで急降下してくる。

「涼風の御魂よ、我に力を! 邪鬼鏡殺陣!!」

いつものお母さんと違う、感情のない冷たい声がした。
同時に掲げられた鏡が、天空に線を引くように右から左へと流れていく。
無風の世界につむじ風が立ち、捲り上げられた緋袴から白い肌襦袢が、白い素足が露出する。

グシャッ! グシュッ! グシュグシュ……グギャァァァァッッ!

急拡大した男の下半身が砕け散る。隣では真っ赤な舌を突き出した頭が粉微塵になっている。
鬼たちが作る長い帯がそれを上回る巨大な光の帯に吸収され、砕かれていく。
それはまるで天空を流れる天の川。
そうよ、邪悪なモノたちを滅し消し去る聖なる河。



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心霊写真はピースしてるです?!





















 
皆様、ごきげんよう。物語もいよいよ、ハラハラドキドキの中盤戦に突入。
大好評連載小説『時は巡りて』でヒロインを演じております、春夏秋冬 神楽(ひととせ かぐら)です。
日夜、常人には見えない魔のモノを成敗しておりますです。はい。

(雪音)
呼ばれなくても現れる。望まれなくてもしゃべりだす。
忘れられたら思い出させるだけ。雪音のカメラがあなたの心の中までレントゲン撮影。
『シャッター・チャンス』のヒロイン雪音でぇーす♪♪ 
みんなぁ、梅雨入り間近ジメジメだけど、がんばろ~う。

(神楽)
やっぱり登場するのね。
それにしても何よ。その意味不明な決めゼリフは。
そんなに自称オジャマ虫をアピールするんだったら、超大型ゴキブリ○○ホイを設置するわよ。

(雪音)
そんなぁ、雪音をゴキブリ扱いするなんてヒドイです。
神楽たんは意地悪ですぅ。

(神楽)
神楽たんって……またまた登場したオタク言葉。
それにどうしたのよ? 今日はカメラまで首からぶら下げて。
まさか、今からどこぞのコスプレ会場に突撃! ってことはないでしょうねぇ。雪音たん。

(雪音)
あっ、たんたんって、神楽たんも雪音たんのお仲間ですぅ。
そうです。今から新幹線に乗ってオタクの聖地に突撃ですぅ。まあ、大阪にも日本橋っていう聖地がありますけど……
って、なに言わせるんですか? 違います。今から撮影するんです。このカメラで。

(神楽)
それで、オタク星人を? ふ~ん、どんな宇宙人なのか神楽も見てみた~い♪

(雪音)
ピリッ! いい加減にしないと切れちゃいますよ。
ま、まあいいでしょう。
このカメラはですねぇ、おっほん。我が北原家に代々伝わる家宝というべき魔法のカメラなんです。

(神楽)
これが……? ただのバカ○ョンカメラじゃない。なでなで……

(雪音)
ひえぇぇ~ッッ! さ、触らないでぇっ! このカメラはですねぇ、霊力を持っているんです。
たとえば……? あれ? れれれれっ?! 少々お待ちを……

(神楽)
え~っ、神楽カメラマンたんがお取り込み中のようなので、ここでCMとさせていただきます。
ここからは、『時は巡りて』予告コーナーでございます。


  第13話  6月 9日  月曜日
  第14話  6月12日  木曜日


時刻は、それぞれ午後8時を予定しています。
出演はヒロインであるわたし、春夏秋冬 神楽が務めさせていただきます。

科学文明が発達した現在においても、この世に未練を残す邪悪な闇は蠢いている。
だが、その闇を切り裂く者たちがいる。うら若き見習巫女『神楽』
彼女もまたそのひとりとして果敢に立ち向かう。差し出す身体を武器として……ご期待ください。


(雪音)
はあ~っ、準備完了。
さあ~写すわよぉ。被写体はと? ……ここはやっぱり神楽しかいないわよねぇ。
そこらへんでいいから、適当にポーズを決めてよ。

(神楽)
適当って言ったって……う~ん、どうしよう? ピ、ピース♪♪

(雪音)
基本、咄嗟に出るポーズってだいたいこれなのよねぇ。平凡ねぇ、まったく。
まあ、いいわ。カシャッ。
神楽、撮ったわよぉ。

(神楽)
ワクワク♪ どんな写真が撮れたのかなぁ?
って、このカメラって! ボラロイドなの?! インスタント写真じゃない。

(雪音)
細かいことは気にしちゃいけませ~んのです。はい、完成と。
……ムムッ! やっぱり写ってますです。恐怖の心霊が……! それも大量に!!

(神楽)
ひえぇぇ~ッッ! もうひとつオマケに、ひえぇぇ~ッッ!!
それでそれで、どんな霊が写り込んでいるのよぉっ? まさかまさか、この前プシュゥゥッッ! したゴキちゃんとか?
雪音、見せなさいよぉっ、早くっ!

(雪音)
見て見て驚くなかれ。はい、神楽。

(神楽)
なになに? こ、これは……?!
有里・舞衣・千里・典子・佐緒梨。……茜って誰よ。まあ、いいとして。
これって全員、羞恥の風ガールズのメンバーじゃない。
それも全員揃って恨めしやぁ~の顔で整列して……あっ! ちゃっかり名刺まで見せて営業活動してるじゃない。これが心霊?

(雪音)
そうなんです。みんな揃って、ただいま公開中の『時は巡りて』に嫉妬シットしている彷徨える残留思念さんなんです。
あ~ぁ、恐ろしやぁ~ なまんだぶ♪ なまんだぶ♪

(神楽)
ち、ちょっと待ってよ……これは? ジーッジロリ。
どうして端っこで雪音がピースして写っているのよ? あなた、カメラを覗いていたじゃない。

(雪音)
そ、それは……

(神楽)
ま、まさか雪音。あなたって……?! というかあなたも……?!
彷徨える残留思念さんだったわけ?? 

(雪音)
後1カ月すれば神楽もこちらに……いひひひひッッ!!
なまんだぶ♪ なまんだぶ♪ チーン♪♪


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結ばれない想い























(12)
 


安積さん夫婦の哀しいお別れから3週間が経過した。
あの後、わたしは淳二さんに直接会っていない。
ううんちょっと違うわね。会っていないのは彼の方。

わたしはというと、大きな旅行カバンを手にマンションを後にする淳二さんを見送ったから。
夜明け前のゴミステーションの陰から。

がんばってね、淳二さん。
きっとあなたなら、哀しい過去も克服できるよ。
だいじょうぶ。瞬間恋人の神楽が保障してあげる。
だから……だからぁ、お土産を楽しみに待っているからね♪♪



「かぐらおねえたん、またあしたでちゅう」
「まもるおにいたんも、ばいば~い」

「さようなら~また明日ね」

お母さんに手を引かれながら何度も振り返る園児に、わたしは手を振っていた。
隣では引きつらせた笑顔を見せる守も、同じように腕だけは振っている。

「守は今日も触られちゃったね。大事なトコ。
うふふふ。若~い女の子に弄られるのってどんな気分なのかな?」

「か、からかわないでくださいよ。神楽様」

山門の影に車のライトが隠れるのを見届けると、わたしは守と連れだって、静けさに包まれた園舎へと歩き始めた。
さっきまでオレンジ色だった西の空も薄墨の空に塗り変わっている。

「ところでさぁ。その神楽様って呼ぶの、なんとかならないわけ?
守が律儀なのは今に始まったことじゃないけど、誰もいないんだし……その……神楽って、呼び捨てにしてくれてもいいのに」

最後になるにつれ声のトーンが落ちていく。
それでもわたしは、つられて落ちそうになる顔を引き上げた。
並んで歩く精悍な顔立ちの人を見上げていた。

「ねえ、キス……しよ」

わたしは立ち止まっていた。
小声でこっそりとおねだりしていた。

「神楽……様。ここでですか?
……あれから3週間。そろそろお身体のほうが?」

瞬間、守の目が見開かれ、見る見るうちにその瞳に影がさしていく。
恋人がキスをねだっているのに、大切な人は喜んではいなかった。
その顔は何かに耐えるように憂いに満ちていた。

「……うん、そろそろ影響が出始めているかも。
2、3日前から肌が火照ってきて、我慢はしているけど少し辛いの。だから守、お願い。優しくキスして」

わたしは守の手を引くと、園舎の壁際に誘った。
明かりの洩れる窓からは、行ったり来たりを繰り返す人影が映り込んでいる。

「守……」「神楽……さん」

ちゅぷ……ちゅぷぅっ……

自然な形で唇どうしが触れ合っていた。
わたしの口を塞ぐようにして、少し傾けた守の唇が押し付けられている。

「んむぅ、ちゅぷちゅぷ……守ぅ」

「はあぁ、じゅぷちゅぷぅ……神楽さん……神楽ぁ」

壁に背中を預けたわたしに覆い被さる大きな身体。心が安らいで温かくしてくれる神楽の大切な人。

小さくバンザイした両手の指に、硬く引き締まった指が絡み付いてくる。
指の間を互い違いに潜り抜けて、励ますように、それでいてどうしようもない焦燥感をその指が気付かせてくれて。

涙が溢れてくる。
目が合った守の眼尻からも光るモノが流れ落ちていく。

だからわたしのほうから舌を伸ばしてあげた。
舌の上に舌を乗せて、先ッポで届く処をすべて舐めてあげた。
密着した唇の通路を利用して唾液を流し込んであげた。

負けずに守も舌を動かしてくれる。
ふたりの舌が絡み合って撫で合って刺激し合って、疑似セックスをしている。
お互いの湧き出す唾液が、愛する液となってそれを演出していく。

「はんむぅ、むちゅぅ……守、愛してるよ」

「じゅぷじゅる……神楽ぁ。もう誰にも……誰の手にも触れさせたく……んんむぅ……」

わたしは更に唇を押し付けた。
胸も下腹部も密着させた。それ以上口にしてほしくなかったから。

ごめんなさい、守。
あなたの気持ちは痛いほどわかっているつもり。
でも、今はだめなの。神楽はあなたの恋人でありながら、あなたのモノだけではないの。
わかって。ね、お願い。

おへそのあたりに触れる熱くて硬いモノに切なさが増してくる。
堪えきれないようにあそこがジュンとして、太ももをよじり合わせてしまう。

だめ、感じてきちゃう。
わたし、キスしただけで子宮が疼いて、守のモノが欲しくなってる。硬くて熱いモノが。

わたしは上目づかいに、守の背中に拡がる星空を見つめた。
堪え性のないおっぱいがいやらしく張り詰めて、尖った乳首が期待するように厚い胸板に擦り寄ろうとする。

新月の夜空に浮かぶ満天の星々。
それがグシャグシャに滲んで流れて揺れた。

う~ん。却って逆効果だったかな?
ゆるゆると下へ降りていく守の手をピシャリと叩いて実感する。
哀しそうな守の表情に神楽も哀しくなって、もっともっと泣きそうになっちゃう。

ううん、でもその前に。パンツを穿き替えないといけないかも?



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恍惚の薔薇 第8話


  
                                          


第8話



        二人の間に重苦しい空気が流れ、暫く沈黙が続いた。

        「加奈、幸せ?」

        理恵は、じっと加奈を見つめながら問いかけた。

        「あ、うん、、まあね……」

        加奈は、俯き加減で答えた。

        「そりゃ幸せだよね、准一と結婚できたんだから……」
        「……な、何言ってんの?理恵だって幸せでしょ?」

        「うん、8年前まではね……」

        二人の間に、重い空気が流れ、おもむろに理恵がつぶやいた。

        「あぁ~、でも嬉しかったな~!」
        「何が?」
        「だって准一、今でも私の事を愛してくれてるんだもん!」
        「えっ……?どういう意味?」
        「どういう意味って、今言ったでしょ、准一は私を愛してるのよ」
        「何それっ? 理恵っ!あなた正気!」
        「正気よ。だって昨夜、私と准一愛し合ったのよ」
        「……」
        「准一素敵だったわ!だから私も燃えちゃった!」
        「嘘よ!そんなの嘘だわ! 理恵っ!いったい何なの?ふざけないで!」
        「ははははははっ~~」
        「何がおかしいの?」
        「じゃあ、証拠聞かせてあげるわ!」

        理恵はバッグからボイスレコーダーを取り出しスイッチを入れた。

        音声-------------------------------------------------------------

        「准一~~、、どお~? 気持ちいい~~?」
        「あぁ、、いい、気持ちいいよぉ~~、、」
        「ど、どっちがいい~~?」
        「えっ~~? ど、どっちって~~?」
        「か、加奈のと、加奈のオマンコと~~?」
        「えっ~~?、あぁ、、理、理恵の方が、、いい、、」
        「も、もっと、もっとはっきり言って~~」
        「あ、うぅん、、理恵の、理恵のオ、オマンコの方が、いいよ~~」
        「准一~~~、嬉しい~~~、、あぁ~~~」
        「理恵、、理恵、、理恵、、はぁ、、はぁ、、はぁ、、」
        「准、准一~~、、わ、私、、も、もぉ~~ダメ~~、、」
        「僕も、、僕も、ダメ~~、う、う、う、、あっ!で、出るぅ~~」
        「出るぅ~? 出るのぉ~? 出してぇ~!」 
        「い、いくよ~~、、理恵~~、いくよ~~」
        「きて~~~、そ、そのまま出して~~~~~」
        「えっ?、、あっ、う~ん、あっ、あっ、あ~~~、いくぅ~~~、あぁ
        ぁぁ~~~~~」
        「私も、私もいくぅ~~~~~、あぁぁぁ~~~~~」

        -----------------------------------------------------------------

        蒼白になっていた加奈の顔面は、瞬く間に紅潮した。

        「ほらっ、私と准一でしょ、わかるでしょ?」
        「……」

        加奈の身体はガタガタ震えだした。

        「理恵っ!あなたこんな事してタダではすまないわよ!」
        「えっ?何言ってるの?准一を寝取ったのは誰なの?」
        「……」
        「准一は、あなたが妊娠したから責任を感じて結婚したのよ。本当は私
        を愛してたのに……」
        「私は准一と結婚してるのよ!私は准一の妻よ! 不貞行為であなたを
        訴えてやる!」
        「訴える?私を?ははははははっ~」
        「……」
        「訴えなさい!訴えても私からは何も取れないわよ」
        「慰謝料を請求するわ!」
        「請求しても無駄よ。私お金持ってないし…… 無いところからは取れ
        ないの。はははっ~」
        「事務所の先生に相談するわ!そして給料を差し押さえてやる!」
        「先生に? ははははははっ~~」
        「何がおかしいのよ!」
        「先生にバレたら准一クビになるわよ。私、先生の愛人なの。だから止
        めときなさい!」
        「愛人?」
        「ええ愛人よ!だから私の言う事は何でも聞いてくれるわ! だから准一
        をクビにするのは簡単よ。ははははははっ~~」
        「……」
        「家のローン、まだまだたくさん残ってるんでしょ?はははっ」
        「理恵、あなたって恐ろしい女ね!」

        加奈は息遣いが荒く唇が震えていた。

        「そうそう、さっきの音声だけどCDに全部録音しておいたわ! 一部
        始終、後からゆっくり聞いてね!」

        理恵はバッグからCDを取り出し加奈に投げつけた。



        翌日理恵は成田空港に向かう途中、フラワーショップに立ち寄った。

        「すみません。薔薇の花束を下さい」
        「贈り物ですか?」
        「はい、ここに届けて下さい」

        理恵は、篠田のマンションの住所が書かれたメモを渡した。

        「それからこれを添えて下さい」

        理恵が差し出したのは、1通の手紙だった。

        -----------------------------------------------------------------

        『先生、私の事は忘れて下さい。長い間お世話になりました。 理恵』

        -----------------------------------------------------------------

        1時間後、理恵は成田空港にいた。

        (さよなら、准一……)

        理恵は空港内のゴミ箱に、ボイスレコーダーを投げ捨てた。
        そしてハワイ行きのアナウンスが流れると、理恵は清々しい気分でタラ
        ップを登った。


        【恍惚の薔薇 完】




※ この作品は、ましゅまろくらぶ 真理子様から投稿していただきました。
  尚、著作権は、ましゅまろくらぶ 真理子様に属しております。
  無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。



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人の心 鬼の心























(11)
 


わたしは床に落ちたバスタオルを身体に巻きつけると、四巡……ううん、お父さんに寄り添った。
あごを伝って滴る大粒の汗。
肩を大きく上下させる荒々しい呼吸。

四巡は刀を振り下ろしたまま、身体を彫像のように固めている。
滞留する霊力を放出して、黄泉の使者を足止めさせた『現世保時』という秘術。

春夏秋冬家としての使命は終わっているのに……
この術って、ひとつ間違えば自分の命だって危ないのに……
神楽のわがままを聞いてくれて……

お父さん、大好き♪♪
こんなお人好しのお父さんが……だから……
「がんばってよ。輪廻の霊媒術師」
一生懸命、応援してあげる。

魔剣の切っ先を辿るように光の扇が左右に開く。
その中から、浄化された大気とともに穢れのない女性が姿を現した。
見覚えのある花柄模様のワンピースを身に着けた美しい人。
もちろん、在りし日の姿そのままに……

その表情には、未練も怨みも存在しない。
あるのは、大切な人と過ごした思い出。大切な人と過ごしたかけがえのない記憶。
それを証明するように頬を濡らす涙。

「ど、どうして?!……どうして……君が……?!」

「……淳二……」

淳二さんはふらふらと立ち上がり、両手を伸ばした。
愛する人の涙を拭おうと、手の甲を揺らせた。

「ありがとう、淳二。こんな私に優しくしてくれて……」

虚空を撫でるだけの指をやさしく押しとどめた彼女は、自分で頬を拭った。
そして、淳二さんの面影を心に刻むように話し始めた。

「もう、1年よね。私が死んじゃって……
記憶にあるのは、迫ってくる車の影と激しいクラクションの音。
そして、気が付いたときにはもう……
後悔したわ。寒くて心細くて真っ暗な道をひとり歩きながら、ものすごく後悔してたの。
『お願い。時間を戻してよ。私、まだ死にたくなんかない。あなたと……淳二とこれから幸せな生活をしたいの。
赤ちゃんだって欲しいし、子供が大きくなったら家族で旅行もしたい。
ううん、ふたりして仲良く年を取っていって、孫に囲まれながらおじいちゃん、おばあちゃんになっていきたいの』って……
だから私、あんな魔物の言葉に騙されて……」

「すまない京香。謝らないといけないのは、俺の方だよ。
君を失って心に大きな穴が空いて……紛らわせようと酒に溺れて、その上……」

「ううん。いいのよ、そんなこと。
だってあなたは生きているんだから。私の分まで幸せにならないといけないの。
そして、私もいつかは生まれ変わる。新たな人の命として、世界のどこかで……」

京香さんが、お父さんとわたしを見ている。
まぶたから清らかな涙を溢れさせながら頭を下げる。

お父さんが苦悶の表情を浮かべた。
光の扇が次第に狭まり、輝きが淡く薄らいでいく。

「さようなら、淳二。もう行かないと……」

「ま、待ってくれ。京香」

消え失せていく光の女性に差し出される生身の両腕。伸びきる両指。

「もう一度……きれいな身体であなたに会えて……私は幸せ。
さようなら……じゅん……じ……」

「京香ぁっっっ!!」

途切れそうな呼吸の隙間から、解脱の印がささやかれる。
その瞬間、光の扇がぴたりと閉じて闇の世界へと姿を消した。

「終わったのね?」

「ああ……」



「あ、阿傍様ぁっ! 羅刹様ぁっ! た、大変ですッ!」

陽の光から忘れ去られて数万年。
地中から湧き出すマグマこそが光の源の世界に、けたたましい子鬼の叫び声が響く。

「なんじゃあっ、騒々しいっ。お前もこの川で泳ぎたいのかぁ?」

「い、いえぇ、ご、ご勘弁をぉっ」

成人男性の半分くらいの背丈しかない子鬼は、チラリと真っ赤な流れに目をやり身震いをする。
なみなみと流れる溶岩の川で、人の群れが戯れている。
彼ら彼女は服を身に着けていない。
素裸のまま金属をも溶かす液体の中で、互いの身体をむさぼり合っている。
男と女。男と男。女と女。好き合う者。親と子。兄と妹。姉と弟。
全身の肌を焼かれながらも、互いを感じさせ合い嬌声を響かせる。
そう、ここは『無限性愛の獄』と呼ばれる地獄の業のひとつ。

「でぇ、用件はなんだっ?」

人の背丈の倍は十分にある牛の頭をした鬼が、ひれ伏す子鬼に声を落とした。
両腕は人の手。両足は頭と同じく牛の蹄。地獄を棲みかとする鬼、阿傍(あぼう)である。
もう1体。こちらは全身の肌を漆黒に染め、深紅の髪を持つ鬼、羅刹(らせつ)である。

醜く発達した瘤のような筋肉、耳まで裂けた口に濁り切った瞳。
そんな鬼たちが惰性のように腰を突き出している先には、素裸のまま膝まつく2体の女がいた。

「実は、怨鬼様が四巡によって葬られましたんでぇ」

小鬼が恐る恐る話しかける。

「なんだとぉっ、恨鬼の奴が……グゥゥッ、またも四巡によってかぁッ!」

「いや、あ奴程度の力では、存外敵わぬ道理やも……
かつての霊力を失ったとはいえ、始祖、鬼巡丸以来の逸材といわれた男。
五年前、我らを死の淵にまで追い込んだ四巡を阿傍も忘れてはおるまい?」

悔しさを滲ませ、驚きの声を上げる阿傍に、羅刹は同意とばかりに頷いた。

「フグゥゥゥッッ! 五年前……そうじゃ忘れようもない忌々しい事じゃ。
我はこの片眼を失い、羅刹。お主は利き腕をやられた。
いやそれ以上に、我ら鬼族の大半を消失させられるとは……」

「ふぐぐっ、そのことよ。だが手は打っておる。
失った鬼族のネタならいくらでも調達できるというもの。現世においてな。
それよりも、急ぐべきは我らのほうじゃ。痛めつけられた身体を早々に治癒せねば次の謀に遅れがでるというもの」

羅刹の目が紅蓮の川に注がれる。
阿傍もまた溜飲を下げるように、鬼と化す人の情念に牙を剥き出しにする。
2体の表情に悲観は微塵も感じられなかった。あるのは不敵な笑みのみ。

「あううぅっ、がまんできないぃっ、阿傍様ぁ、もっとぉ、もっとおぉぉぉっ」
「わたしもぉっ、羅刹様ぁっ。あなた様の太いおち○○んでえっ、ふぐぅぅぅっ」

そんな鬼たちの会話が途切れるのを待っていたかのように、うら若い女たちが声を上げた。
自ら尻を突き出しよがり狂う、浅ましい姿。

だが子鬼は知っていた。
この者たちが、無実の罪でこの地に送り込まれたことを……

不幸な死に様をした仲の良い姉妹を、自分たちの性欲の捌け口にするためだけに、騙され連れて来られたことを……
可哀そうに……

地面に頭を擦り付けながら、子鬼は人であった頃の懐かしい感情を思い出していた。
その目と鼻の先では、尻の皮を破られながらも人の腕ほどの肉棒を出し入れされる姉妹の悦びの声が……
女の身体を弄びながら新たな策を練る愉しげな鬼たちの声が……
互いに調和し、いつ果てるかもしれない地獄絵図を描いていく。



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少女涙の羞恥生活 2  登場人物紹介





















  
  【登場人物 紹介】



  早野 有里  
 
今年の春、高校を卒業し大学に進学した18歳の学生。        
ポニーテールの髪型がトレードマークの美少女であり、本作品のメインヒロイン。
運動神経が良く何事にも前向きで、少々のことでは弱音を吐かない勝気な性格。
難病に侵されている父の治療費を工面するため、出資者である男たちに自ら清純な肢体を差し出した。
処女喪失・電車内公開恥辱・オナニー撮影・後背位セックス・騎乗位セックス等々。
そして、今日も男たちによる羞恥な責めは続く。


  吉竹 舞衣 
     
本作品のヒロインのひとりで、有里の高校時代からの同級生で親友。
彼女と同じ大学に通っている。       
活動的で明るい性格の有里に対して、やや内向的な性格の和風的美少女。      
ただし、頑固な面も持ち合わせており、大切な人のためなら身体を差し出すこともいとわない。
だがその性格が災いし、有里を弄ぶ男の卑劣な罠に嵌り、自らの手で処女を散らすことになる。
一時有里とは、あることが原因で絶縁状態だったがその後和解している。        


  水上 千里
   
本作品のヒロインのひとりで、有里の父親を担当する美人看護師  21歳  非処女        
面倒見の良い性格から、有里や舞衣に頼りになるお姉さんとして慕われている。        
ただし、正義感が強く勝気な性格から一部の同僚看護師には疎まれている。
彼女には3年前に自殺したとされる兄がいたが、その兄と勤務する病院内で再会。
だがそれは、上司である松山とその裏で糸を引く時田謙一の陰謀であり、彼女もまた有里・舞衣の後を追うように自らの身体を差し出すことになる。


  榊原 茜

本作品のヒロインのひとりで、2歳年上の千里を実の姉のように慕う同僚ナース 19歳 処女
小柄な体型で子供っぽい仕草をすることもあるが、ナースとしての仕事は一人前。
それは、千里も認めている。
性格を一言で表すなら、天真爛漫という言葉がぴったりの美少女である。

      
  なぞの人物

ヒロインたちの後を追うように、いつも一緒に行動している。正体不明のなぞの人物。
(たまに、他の美少女を追い掛けている場合あり)
ピンチになったヒロインを励ますこともあるが、基本的に役立たず。
有里には、きみと呼ばれ、舞衣と千里には、アナタと呼ばれている。

        
  早野 勇 
  
有里の父親      
不動産会社に勤めていたが、同僚の陰湿な計略に嵌り会社を追われる。      
その後、体調を崩し入院。現在は意識がない状態。     
その上病状が悪化し、高額な費用をかけて治療を行わない限り生命の保証はない。
       

  早野 君枝 
 
有里の母親       
夫の入院費と家計のため、スーパーで慣れないレジ打ちをして家計を支えている。
家事などをそつなくこなし、有里にとって良き母親であるが、性格は少々悲観的。     
 
      
  吉竹 亘 
  
有里の父、勇の元同僚で、舞衣の父親である。     
嫉妬深い性格で出世欲が強い。
早野勇を卑劣な罠で陥れた張本人であるが、次期社長との噂も……
娘の舞衣には好かれていない。
 

  吉竹 美沙子 

舞衣の母親。       
夫に愛人ができたショックから立ち直れずに、自堕落な生活を送っている。

         
  時田 謙一 
 
有里の住む街に本社を構える、巨大金融グループの社長       
欲しい物を得るには、手段を選ばない強欲な人物。       
女性に恥辱的な行為をさせては、それを撮影、映像化し、自分のコレクションとして保有している。       
ただし、自分は一切行動せずに何人かの部下に行為を任せている。
       

  副島 徹也 
 
時田謙一の直属の部下であり、有里・舞衣に対する恥辱行為を担当している。       
長身だが、見た目は華奢な体格。いつも高価なスーツを身にまとっている。      
丁寧な話し方の割に冷酷な男で、耳障りなハスキー声が特徴。 


  松山医師 
  
有里の父親の担当医であり、千里の上司でもある。
医者としての腕はそこそこだが、女を弄ぶことに悦びを感じる悪徳医。 
内科部長の肩書を持ちながら、実業家である時田の配下として看護師の千里に目を付ける。
常に同業の副島をライバル視しているふしがある。     


  横沢 良一 
 
時田謙一の部下でありながら、副島にアゴで使われている。       
主に有里たちの行為を撮影するカメラマン役をこなしている。       
何事にも、無反応、無表情だが、彼こそが3年前自殺したとされる千里の兄である。      


  上條 理佐

有里と舞衣の親友。  
有里曰く、スタイルが良くて美人らしい。
大学内の情報収集が趣味。

       
  門田 頼子

有里・舞衣の同級生でルックス・スタイルOK。でも性格は……?
いつも何人かの取り巻きを引き連れている。
有里に言わせると、『この人の性格は、わたしは好きじゃない』とのこと。



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