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春夏秋冬家 第二十四代当主 四巡























(10)
 


観音開きの扉から姿を現したのは、古の衣装を身に纏った長身の男。
白銀色の絹で織られた袍(ほう)と呼ばれる上衣に、紫紋入りの紫袴。
腰帯には漆黒の鞘に納められた長さ1メートル近い直刀。
そして、袴と鞘に染め抜かれた春夏秋冬(ひととせ)家の家紋『丸に違い譲り葉』

「ほおぅ、小生をご存じとは……
いかにも、我が名は四巡。春夏秋冬家、第二十四代当主にして、通り名を輪廻の霊媒術師。
言うなれば、お主のような存在を『浄化』し『転生』さすのが我が一族が代々果たさん使命」

(小娘ッ、お前も春夏秋冬家の……?! くぅぅぅッッ、卑劣なぁッ!)

彼女はお父さんとの間合いを保ちながら、壁伝いに入り口付近へと移動していく。
そして、実体化した身体を昇華し気体に変化させると、一気に扉に向かって飛んだ。

この人から逃れようとしたって無駄なのに……

バシッバシッ、ビシィッッ……!

(んんガガガッッッ! ヒグゥゥゥッッ?!)

邪気の塊がドアに触れた途端、青白い光がスパークするように部屋を覆う。
そのツケを払うように響く、獣と化した彼女の叫び声。
『定鬼結界の護符』
そう、この部屋からは一歩も逃げられない。
この世のモノではない、鬼はね。

わたしは彼のモノをそっと引き抜くと、淳二の頬に手を添えた。
万が一に備えて観鬼の手鏡も手元に寄せた。

「あなたには見えないかもしれない。聞こえないかもしれない。
でも、顔を上げて。心に感じて。大切な人の面影を……」

戦いはまだ続いている。

「我が春夏秋冬家の札味、如何かな? 怨鬼殿」

憐みよりも嘲笑じみた呼び掛け。
それが、この霊媒術師の実力を表し、彼女にとって勝ち目がないことを諭している。

(ヒャァァアアッ! こんな筈は……?! あ奴は妾の思うがままだと……)

「ふっ、哀れな……さては、三途の渡し番、虚実夜叉にでも唆かされ申したか?
『現世に未練あるならば速やかに戻られよ。我も力添えしてしんぜようぞ』とな」

(キィィィィッッ! ならば……せめてお前をッ! 死ねいッ四巡ッ!!)

焼け爛れて四散した邪気が四巡と対峙するように集約していく。
命を失ったその時を再現した上半身。
……違う。憎悪の鮮血に染まった鬼の心を持つ彼女が、人の心を忘れて吠えた。

「往生際の悪いことよ」

四巡の右手が流れるように刀の柄を掴む。
寸分の狂いもない、鞘をこするメロディー。
薄闇に白く輝く直刀の魔剣。『隠滅顕救の剣』(おんめつけんきゅうのつるぎ)

(そのような鈍刀、妾の敵など……?! うっうぅっ、動かぬ! か、身体が……?)

5本の指から伸びる鉤爪が虚しく空を切る。
血走った眼を大きく見開いたまま、宙に浮かんだ鬼女の身体が金縛り状態にされる。

鋭角の切っ先を下に向けて、床に突き立てられた剣。
『定鬼影縫い』

春夏秋冬家に代々引き継がれた剣の秘めた力と、それと融合する四巡の霊力。
そして、柄を掴む両指が『浄化』の印を結ぶ。

「隠は滅し、顕れたるもの救われん。
即ち、隠とは『鬼』であり『怨念』穢れし衣なり。
春夏秋冬四巡、役命によりお主が纏うもの貰い受ける」

低く囁くように詠唱される四巡の詩声。
その声が終わりを告げると同時に、部屋を構成する大気が震えた。
断末魔の悲鳴と共に、鬼女の身体が歪み引き伸ばされていく。
穢れた皮膚がバリバリと音を立てて、亀裂が生まれる。

(ヒギィィィッッ! わ、妾の身体がぁッ……ウグゥゥゥッッ、身体がぁッ……阿傍さまぁっ、ら、羅刹さまぁッ! お、おたすけ……フグゥッ)

「な?! 阿傍……羅刹とな!」

四巡が低く呻き、息絶えた鬼女の身体は内部から崩壊を始める。

「いやだ! こわい……こわいよぉ!」

「淳二さん、しっかり。逃げてはダメ!」

ベッドの上でわたしは、子犬のように震える淳二を抱いた。
目には見えない。耳にも届かない。
でも、肌で感じる不愉快にざわつきと砕かれそうな心に、大切な人の叫び声を聞いて……
苦しくて哀しいのに、自分にはどうすることも出来なくて……

隠滅顕救の剣が、青白い光に包まれる。
怨嗟の鎖が断ち切られて、分解されていく邪気。
それをエネルギー源にして、薄闇の部屋も青白い世界へと変化している。

四巡が『浄化』の印を解く。
間を空けることなく『転生』の印を結ぶ。

「浄刹に鎮座し神々よ。穢れ払いしこのものに転生の衣を与えん。転生の翼を与えん。
ここに、春夏秋冬四巡の名において欲す。隠滅顕救……輪廻転生……」

指を伸ばしては折り曲げ、現われては消える印を切りながら、四巡の詠唱は続く。
やがて、その声が途切れた時、光り輝く剣は天を突くかのように高々と掲げられた。

そして……

シュィンッッッ!!

部屋の中を光が走り、風の音が追い掛けていく。
見えない闇を切り裂くように、魔剣は四巡の手により真下へと振り下ろされていた。

「出でよっ! 忘れゆく名を持つものよ。我の力にて今しばらくの時を稼がん」

ありがとう、お父さん。



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4次元空間って、すっぽんぽん?!




















 
皆様、ごきげんよう。物語もいよいよ、ハラハラドキドキの中盤戦に突入。
大好評連載小説『時は巡りて』でヒロインを演じております、春夏秋冬 神楽(ひととせ かぐら)です。
日夜、常人には見えない魔のモノを成敗しておりますです。はい。

(雪音)
な~にが魔のモノを成敗よ! 
要するに神楽の身体を撒き餌にして、格好いいお兄様がエイヤーッするパターンじゃない。
神楽はその間、エッチな処を弄られて「あ~ん♪」とか「うふ~ん♪」でしょ。
ぐふふふふっ、好きねぇ。あぶあぶノーマルなプレイが。

(神楽)
あららら?! 誰かと思えば旧々作品『シャッター・チャンス』のヒロイン。雪音さんじゃありませんか。
人間界への復帰、おめでとうございます。
あちらの世界はいかがでしたか?

(雪音)
ふ~うぅっ、やっぱり娑婆の空気は格別だねぇ……って、なに言わせるのよ。このインチキ霊媒師っ! 
神楽のヘンテコ術のせいで、3週間も4次元空間を彷徨っていたんだから。
宇宙戦艦トマトみたいに。

(神楽)
ほぉ~っ。どおりでお顔が4次元風に歪んでると思った。
でも、森雪みたいにスッポンポンにはならなかったのね。ちゃ~んとお洋服も着てるじゃない。
ファンの皆様としては、残念というか無念というか……
ま、まあ、良かったじゃない。無事に生きて戻れて。あのまま宇宙の墓場でミイラになってると思ったのに。
うん、メデタシ♪ メデタシ♪

(雪音)
こら勝手にハッピーエンドにしないッ!
神楽のせいで、前作の登場シーンを奪われちゃったじゃない。あの仕切り屋娘の有里なんかに。
どうせあの子のことだから、ちゃっかりアピールしてたでしょ? 『少女涙の羞恥生活』をよろしく~ぅ、とかなんとか。

(神楽)
うん、言ってたわよ。でも当然でしょ。
ここは主演小説アピール合戦の舞台なんだから。
さあ、神楽もお仕事を開始しまぁ~す♪♪ ここからは、『時は巡りて』予告コーナーに移らせていただきまぁ~す♪♪


  第10話  5月31日  日曜日
  第11話  6月 3日  火曜日
  第12話  6月 6日  金曜日


時刻は、それぞれ午後8時を予定しています。
出演はヒロインであるわたし、春夏秋冬 神楽が務めさせていただきます。

科学文明が発達した現在においても、この世に未練を残す邪悪な闇は蠢いている。
だが、その闇を切り裂く者たちがいる。うら若き見習巫女『神楽』
彼女もまたそのひとりとして果敢に立ち向かう。差し出す身体を武器として……ご期待ください。


(雪音)
雪音だってアピールしたいてぇ~す。とっきーさっきーぃぃっ、『シャッター・チャンス 2』を作って作って♪♪
雪音、もっともっとサービスしちゃうからさぁ。
なんなら、神楽と一緒にプチレズなんてどう? 雪音がタチ役で。ひひひひっ……

(神楽)
ピッピーッ!! お子様がそんなこと言ったらダメでしょ。
前から話そう話そうと思ってたんだけど、雪音って何歳なのよ?
ちなみに神楽は、この春に高校を卒業したピチピチの18歳でぇ~す♪♪

(雪音)
わぉっ! 神楽っておばさまの一歩手前だったのね。これからお肌の張りも下り坂一直線の。
ちなみに雪音は、まだまだ現役の高校生でぇ~す♪♪

(神楽)
ムキキーッ! だけど、だったら雪音、年上の人には敬語を使いなさい。
神楽の方がお姉さまでしょ。お~ほほほほっ……

(雪音)
はぁ~い。わかりました。これからは言葉には気を付けまぁ~す。
神楽お姉さま、ごきげんうるわしゅ~しゅ~でございまするですはいな。
バージンを喪失した経緯を、こっそりみっちり教えてくださいましましです。

(神楽)
とっきーぃぃっっ! こんな壊れたお子様、さっさと廃品回収に出しちゃってよぉ~。
あっそうだ♪♪ もう一度4次元空間に強制送還しちゃおうかな? うふふふっ♪♪


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なれの果て……怨鬼























(9)
 


ピシッ! ピシッ! ピシッ! 

生木を引き裂くようなラップ音が、部屋のあちこちでする。
室内を暖かく照らしていた照明がチカチカって震えて蝋燭を吹き消したように消えた。
残されたのは、重なり合う身体を薄明るく照らすベッドライトのみ。

「な、なんだ?! て、停電? それにあの音?!」

わたしと深くつながったまま、淳二さんの腰が止まった。
霊感に乏しい普通の人でも、五感が刺激されるような変化にはさすがに気付いちゃうよね。

「だめぇ、やめないでぇ。淳二さん続けてっ!」

「でも……やっぱりこれが……ああ、ああああぁぁッッッッ!!」

「うっぅぅっ、お、重たい」

まるで幼い子供みたいに淳二さんがしがみついてくる。
何も見たくない。何も聞きたくないというように、おっぱいの狭間に顔を埋めてイヤイヤをしている。

彼女が唇の端を上げて笑った。
首だけで宙に浮いていた姿が上半身をリアルに再現して、愛する彼の背中に貼り付こうとする。
愛らしい花柄のワンピース。
その右半分も、真っ赤なモノで染め上げて……

でも、こんなの見慣れていて全然怖くないんだから。
どんなにあなたが実体化しても、指一本触れることさえできないんだから。
その程度の霊力ではね。

わたしは彼の頭を撫で撫でしながら、そっと聞こえるようにささやいた。

「大丈夫よ、淳二。大丈夫だからね♪
だから、さあ、神楽のエッチなお肉を刺激してぇっ!
もっとぉ神楽をあいしてぇ。もっとぉ深くぅ、淳二のおち○○んでぇっ!」

「はあぁ、う、うん」

さっきまでの欲情に取り憑かれた表情が消え去っている。
残っているのは、臆病で純真な少年の面影。
そんな彼をわたしは年下なのにリードしていく。
なんとなく可愛くて、守ってあげたいって気にさせられて……

だから、おっぱいに埋もれた顔を引き離すと、お互いの唇を吸い合った。
濃厚な唾液の交換をしながら、促すように腰を揺らせてあげた。

ズニュズニュ、ジュチュ、ジュチュ……ズズゥ……

「ふあぁ……あぁぁ。淳二、じょうず……んんっ、神楽ぁ気持ちいいぃぃっ!」

「はあ、お、俺も……神楽の膣(なか)って、今までの誰よりも熱い。
それなのに、うぅっ、締め付けられてっ!」

初めてなのに……彼とは一夜限りの初めてなのに……
熱くて硬い肉の棒が、神楽の膣にフィットしている。
優しくて刺激的な挿入に、敏感な壁が悦んでエッチなお汁が溢れてきちゃう。

(……淳二……さん。私の……淳二。ううっ……うっ、ううぅっ……ゆ、許さないッ! あんたぁッ! 許さないからねぇッッ!!)

ピシッ! ピシピシピシィッッ!

大気が振動する。
彼の背中に頬を寄せている、この世の人でない女性。
その人をめがけて、部屋に残る無垢な気が吸い寄せられて邪へと変化していく。

わたしはその様子を観察しながら、淳二さんの腰に足を絡めた。
自分の世界に閉じ籠ったまま一心不乱に腰を振る彼と、更に深く深くつながった。

「ふああぁっ、出してぇ。神楽のあそこに射精してぇっ……淳二ぃっっっ!」

(殺すッ! あんたを喰い殺してやるッ!!)

彼女は直接わたしの精神に訴えかけながら本性を露にする。
顔半分にべったりとに貼り付き、頭頂部から後頭部にかけて逆立たせた長い髪。
額を縦に走る瘤のような青筋。
カッと見開きながら斜め上に吊り上がった濁った瞳。
耳の下まで裂け、血のように赤いくちびる。
そして、その端から覗く鋭い牙。

怨鬼!!

「ううっ、はあ……神楽ぁ、で、出るぅっっっ!!」

その時だった。背中に彼女を背負った淳二さんが、合わせた肌を通して振動を伝えた。
同時に硬くなった分身が、神楽の膣で爆ぜるのを感じる。

どぴゅうぅぅ……どぴゅぅ、どぴゅどぴゅどぴゅ……

「はああぁぁんんっ、はげしいぃっ! 淳二のぉ……ふあぁっ、でてるぅっ、噴き付けられちゃうぅぅっっ!!」

(ヒイィィィッッッ! おのれェェッッ!!)

背中に貼り付いた彼女の首が伸びる。
引き伸ばされた首筋に蛇の鱗を纏わらせて、どす黒い血に染まった口を開けた。

人間のものではない鬼の牙。
それがギラリと光る。
集約した邪気に寒々しいまでに青白く染まり、一直線に落ちてくる!
神楽の喉元めがけて喰らい付こうとする!

ボォォッッッ!!

「待ていッ!」

突然、部屋に響き渡る凛とした声。
それと符号さたように、ワードローブに貼られた祈札が紅の炎を上げて燃え上がる。

「遅いよっ、お父さんっ!」

(なにものッ!)

ゴムのように伸びた女の首が、芝居じみた声の主を探る。
文字通り首の皮一枚のところで、怨鬼の動きが止まった。
わたしは、淳二さんのモノを挿れたまま身体を起こすと、鬼となった彼女を見つめた。

「ごめんなさい。でも……こうするしかないの。ふたりの今後のためには……
さあ、あとは任せたわよ。四巡!」

(四巡……? まさか、輪廻の霊媒術師?!)

お父さんの名前を耳にした彼女に動揺の色が浮かぶ。
わたしにしがみ付いたまま離れない恋人に憂いの眼差しを向け、さっと表情を引き締めると部屋の端を睨んだ。



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鮮血に染めた顔























(8)
 


「ちゅぶ、ちゅぷ。はんむぐ……神楽さんの乳房、なんて柔らかいんだ。
それに、尖った乳首も小さくて可愛らしくて……カリッ!」

「ひゃあぁぁっ、だめぇ淳二さん。ち、乳首は噛まないでぇっ……神楽ぁ、変になっちゃうぅ」

身体の位置をもっと上にずらせて、わたしのおっぱいの下には淳二さんの顔がある。
神楽のふくらみに交互にしゃぶりついては、舌の先っぽで乳首をクルクル回されて転がされて、わたしの反応を楽しむように前歯を当てられた。

お父さんがいるのに……
姿を隠して気配まで消しているけど、お父さんが覗いているかもしれないのに……
でも、肩の関節から力が抜けちゃう。
ひじもガクガクして隙間が消滅して、胸のお肉が淳二さんの顔を包みこんじゃう。

「はあぁんん、いやぁ……おっぱいからぁ電気が流れちゃうぅぅっ。もう……そんなぁ許してぇっ」

ハイヒールの音が部屋の前で消えた。
わたしは淳二さんの舌に背中をびくんとさせながら、待機させた霊感に気配を探らせる。

ぴんと張り詰めた空気がわずかに歪み始めている。
この世のものではない異世界の気体が、見えないドアノブを回し見えないドアを開いて侵入してくる。
まるで、生きているときのように……
ううん、生きていると言い聞かせたくて、幻影のドアを作りだしたのかも?

「はあ、はんむっ。神楽ちゃん、そろそろ……いいかな?」

ぎこちなかった淳二さんが甘い声で囁きかけてくる。
いつの間に脱いだのか、ひざのあたりをダイレクトに硬い肉の棒が触れて、それの意味を教えてくれる。

「はうぅっ、んあぁっ。いいよぉ、淳二さん。きてぇ、神楽の膣(なか)に入れてぇっ」

わたしは、身体を起こすと仰向けに寝転んだ。
ダブルベッドの上でひざの裏側に両手を差し込んで、足を縮めたカエルのように両足を広げていた。

恥ずかしくなんかない。
そうよ。わたしは『輪廻の霊媒術師 春夏秋冬 四巡』のひとり娘、神楽なの。
おっぱいを弄られて大切なトコ、濡れちゃっているけど平気よ。
これがわたしの役目だから……神楽が決めたんだから……
淳二さんとの最初で最後のセックスでも全然気にしないんだから……

天井で渦を巻いていた邪気が、どんどん立体化している。
鏡を通して見るその姿は……
髪が長くて淳二さんと同じくらいの年齢で、交通事故に会ったと聞いているけど、やっぱりというか、顔の半分が鮮血で染まっていて……

「ごくっ、ここが神楽ちゃんの……お、おま○こ?!
き、きれいだよ。そう……だよね。まだ18歳だもんね。
恥ずかしい毛だって薄いし、割れ目だってお肉がぷっくり膨らんで……ああ、感じていたんだね。
ヒダの下からエッチな液が滲み出ちゃっているよ」

「いやぁ、そんなに見ないでよぉ。神楽、恥ずかしい♪」

淳二さんは自分のモノを握り締めたまま、身を乗り出すようにして神楽の恥ずかしいトコを覗き込んでいる。

あなたの大切な人が近くにいるのに……
あなたはまだ気付いていないかもしれないけど、さっきからベッドを覗き込んでいるのに……

でもわたしは、そんな彼女を挑発するように彼に甘えるの。
まだこんな邪気では足りないから、淳二さんの前で神楽の女の子を見せてあげるの。
ちょっと震えて羞恥心に心が押しつぶされそうだから、恨めしそうな淳二さんの彼女に鼻で笑ってあげるの。

お父さん、もう少しだからね。
ちゃんと準備しといてよ。

わたしはもう一度、部屋の端へと視線を送った。
そして、いつまでも覗かれるのは辛いから、膝に当てていた両手を前に突き出した。手のひらを広げた。

淳二さん、さあ来て♪ って感じで……

「神楽ちゃん! か、神楽ぁっ!」

チュプッ、チュブッ……ズズズッ……ズリュッ……

「あうぅっ……くうぅぅっ……一気にぃっ、きついぃぃっ!」

おとなしそうな淳二さんが、別人のような形相であたしの上に圧し掛かる。
一息で腰を押し出す。

カチカチに硬くなったモノが、膣のなかへと挿入される。
濡れてはいるけど、痛くなんかないけど、緊張して強張った肉の壁を強引にこじ開けられちゃった。

我を忘れた淳二さんに、一瞬恐怖を感じた。
神楽の脳裏にぼやけた守の顔が浮かんでは消える。
でもそれが影響したのか、彼の背中で長い髪の彼女が薄ら笑みを浮かべた。

いけない! 邪気のパワーが落ちてる!
わたしが苦痛を感じれば感じるほど、彼女の満足感が邪気をパワーダウンさせちゃってる。
つまりこういうこと……
神楽が淳二さんの大切な人になっちゃえばいいの。
憎しみや嫉妬、哀しみが、邪気をパワーアップさせる最高の食材だから。
そうすれば、後のことは輪廻の霊媒術師さんが……

ズ二ュッ、ズニュ、ズニュ……ズズズ……

「ああっ、ふうぅっ……淳二のぉ、硬くて熱いよぉ。もっとぉ、もっと突いてぇっ!」

いやらしい声で、はしたない言葉を叫んじゃった。
連続で腰を上げ下げしている淳二さんを協力するように、あたしも腰を持ち上げた。
びっしょり濡れている割れ目を上向きにして、もっと深く挿入できるように調節してあげた。
そして鼻の穴をふくらませて、うっとりした瞳で淳二さんを見つめるの。
あなたの彼って、神楽の身体にゾッコンなのよ♪ って……



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年上の男の子をリードして























(7)
 


「あ、あの……春夏秋冬さん。本当に……?」

「はい、淳二さん。だからわたしのことも、苗字ではなくて名前で……神楽って……」

「神楽……さん」

「うれしい。淳二さん♪」

わたしは、ベッドの端で彫像みたいに固まった男性に抱きついた。
両腕を背中の後ろでクロスさせて、お互いの身体をバスタオルを挟んで密着させる。

「ふふっ、心臓がドクドクしてる。もっと肩の力を抜いてよ。淳二♪」

「あ、ああ。こ、こうかな?」

淳二さんは、わたしから目を逸らせたまま、肩を2度3度持ち上げては下した。
言われたとおりにリラックスしようと、深呼吸も3回繰り返した。

「うん、その調子。後のことは、神楽に任せてね」

わたしは淫らなお仕事を愉しむように舌を見せた。

魂柱。それは当主見習巫女である神楽の身体を使って男の人と肌を合わせること。
もっと普通に言えば、セックスするってこと。
そうすることによって、性愛エネルギーに反応した鬼が現れるの。
それが身を滅ぼす罠だとも知らずに……

「淳二さん。見ててね」

わたしは淳二さんから離れるとベッドの脇に立つ。
そして、不安そうに見上げる淳二さんに右目でウインクすると、脇の下で堅く結んだバスタオルをはらりと床に落とした。

スルスル……ファサッ……

ごわごわしたタオル生地が過敏な肌を刺激する。
瞬間、神楽の女の子がちょっとだけ恥じらいを浮かべた。
同時に、淳二さんの目線が下から上へと駆け上がって、急降下するようにダブルベッドに落ちている。

「ど、どうかな? 神楽の身体。これでもプロポーションにはちょっぴり自信があるんだけどな、ふふっ」

唇の端に悪戯っぽい笑みを浮かべて、生まれたままの姿で1回転する。
神楽自慢のバストも、これ以上成長して欲しくないヒップも、経験済みだけどやっぱり覗かれるのはちょっと……の秘密の場所も……

「…… ……」

でもトランクス1枚の姿で、反省するようにうつむいたまま正座している淳二さん。
さっきはちらっとだけど、神楽の身体を見てくれたのに……
わたしは、そんな彼が5歳も年上なのに、逆に5歳も年下に思えて……これって母性本能なのかな?
胸の奥がキュンとなるのを感じた。
同時にいつまでも彼の心に住み続ける京香さんを、ちょっぴり羨ましくも感じた。

「あのね淳二さん。こんな格安ホテルで、そのぉ……あのぉ……エッチすることに抵抗あるかもしれないけど、これもあなたのためなの。ね、わかって。
こんなわたしだけど、好きでもない人とエッチするのって苦痛だと思うけど、お願い! 神楽を抱いて! セックスして!」

「あ、あぁっ……か、神楽さん?!」

わたしはベッドの真ん中で淳二さんを押し倒していた。
そのまま、彼の上に身体を乗せて唇を合わせる。

「ちゅっ、うむぅぅっ。淳二さん……お願い……はんむぅ、神楽を……」

戸惑いと気後れの表情のまま淳二さんも舌伸ばしてくる。
わたしは唇の隙間を開いて彼の舌を受け入れると、お返しに神楽の唾液を流し込んであげた。

「おいしい? ちゅぷぅ、ちゅぷ。飲んで♪ 淳二さん。んむぅ、神楽の飲んで♪」

「はぐぅ、はむ。君のこと嫌なんかじゃない。嫌じゃないけど……神楽さん、すまない。君をこんな形でなんて……ちゅぶ、ちゅぱ」

「そ、そんなこと……むちゅぅぅ、気にしないで。これもお仕事……それに、わたしたちの使命だから……
はぐぅ、そんなことより、神楽のおっぱいを弄ってよ。ねぇ、触って……ほら♪」

名残惜しそうに唾液の糸を引く唇を別れさせて、淳二さんの腕を掴んだ。
背中を反らせて空間を作ると、おっぱいへと誘導してあげた。

これじゃ、まるで淫乱娘。
わざと部屋中に響くようにおっきな声で、エッチ大好きな女の子になりきって……
乗り気じゃない年上の男の子をその気にさせて……
神楽は、バージンを失ってから?回目のセックスをしようとしている。

毎回違う相手と、未熟で大人の世界なんて全然知らないのに、それなのに毎回神楽がリードして、セックスしないといけないの。
これが春夏秋冬家に生まれた者の定めだから。
ひとり娘としての覚悟だから。
恥ずかしいけど見守っていてね、お母さん。

「はあぁ、ふぅん。上手よ、淳二さん……ああぁ、優しくて……きもちいいよぉ。
もっと、神楽のおっぱいを揉んで! 揉んで気持ちよくしてぇ……はうぅぅっ」

わたしは、両手を使って乳房を揉む淳二さんを励ました。
まだまだギコチないけど、時々指先に力がこもって神楽のおっぱいに痛みが走るけど、いいの。許してあげる。
だって彼、一生懸命なんだもん。
これから始まる辛い経験を乗り越えようと必死なんだもん。
だから、もっと神楽のおっぱいをオモチャにしていいよ。
硬くなった乳首もつねっても構わないから。
気持ちいい! って叫んであげるから。

カタカタとベッド脇に置いた観鬼の手鏡が揺れた。
午前零時を過ぎたホテルの廊下にハイヒールの音が響いてくる。
コツコツと小さな音だけど確実にこの部屋へと近づいて来る。

淳二さんは、わたしのバストに夢中になってまだ気付いていない。
わたしは、部屋の隅に備え付けのワードローブに目配せをする。

頼むわよ、お父さん。
いいえ、今は『輪廻の霊媒術師 春夏秋冬 四巡(ひととせ しじゅん)』だったよね。



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恍惚の薔薇 第7話


  
                                          


第7話



        その夜、理恵は帰宅するとボイスレコーダーに録音されている音声を
        CDにコピーした。
        そして、クローゼットの引き出しから預金通帳を取り出した。
        預金残高は、1千800万円を超えていた。
        理恵は8年前から篠田から受け取った現金を殆んど貯蓄していた。
        週に1度のエステ代とスポーツジムの年会費を差し引いても、月平均
        20万円は残った。

        翌日の朝、理恵は篠田に電話をかけた。

        「先生、風邪をひいて熱があります。今日は休ませて下さい」
        「あぁそうか。わかった、お大事に……」

        篠田は、あっさり返事をした。

        (とりあえず、ハワイにでも行こう……)

        理恵は、市内の旅行会社を訪れ、明日からのハワイ行きの切符と1ヶ月
        間の宿泊代を現金で支払った。
        旅行会社を出ると、予め調べておいた准一の自宅に電話をした。

        「もしもし、加奈?」
        「……」
        「もしもし、加奈でしょ? しばらく! 理恵よ」
        「……あっ、あ、理恵? し、しばらく……」

        加奈は自宅にいた。

        「懐かしいわ!何年ぶりかしら?」
        「そ、そうね、、元気?」
        「私は相変わらずよ。加奈、准一と結婚したんだってね!」
        「あ、うん……」

        加奈の声は、上ずっていた。

        「加奈、准一から聞いたでしょ? 私と准一、同じ職場なのよ」
        「あ、うん、、聞いたわよ……」
        「本当に偶然ね。ところで今何してる?」
        「えっ? 専業主婦よ」
        「じゃなくて、私今、加奈の家の近くなの」
        「……」

        理恵は事前に住所も調べていた。

        「今からちょっと会えない? 家にお邪魔してもいいかな~?」
        「あ、うん、、別に構わないけど……、でもどうして?今日仕事じゃない
        の?」
        「私、今日有給なの」
        「あ、あそぅ~、じゃあ待ってるわ」
        「本当?嬉しいわ!すぐに行くからね」

        10分後、理恵は加奈の家のチャイムを鳴らした。
        准一と加奈の家は、市内から離れた静かな住宅地にあった。
        小さな家だが、モダンで洒落た家だった。

        「あ~ら!しばらく~!」

        理恵は、明るく振舞った。

        「あっ、理恵、しばらく、どうぞ……」

        玄関は意外に広く、右側にリビングがあった。

        「理恵、ちょっと待ってね、今コーヒーいれるから」
        「あっ、お構いなく、すぐに帰るから」

        理恵は、リビングのソファーに腰を降ろした。

        「お洒落なお家ね。羨ましいわ!」
        「3年前にローンで買ったのよ」

        理恵は、部屋の片隅にある本棚を見た。
        そこには、准一と加奈の間で微笑んでいる小さな女の子の写真があった。

        「あら可愛い~!子供何歳なの?」
        「……えっ、あ、今7歳よ」
        「あっそ~、可愛い~、准一にそっくりね!」

        加奈はテーブルにコーヒーを2つ並べ、理恵の正面に座った。




※ この作品は、ましゅまろくらぶ 真理子様から投稿していただきました。
  尚、著作権は、ましゅまろくらぶ 真理子様に属しております。
  無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。



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神楽って処女じゃないのぉ~?!





















皆様、3度目の登場にございます。
いいかげん名前を覚えてもらわないと、お尻ペンペンです。
大好評連載小説『時は巡りて』でヒロインを演じております、春夏秋冬 神楽(ひととせ かぐら)です。
日夜、常人には見えない魔のモノを成敗しておりますです。はい。

(有里)
ふ~ん、ふ~ん。雪音が由緒正しい巫女娘が現れたって言ってたけどあなたのことね。ジロジロリ。
て、ことで、みんなぁ、元気かな? 
『少女涙の羞恥生活』『少女涙の羞恥生活』のヒロイン有里でぇ~す♪♪
『少女涙の羞恥生活 2』の制作が遅れに遅れて、とっきーさっきーの頭をピコピコハンマーでタコ殴りしてまぁ~す。
夏休みには公開するから、スイカでも食べて待っててねぇ~。

(神楽)
な、長い。セリフ1回分でいったい何文字しゃべっているのよ。
神楽の出番が減っちゃうじゃない。
……にしても、あ~ん。せっかくジュニアモデルもどきを成仏させたら、また変な子が出没しちゃったぁ。

(有里)
ムキキィッッ! なんなのよ、この巫女もどきガールは。
わたしを熊さんや、変態と一緒にしないでちょうだい。
それよりも、神楽。雪音はどうしたのよ?
突然、神隠しだぁ~っ! って、お父さんがお線香を焚いていたわよ。
なまんだぶぅ~……なまんだぶぅ~……ち~ん♪

(神楽)
有里ったら、なんだかんだ言って、雪音をお☆様にしちゃって。
元祖羞恥の風ガールは、腹グログロブラックだったのね。

(有里)
神楽ちゃ~ん。なんか言ったぁ?

(神楽)
く、口チャックでございます。それよりも、メインコーナーに移ってもよろしいでしょうか?

(有里)
好きにすればぁ~

(神楽)
それでは、毎度恒例『時は巡りて』予告コーナーに移らせていただきますです。


  第7話  5月22日  木曜日
  第8話  5月25日  日曜日
  第9話  5月28日  水曜日


時刻は、それぞれ午後8時を予定しています。
出演はヒロインであるわたし、春夏秋冬 神楽が務めさせていただきます。

科学文明が発達した現在においても、この世に未練を残す邪悪な闇は蠢いている。
だが、その闇を切り裂く者たちがいる。うら若き見習巫女『神楽』
彼女もまたそのひとりとして果敢に立ち向かう。差し出す身体を武器として……ご期待ください。


(有里)
ふ~ん、とっきーさっきーもファンタジー系エロエロ小説に手を出したってわけね。
わぁっ、この登場人物紹介によると、神楽って非処女となっているわよ。
有里だって最近、失くしたっていうか奪われちゃったけど、お話の最初からズッコン、バッコンできる身体だなんて、やるじゃない。
ねえ、有里にだけ教えてよぉ~。お相手は誰なのぉ~? まさかまさか、お話の流れからいってデビルちゃんってこと……ないよねぇ。
くにゅくにゅくにゅ……

(神楽)
ヒィィィッッ! 有里ったらどこを触っているんですかぁっ!
こんなのセクハラですっ! パワハラですっ!
ズッコン、バッコンなんて、下品なことをいう子に絶対に教えませんっ! 

(有里)
残念ねぇ。でもぉ、この手の小説ってあるじゃない。
アイアンバットみたいな、おちピーピーんのお化けに犯されちゃうってパターン。
有里ぃ、見たかったなぁ。神楽ちゃんが鳴いちゃう顔……ぐふふふふっ。

(神楽)
あ、あ、悪魔発見!
こんなところに淫魔がぁ。お祓いしないと!
祓い給え~♪ 清め給え~♪ ハラッたまぁ~♪ キヨッたまぁ~♪ ハラッたまぁ~♪ キヨッたまぁ~♪
キテテテテテテッッッ!!

(有里)
ぐふふふふっ。な~にしてるのかなぁ? 神楽ちゃん♪
羞恥の風ガールズ唯一の続編で主演が決まっている有里は無敵なのよ。おーほほほほ。
理由もこじつけも必要ないのよ。
有里が消滅しちゃうと、『少女涙の羞恥生活 2』を心待ちにしているお客様が、鳴いちゃうではなくて泣いちゃうでしょう。
そんなのとっきーが許すわけないでしょう。
元祖は永遠に不滅なのですっ!

(神楽)
う、う~ん。強い! これが元祖エロエロガールのパワーなのね。
有里様、参りました。ペコリ。

(有里)
あらぁ、随分と従順になったじゃない。
それじゃあ神楽、有里にも教えてよ。そのキテテテテテテッッッ!! ってやつで人を消しちゃう技。
わたしもひとり、抹殺したい男がいるのよねぇ。

(神楽)
男? それは、無理な相談というものです、はい。

(有里)
なんでよぉ、その技って女の子しか消せないっていうの?

(神楽)
当たり前です。我が羞恥の風ワールドでは、男の人は絶対なのです。男尊女卑なのです。偉大な神タマタマなのです。
神楽たち女の子は、エッチなことをされて鳴くしかないんです。

(有里)
とっきーぃぃっ! こんなオチで満足なのぉっっっ!
あんまりバカバカしいと消されちゃうよぉ。ホント……

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彷徨いし情念























(6)
 


その夜、やはりというべきか例の男性は、わたしたちの元を訪れた。

ここ最近、身体がダルオモ。それで病院に行ったけど異常なし。
けれどもその症状はだんだん悪化して、藁をも縋る思いで非文明的な存在のわたしたちに助力を……ということらしい。

「間違いない。安積淳二(あづみ じゅんじ)とやら、お主は取り憑かれておる。
嫉妬と未練が混在した『恨鬼』にのう」

「そんな……京香が、どうして……?」

お父さんは一息吐くように湯呑に入ったお茶を啜った。
漆塗りの座卓を挟んで向かい合うように座る男性。
安積という病人さん? は、両肘をついたまま頭を抱えている。

「えっと、冷めないうちにお茶をどうぞ」

わたしはお父さんの隣に座ったまま、落ち込んでいる彼にお茶をすすめた。

ここは、お社の中にある鬼払いの間。
板張りの殺風景な部屋は、鬼が出入りするとされる子と卯の方位にあたる扉の上、つまり北と東の方角に、結界の印を施した特殊な紙垂(しで)が下げられている。
だから当然、わたしの目にもさっきの女の人は見えない。
お父さんが見ているのは、きっと彼女の残留思念だと思う。
なんでも厳しい修行を積んだ高位の霊媒術師には、飼っていたペットの霊どころか、キッチンに出没するゴキちゃんの魂まで見分けられるとか……?
う~ん……跡を継ぎたくないような……

「ところで、お主が取り憑かれておるその京香殿のことだが、籍には入れておったのか?」

「あ、はい。2年前に彼女と式を挙げ入籍手続きも済ませました。
それが、ちょうど1年前の今日……」

安積さんは言葉を詰まらせて、またうつむいちゃった。
なんでも結婚記念日の朝、京香さんと彼は些細なことで喧嘩しちゃったんだって……
それで怒った彼女は玄関を飛び出して、運が悪いことに走ってきた車に跳ねられちゃって……
京香さん、かわいそう。残された安積さんもだけど……

「やはりのう……籍に入っていたとなると、ちと厄介かもしれん」

お父さんは、無いヒゲをさするようにアゴを撫でた。

「なにが厄介なの?」

「神楽、お前も『婚儀の契』は知っておろう?」

「え、ええ……まあ」

わたしは曖昧に答えた。

「そこでじゃ。世の中では、華やかな結婚式を重視する風潮が蔓延ってるが、真に大事なのは役所で行う入籍手続きの方でな。
つまり、式典は神に対する『意志表示』、決意表明みたいなもの。
対して、入籍手続はその行為が示すとおり信ずる神への契約を意味する。
たかが、書類上での手続きと思っておると、とんでもない罰が落ちることだってある。
なんと言っても、この日の本の国には八百万の(やおよろず)神々が鎮座しておられる。
それがまた、この上もない歓びでもあり、因果なモノを生むしがらみでもある。
ふーぅ。神楽、お茶」

「はいはい。安積さんのも温かいお茶を淹れ直すわね」

わたしは、ふたつの湯呑にお茶を注ぎながらお父さんの言葉を考えていた。
なんだか回りくどくてヤヤコシイことを話してたけど、要するに同じ霊が取り憑くとしても、婚前と婚後では全然パワーが違うってこと。
今回の場合は結婚後だから、強力な恨鬼とご対面ってことになるのかもしれない。



取り敢えず、安積さんには封鬼の印をお父さんが施して帰ってもらった。
これでしばらくの間は、京香さんも彼に触れるどころか近づくことさえできないはず。

そして、その日の深夜。わたしたちはリビングのテーブルに顔を突き合わせて作戦会議を開いていた。
集まったのは春夏秋冬家精鋭三人衆。
ようするに、わたしとお父さん。それに育児疲れ? の守のことだけどね。

「それで、どうやって彼女を浄化するの?
わたしの見たところ、京香さんの放つ霊気はかなり強力よ」

「それには私も同意です」

斜向かいに座る守も深くうなづいた。

「うーむ。やはりここは『浄滅』しかあるまい。
それなら、事は簡単にけりがつく」

「だめよ、お父さん。そんなことをしたら京香さんの魂まで消えちゃうじゃない。

憎むべきはそんな彼女に取り憑いた恨鬼の方なのよ」

「それは、わかっておる。わかってはおるが……」

お父さんは湯呑に手を伸ばしたまま、閉じたまぶたを震わせた。
隣では守がくちびるを噛み締めている。
重苦しい空気が部屋いっぱに漂い始めていた。

「もう、ふたりとも! らしくないじゃない。
こうなったら、神楽がなんとかする。わたしが京香さんの魂を救ってあげる」

「救ってあげるたって、お前……?」

「魂柱よ。わたしが魂柱になるのよっ!」

わたしは、突然浮かんだ言葉を叫んでいた。
お父さんが小さく溜息を吐き、守が悲しそうに目を伏せる。

魂柱……
『自ずの肢体を持ちて、悪鬼を呼ばん。
但し、情欲に溺れし身体無力なれば、たがの助けを欲す』

「うん。わたし決めたわ。それでいく。
そうすれば、聖液も溜まるし、お母さんを助けることもできるかも」

わたしは、お社の背後に祀られている奥社の方角に目を合わせた。
申し合わせたように、お父さんも守も同じ方角を見ている。

「だが、今度の相手。これは危険な賭けになるぞ。それにお前は……その……」

「わかってるって。だからそれ以上言わないでよ。恥ずかしいじゃない。
ほら、守もそんな悲しそうな顔をしないでよ」

「……はい。私は」

「それと、守はお留守番をお願いね。
魂柱の儀式には、嫉妬心が御法度なの。もしものことがあったら……ね、ごめん」

守はくちびるを動かしかけた。
でも、そのまま頷くと静かに部屋を出て行った。

「それじゃあ、お父さん。ボディーガードをよろしくね♪」



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背中に乗る女























(5)
 


「なにも神楽様までついて来なくても……園の方は大丈夫でしょうか?」

園児たちを送り届けた帰り道、ハンドルを握る守がぽつりとつぶやいた。

「ホント、守は心配症ね。子供たちのことはお父さんに任せておけば大丈夫だって。
ちょっと変わってはいるけど、お母さんが元気な頃はふたりであの保育園を切り盛りしてたんだから。
それよりも、見て♪ 綺麗な夕日……」

ビルの谷間に沈むオレンジ色の光。
街路樹も高台に広がるお洒落な街並みも、ふたりが乗る車の中だってみんな温かい光の世界。
助手席でわたしは目を細めた。
『そうだ守、今からドライブしない?』って言葉が、喉から飛び出しそうになって慌てて押しとどめる。

守が運転する真っ赤な軽自動車は、街の郊外を抜けて通称『物見山』と呼ばれる小高い丘へと続く坂道にさしかかる。
アクセルを踏み込み、来月には15歳の誕生日を迎えるオンボロ車のお尻を叩いて、木々がうっそうと茂る山道を駆け昇っていく。

青色の道路標識が目に入る。
『涼風の社 2キロ』

涼風の社。正式には『西鎮山 封魔護持社』
戦国時代末期に、ひとりの若い神職と付き従う美しい巫女『涼風』によって建立された古のお社。
それから4百年の間、この山の頂上から変わりゆく街並みを見守ってきたと言われている。

因みにわたしも隣にいる守も、このお社の住人だったりする。
というのも、わたしたち一族がこの社を建立した神職さんの末裔だから。

そう。4百年間、この街を鬼と呼ばれる悪しき亡者から守護してきた霊媒術師 春夏秋冬(ひととせ)家って、わたしたちのことだから。



築4百年になる山門を過ぎると、規格統一されたガラス窓がつながる平屋建てが見えてくる。
オレンジ色をしたモルタルの壁に水色に塗装された屋根瓦。
その上に乗っかっている尖り帽子の三角屋根。
外周を銀杏の木とポプラに囲まれた、小さな小さな運動場。
砂遊び場にブランコ、ジャングルジム。
パンダさんや熊さんの木枠の人形が、こっちを見て手を振っている。

ここは、涼風保育園。
今日、お社経営だけでは食べていけないって、わたしのおじいちゃんが始めたサイドビジネスってとこ。
こんな古い保育園だけど、意外と経営はうまくいっているみたい。
よくテレビのニュースなんかでやっているでしょ?
待機児童問題って……ふふふっ。

まあ、そんなこんなで、今年の春に高校を卒業したわたしも、無事に涼風保育園に保母さんとして就職成功。
縁故採用万歳! 親の七光採用万歳!
その代り、夜になったら恥ずかしくて危険なお仕事もさせられているんですからね。

「わあ♪ ここからの眺めはいつ見ても最高よね。
空が真っ赤。きっと明日もいい天気ね。
……それにしても、駅前のあのノッポのビルは邪魔よねぇ。
あれが建設される前は、海に沈む夕陽まで見えたのに……」

「ああ、時田金融の本社ビルのことですね。
確かに、私の幼い頃はもっと見晴らしも良く……それに……」

「それに? ……って、うん。そうだよね。
お父さんが話していたけど、あの本社ビルには禍々しい悪気を感じるって……
方位そのものより、あの会社に泣かされてきた者たちの救われない業が立ち込めている。
……そう言えば、この前のお仕事だって、元はといえば時田金融のせいよね。
緑で覆われていた丘を、ニュータウンかなんだか知らないけど、お金儲けのためだけに自然破壊したりするから、変な亡者さんたちが棲みかにしたりして。
ああいう輩は好きなのよね。不毛の地が……
そうだ♪ 一度、とっちめてやろうかしら?
時田金融の社長さんをわたしたちの手で……どう、守。乗らない?」

守は両手を拡げてあきれた顔をする。
そして、子供たちがお待ちかねの園舎へと歩き始めて……?

「神楽さん、あの人……?」

突然向きを変えると、山門を見つめた。
その態度にただならぬものを感じて、わたしも守の視線を追いかける。

「まだ若いわね」

ひとりの男性が、下から歩いて登って来たのか、首に掛けたタオルで顔を拭きながら山門の前に佇んでいる。
しばらくして山の涼しい風に呼吸が落ち着き、門に向って一礼する。

「なによ、あの邪気?!」

「ええ、私もあれほど発達した邪気は久々に見ました。
どうやら1体だけのようですが、あれは守護霊の変化ではありませんね。
もっと身近な何かを感じる」

「うん……」

たぶん、その人は気が付いていない。自分が背負っているモノがなんなのかを?
髪の長い女性。それもまだ若い。
おそらく山門をくぐり抜けた男性と同年齢。ということは……?!

わたしと守は、顔を見合わせたまま頷いていた。



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そして、四百余年の時が流れて……























(4)
 


むか~し、昔。世の中が乱れに乱れていた戦国時代の頃。
とある城下町では、戦場で散った武者たちの怨念が色情魂となって、夜な夜な出没しては若い娘さんたちを手篭めにしていました。
町人からの再三に渡る陳情に困り果てたお殿様は、考えた挙句、全国にお触れを出しました。

『我が領内に於いて亡者を除霊したりし者。褒美は望みのままに』

たちまちこの噂は、領内どころか隣国にまで知れ渡り、我こそはという霊能者が幾人も城下に集まってきました。
しかし、あまたにのぼる霊魂の前に、一人倒れて二人逃げ出し、二人倒れて四人逃げ出し、あっという間に霊能者は一人残らず全滅。
これにて色情魂の勝利と思われたその時、ひとりの若い神職が麗しい巫女を連れてこの地を訪れました。

そして町人から事情を聞いた神職は不敵な笑みを浮かべてこう言いました。

「我が名は春夏秋冬 鬼巡丸(ひととせ きじゅんまる)そこに控えしは涼風(すずかぜ)
その霊魂。今夜一晩で封じてみせましょうぞ。
ただし、この術、我が家の秘伝なれば誰ひとりとしてお目にせぬように」と……

その夜の子の刻、神職に命じられたとおり各家に閉じこもっていた町人は、先ほどの巫女のものであろうか、天にも昇りそうな甘い嬌声とそれに続くすさまじい悲鳴。
家の中まで照らし出す青白い炎の影を目にしました。
翌朝、傷ひとつ負わずに街中の霊魂を封じ込めた若者と巫女はお城に呼ばれ、お殿様から褒美を聞かれこう申しました。

「我が永住の地をここに定めとうございます。
さすれば、城下の西端にあるあの小高い山の上に、社を建立することお許しあれ」と……

そして、四百余年の時が流れて……



「え~、この世の中には科学だけで解明されないもので満ち溢れておる。
未確認飛行物体『UFO』に未確認動物『UMA』、謎の多い古代文明、古代遺跡、古代文字。
未だに解明されない病原菌に、ヒマラヤの雪男ついでに雪女。
もっと身近な存在では……そう心霊現象なども……
その心霊についてであるが……」

「は~あぁ。かぐらおねえたん、ママはまだぁ?」
「あたちもぉ……おかあちゃん、まだかなぁ~? ねむいでちゅぅ」

「はいはい、みんなぁ。おねんねせずに待っていようねぇ。
もうすぐ、大好きなママが迎えに来るからねぇ♪」

ジロリッ!

わたしは、黒板を背にして立っているお父さんを睨んだ。
紫の袴に純白の狩衣(かりぎぬ)、それに頭には烏帽子(えぼし)。
どこからどう見てもお社の神職様そのものの姿。
というよりこの人、本物の神職なんだけど……一応。

「お父さん、お仕事のジャマをしないでよね! そんなオカルチックな話、幼児にわかるわけないでしょ。
それに話している内容がいい加減すぎ!
だいたい、この写真はなんなのよ?!」

お遊戯室の黒板に貼り付けられた怪しい写真の数々。
世界の七不思議にアダムスキー型UFO、なにをコピーしたのか人面犬まで……?

「これはそのだな。無垢な童たちを未知なるモノに興味を持たせ、霊の世界へと誘って……」

「誘ってどうするのよ?」

わたしは心配そうに見上げる園児たちに笑顔を振りまいておいて、掲示板の押しピンを引き抜いた。

「わ、わかった。わかり申した。童たちにこの話は難しかったかもしれん。
明日は……そうだ、『アンパ○マン』がよかろう。
『アンパ○マン』のあんぱんが賞味期限になったら如何すべきか?
分かちあったあんぱんを食べてお腹をこわしたら訴訟を起こすべきか?
どうだ神楽、心霊とは違って健全であろうが……?」

ブスリッ!!

「お待たせ♪ ジロー君、お母さんが来ましたよ」

「わあ、まもるおにいたんだぁ♪」
「あたちとあそんでぇ♪」「だ~め、ぼくと♪」

建てつけの悪い引き戸を開けて入って来たのは、狛獅子 守(こまじし まもる)。
夜のお仕事では、亡者に容赦しない冷徹な霊術師だけど、ここでは、わたしが嫉妬しちゃうくらい子供たちには大人気。
今でもほら、子供たちが駆け寄ってきて、大きな浮き輪みたいに囲まれちゃっている。
でも最近では、お母様方の視線も負けず劣らずラブラブみたいだけどね。

「あっそうだった。さっき連絡があって、タロー君とサブロー君、それに花子ちゃん。
お母さんがお仕事遅くなるって。
守、悪いんだけど3人を自宅まで送ってくれないかな?」

「ええ……それは構いませんが……
ああはぁ、だめだよ、桃子ちゃん。ここはお兄さんの大切な処なの。握ったりせずに、撫で撫でしてあげてね。
ううっはぁ、ナナコちゃん。お尻の穴に指を突っ込まないで。お兄さん、変な気分になっちゃうでしょ」

え~と、押しピンの数足りるかしら……?



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祓い給え~♪ 清め給え~♪ キテテテテテテッッッ!!





















皆様、2度目の登場にございます。もう名前は覚えてもらえたでしょうか?
新作小説『時は巡りて』でヒロインを演じております、春夏秋冬 神楽(ひととせ かぐら)です。
非常に妖しげな苗字ですが、非常に由緒正しかったりするので、皆様ぜひぜひよろしくお願いします。

(雪音)
う~ん。神楽ったら、まだまだカチカチね。でもあたしがじ~っくりと解きほぐしてあげちゃう♪
『シャッター・チャンス』の北原雪音でぇ~す。みんなぁ、元気にしてるぅ?

(神楽)
……やっぱり! ジロジロジロ、見えます。雪音の背中に見えるです。

(雪音)
あ、あのぉ~神楽、これって前回の続きでこわ~いお話ってわけ?
霊がなんとかかんとか?

(神楽)
そうよ、世の中には科学だけでは解明できないものが、た~くさんあるのよ。
雪音だって、写真屋さんをしてたら知っているでしょう? 心霊写真ってやつ。
そして、いるのよ。やっぱり……このままだと取り殺されちゃうかも……いひひひひっ。

(雪音)
あっ! なんだか目眩が……身体も重くなってきて……いやぁぁぁっっ! 死にたくないよぉ~
神楽、あなた霊媒師の娘なんでしょ。なんとかしなさいよぉっ!

(神楽)
ま、まあ、除霊できなくもないですが、なにぶんにも先立つモノをいただかないと……
はいこれ、パンフレットです。

(雪音)
ええぇっ! 同じ羞恥の風ガールズどうしでお金取るのぉっ? 信じらんなぁ~い。
って、なになに? 色々と除霊コースがあるのね。
この『豪華ダブルキャストフルコース』ってどんなの? 
わぁ、消費税込み5万円って……ぼったくりね。

(神楽)
ブツブツとウルサイ患者さんねぇ。
え~っと、それは、わたしとお父さんが霊力を合わせて、悪い霊を追い払う大業よ。
でもここでは無理ね。
涼風の社に来てもらって、身を清めてからみんなでナマンダ~ブ♪って合唱して、わたしが特製巫女踊りを奉納して、お父さんが刀を振り回してエイヤーッて。
後は、瓶詰めにした悪霊をもれなくお土産にしてプレゼント♪ 
今なら特別キャンペーンで消費税分をまけてあげてもいいわよ。

(雪音)
あのぉ~、突っ込みとごろ満載なんですけど……ネタ的には……
というか、瓶詰めにした悪霊って何なのよ?
まさか二つ並べて2身合体とか? 三つ並べて3身合体とか? でもちょっとばかり高度な技よ。

(神楽)
あ~ん、やっぱりあなたって、オタク宅だったんだぁ~。雪音た~ん♪

(雪音)
くぅぅぅ~っ、くやし~いっ。で、他にはなんのコースがあるわけ?
レギュラーコースに、エコノミーコース。他には? 他には? ふむふむふむ……

(神楽)
え~っ、雪音たんが新しいカモになりつつあるので、今のうちに『時は巡りて』予告コーナーに移りま~す。


  第4話  5月12日  月曜日
  第5話  5月15日  木曜日
  第6話  5月18日  日曜日


時刻は、それぞれ午後8時を予定しています。
出演はヒロインであるわたし、春夏秋冬 神楽が務めさせていただきます。

科学文明が発達した現在においても、この世に未練を残す邪悪な闇は蠢いている。
だが、その闇を切り裂く者たちがいる。うら若き見習巫女『神楽』
彼女もまたそのひとりとして果敢に立ち向かう。差し出す身体を武器として……ご期待ください。


(雪音)
神楽、決めたわよ。この『ハッピーキテキテ♪』コースにするわ。
ハッピー=幸せ キテキテでしょう。縁起がいいじゃない。
はい、1000円。それじゃ、ちゃんと除霊してよ。

(神楽)
おっ、お客様。これは……?
ま、まあ……おほん。それでは、この法被(はっぴ)を羽織っていただいて。

(雪音)
なによこれ? ハッピーってこの白い羽織のことなの?
で、後はどうするの?

(神楽)
後は神楽にお任せを。
雪音は目を閉じて心を安らかに~
では……
祓い給え~♪清め給え~♪ ハラッたまぁ~♪ キヨッたまぁ~♪ ハラッたまぁ~♪ キヨッたまぁ~♪
キテテテテテテッッッ!!
祓い給え~♪清め給え~♪ ハラッたまぁ~♪ キヨッたまぁ~♪ ハラッたまぁ~♪ キヨッたまぁ~♪
キテテテテテテッッッ!!

(雪音)
ううっ、うくくくくっっっ……ぐるじいぃぃ~。
雪音のタマシイが飛んでいくぅ~……もうだめぇ~

(神楽)
あらまぁ、雪音が消えちゃった? どこ行ったのぉ~?
……ということは? まさかというかやっぱりというか……うふふふ。
いや~ん、神楽ったら、雪音ごと悪霊退治しちゃったぁ~♪♪


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春夏秋冬家 お側方霊術師 狛獅子 守























(3)
 


強引に押さえ付けられて縮んだ背丈のまま、首を左右に振った。
抵抗しながらついでに、お父さんを……守を……あんたたちになんか絶対に負けない霊媒術師を……
探した。情けないけど、ちょっとだけ焦って黒眼を何度も往復させた。

……そして……本気でそして?!
……いた! 見つけた!

卯の方位から放たれた矢のように近づく黒い影。
子の方位で不動不変の星、北極星を背にして立つ白銀のシルエット。

「う、うぅぅっ……お父さん……守……」

(ぐふふふっ、さあ、小娘のおま○この味を試させてもらうぜ)

でも間に合わないかも……
だって、涎を垂らした先端が……!

ぶちゅぅッッ!!

「ひぃぃぃぃっっっ! イヤァァッッ!!」

おぞましい感触が下腹部を襲った。同時に……!

ビュンッッ!! ……シュゥゥッッ!

(グギャァァァッッ! う、腕がぁぁッッ!)

断末魔の悲鳴とともに、両肩が急に軽くなる。
鼻を包む生臭い匂いが焦げ臭い匂いに変わった。
わたしは肩に貼り付く肉片を払いのけると、思いっきり地面を蹴った。

「エイッ!」

何が起きたか分からずに足首の束縛が緩んだ一瞬。
その隙を突いて、後方へとジャンプする。

腕と手首が切り離され、ぽたりと地面に落ちるおぞましい肉塊。
大気を切り裂き、弧を描きながら飛翔する対の鯨扇『鬼裂の聖扇』

「そこまでです! 鬼と化した亡者どもよ」

(な、なんだぁ? 小僧、舐めたマネをっ……?!)

既に邪気と化した2体と、宙に舞い上がる両腕。
それに、虚しく空を向いたまま浮かんでいる肉の棒。
そのモノたちから発した声が、黒い影に降り掛かる。

「もう守ったら、遅いよ。
もしもの時は、すぐに飛んで来るって言ってたじゃない」

「申し訳ございません、神楽様。で、お怪我は……?」

「……ある。わたしの大切な処に、あんな穢れたのがひっついちゃったんだよ。ぶちゅぅっ! って……
というか……あんまりこっちを見ないでよ。恥ずかしいでしょ」

慌てて胸と下腹部を隠した。
わたしを思う人に今の神楽を見て欲しくはなくて……
目の前に漂う鬼に集中して欲しくて……

わたしは、わたしをガードするように立つ幅広の背中を見つめた。
物心がついた時から側に控えていて、優しいお兄さんで、それにとっても格好いいお兄さんで……
気が付けばわたし……あなたのことを……

(ううっ、だ、誰だ?! てめえは……?)

「別に名乗るほどの者ではありません。あなたたち亡者にはね。
ふっ、ですが今夜は特別に教えてあげましょう。
大切な人を可愛がっていただいたお礼と断罪・浄化前の最後の思い出として……
我は『春夏秋冬家 お側方霊術師 狛獅子 守(こまじし まもる)』
鬼と化した亡者共を浄化せしめんがため、いざっ、参るッ!」

ビュンッッ!!

漆黒の闇と同化した着物の裾が僅かにはためいた。
同時に放たれる、対の扇。
表面は無地の黒、裏面は同じく無地の白。
光と闇、現世とあの世。
表裏一体を表すこの扇もまた、わたしが手にしている『観鬼の手鏡』と同じ、春夏秋冬家の宝器『鬼裂の聖扇』

(おのれぇッ、こんな扇など……!)

直線的に進む扇の軌道を測ったように、残る2体のモノが飛んだ。
空中高くに浮遊して、鬼裂の聖扇をかわしたかのように見えた。

でも、可哀そう。守の扇からは逃げられっこないのに……

「はあッ!」

守の気合いの声と共に、地面と平行に走る扇が向きを変える。
夜空を切り裂くように垂直方向に軌道を変えて、宙に浮かぶ腕が切断される。
更に上空へと逃れようとする肉の棒が、根元から先端まで一刀両断される。

(そんな……ぐぎゃぁぁぁぁっっっっ!)

再び起きる断末魔の悲鳴。
バラバラにされた肉片が元の邪気の渦となって、残る2体と連れだち卯の方位へと逃げていく。

「無駄ですよ。その方位には、神楽様の指示通りに結界を張っております。
亡者の逃げ道は、卯の方位と子の方位。これは黄泉の国の掟。
よく判断なさいましたね。神楽様」

「ま、まあ~。それほどにも……あるわね♪」

わたしと守が顔を見合わせたその時、バチバチという電気がスパークする音と、3度目の断末魔が闇夜にコダマした。
焼けただれて半分ほどの体積になった邪気が、腐肉の匂いを捲き散らせて子の方位、北へと逃れていく。

「あとはスタンバっているお父さんにお任せね」

わたしと守は北極星を見つめた。
そして、一筋の青白い光が帯となって夜空を照らした。

「ふ~ぅ。終わったわね」

「ええ、すべて片付きました」

守がわたしの顔を見つめて、その視線を下へと移動させる。

「も、もうっ! 見ないでよっ、守のエッチッ! スケベッ! ついでに変態ッ!」

わたしは衣装を引っかけた鉄のポールを目指して駆け出した。
方位はもちろん午、南の方角。
だって神楽は生者だもん。
まだまだ、あの世とは縁がないからね♪



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恍惚の薔薇 第6話


  
                                          


第6話



        硬直した肉棒は、理恵の局部を睨んでいた。
        既に肉棒の先端からは、挿入を円滑にするための潤滑油が滲み出ていた。

        「准、准一、、挿れた~い?」
        「あぁ、、う、うん、、はぁ、、はぁ、、」
        「どこに~、どこに挿れたいの~?」
        「えっ?、、どこって、、はぁ、、はぁ、、」
        「ちゃんと、ちゃんと言って~、、はぁ、、はぁ、、どこにいれたいの~、、
        はぁ、、はぁ、、」
        「オ、オ・マ・ン・コ……」
        「え、えっ?、も、もっと、ちゃんと言って~、、だれの?、はぁ、、は
        ぁ、、だれの、オ・マ・ン・コ?」
        「え~~、はぁ、、はぁ、、理、理恵の、オ・マ・ン・コ~~」
        「も、もう一度、、はぁ、、はぁ、、もう一度、言って……」
        「理恵の、オ、オマンコに、挿れたい~~、、はぁ、、はぁ、、」

        ボイスレコーダーは、二人の荒々しい息遣いもキャッチしていた。

        「准一~、いれて~~、」
        「う、うん、、い、いれるよ~~、あぁぁぁ~~~」

        十分に潤っている理恵の膣穴は、挿入時の抵抗は殆んど感じられなかっ
        た。

        「はぁ~~ん、、す、すご~~い、、あぁ~~ん、、」

        准一の分泌液と理恵の愛液が混じり合い、結合部からの卑猥な音が部屋
        中に響き渡った。

        「理恵~~、いい、いいよ~~、理恵~~」

        准一が突き上げる度に、理恵の乳房が上下にゆさゆさ揺れる。
        准一の腰は3回に1度、深く突き上げた。

        「はっ、はっ、うぅ~~ん、、はっ、はっ、うぅ~~ん、、」
        「あっ、あっ、はぁ~~ん、、あっ、あっ、はぁ~~ん、、」

        理恵の蜜壷からは止め処なく愛液が溢れ、シーツは濡れそぼった。

        「准一~~、、どお~? 気持ちいい~~?」
        「あぁ、、いい、気持ちいいよぉ~~、、」
        「ど、どっちがいい~~?」
        「えっ~~? ど、どっちって~~?」
        「か、加奈のと、加奈のオマンコと~~?」
        「えっ~~?、あぁ、、理、理恵の方が、、いい、、」
        「も、もっと、もっとはっきり言って~~」
        「あ、うぅん、、理恵の、理恵のオ、オマンコの方が、いいよ~~」
        「准一~~~、嬉しい~~~、、あぁ~~~」

        既に准一と理恵は、快楽の絶頂を迎えようとしていた。

        「理恵、、理恵、、理恵、、はぁ、、はぁ、、はぁ、、」
        「准、准一~~、、わ、私、、も、もぉ~~ダメ~~、、」
        「僕も、、僕も、ダメ~~、う、う、う、、あっ!で、出るぅ~~」
        「出るぅ~? 出るのぉ~? 出してぇ~!」 

        准一のピストン運動は、激しさを増した。

        「い、いくよ~~、、理恵~~、いくよ~~」
        「きて~~~、そ、そのまま出して~~~~~」
        「えっ?、、あっ、う~ん、あっ、あっ、あ~~~、いくぅ~~~、あぁ
        ぁぁ~~~~~」
        「私も、私もいくぅ~~~~~、あぁぁぁ~~~~~」

        射精を待ち望んでいた大量の精液は、理恵の子宮の最深部で噴射された。




※ この作品は、ましゅまろくらぶ 真理子様から投稿していただきました。
  尚、著作権は、ましゅまろくらぶ 真理子様に属しております。
  無断で、この作品の転載・引用は一切お断りいたします。



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邪鬼の指 邪鬼の舌























(2)
 


ちろちろ、ちゅぷっ……

「うっ、くうぅぅっ……」

わたしの乳首をざらりとしたモノに舐められる。
指のようなモノに乳房を掴まれて揉まれた。

サワっ、サワサワサワ……

「あ、あぁ、い、イヤァッ」

今度はお尻を……
まるで満員電車に現れる痴漢のように、太ももからお尻のお肉を下から上へと撫でられる。
調子に乗って手のひらのようなモノが、お尻の穴を目指して肉の狭間に差し込まれてくる。

(なかなかの上物だ)
(小さすぎず大きすぎず、揉みごたえのあるおっぱいだ)
(下も悪くないぞ。まだまだ青臭いが、ケツの肉も張りがあって手触り感も文句なし)
(ふふっ、あとのお楽しみは……)

渦巻きだった邪悪な気体が身体の一部分だけを実体化している。
生臭い唾液を垂らした肉厚な舌だったり、意志を持った別の生き物のように這いまわるおぞましい10本の指だったり……
こっちのはもっと露骨。
男の下半身だけを実体化させちゃってる。
当然、グロテスクな肉の棒つきで……

それでもわたしは歩き続けた。
歩きながら恥じらいで見せた。
顔を真っ赤にして、刺激を受けるたびに背筋を震わせて、くちびるから可愛い拒絶の声も漏らした。

当たり前でしょ。
年頃の女の子が裸で歩かされながら、感じやすい処を悪戯されているんだから。
それも4人掛かりで……違った4体掛かりで……

ちゅぷちゅぷ、ちゅぱ、カリッ、コリッ……

「あんぅぅっ、いやぁぁっ、乳首はだめぇっ! んふぅっ」

右のおっぱいに唇が吸い付いて離れてくれない。
舌が伸びて乳首の頭を撫でられて、突然現れた黄ばんだ前歯が硬くなっていく根元に噛みついた。
同時に左のおっぱいをゴムマリのように揉まれた。
力任せに握られては、なだめるようにやさしくマッサージされる。

足の動きが止まりかける。
人間じゃないのに……相手はこの世のモノではないのに……
気持ちいい! 気持ちよくて、それなのに背筋は悪寒が走ってゾクゾクして……

わたしは、首をのけ反らせながら神経を集中させた。
4体ともかなりいい線まで邪気が上昇している。
これなら合格かも……?

(久々の上物だな。お嬢さんのおま○こ、愉しませてもらうぜ)

下腹部からも声が響いた。
声と一緒に、ビリビリとした刺激とジンジンとした疼きが身体の芯を這い上がってくる。

「あうぅぅっ、ひうぅぅっ。そこはだめぇっ、クリを舐めないでぇっ! イヤぁっ、膣に指がぁっ、指が入っちゃうぅぅっっ!」

もう充分なのに……
邪気は満足するほど溜まっているのに……

手にした手鏡がするりと滑り落ちた。
しまった! と思っても後の祭り。
それなのに、お父さんの姿はまだ見えない。
その間も、神楽の感じるお豆を刺激され続けている。

硬く尖がって、ちょっとした刺激でもイッちゃいそうなのに、そんな処を何度も舐められた。
唾液をいっぱいまぶしながら、舌のお化けがクリトリスを押し潰すように刺激して、神楽の割れ目から恥ずかしいお汁を湧き出させちゃう。

そうしたらもう1体の指が、そのお汁を潤滑油にして滑り込んでくる。
デリケートなヒダヒダを爪先で掻きながら、残りの指を膣の奥に沈めた。

じゅぶじゅぶ、じゅじゅじゅ……じゅぶぅぅっ……

「ふぁぅっ、くふぅっ……そんなにされたらぁ、膣(なか)をそんなに弄られたらぁっ、もう……だめぇぇぇぇっっっ!!」

叫んじゃった。
両足をガクガクさせて、背中をえびのように反らせて、膣に挿入された指のようなモノをキュウッて締め付けて……
イッちゃったかも……?
神楽はお外で全裸のまま、人でないモノを相手に絶頂しちゃったかも……?!

(ふふふっ、いい声で鳴くじゃないか。
では、もっと愉しませてもらうぞ。今度は、この特製肉棒でな)

きっと刺激が強すぎたんだ。
はしたなく広がったまま戻ってくれない両ひざ。
その真ん中に、巨大な肉の棒が真上を向いて浮かんでいる。

大きい……! 
とても太くて、とても長くて……ちょうど神楽の腕くらいありそう。
こんなの人のモノではない。
こんなお化けみたいなのを挿れられたら、神楽のあそこ、絶対に壊れちゃう。
わたしの大切な処、ガバガバになっちゃう!

「い、イヤぁッ! 許してぇっ、それだけは勘弁してぇっ!」

(小娘ッ! ここまで気持ちよくしてやったんだ。サービス料と思って、あきらめな)

気が付けば、両肩をがっしりと掴まれている。
宙に浮かんだ指が、肩だけじゃない。足首を左右から引っ張って、このままだとわたし、立ったままで犯されちゃう?!
真下からズブリと貫かれちゃう?!

「イヤッ、イヤイヤイヤァッ! 絶対にイヤァァァァッッッ!」



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春夏秋冬家 当主見習巫女 神楽  























(1)
 


青い月の光が山の稜線に姿を消して、わたしたちのお仕事が始まる。

「午前1時。そろそろ時間ね」

左手首に留めた腕時計から目を放すと、わたしは隣に寄り添う人影に向かって話しかけた。

「守は、卯の方位に結界をお願いね。
子の方位に追い込めさえすれば、後はスタンバイしているお父さんがなんとかしてくれる」

「でも神楽様……」

「もう、守は心配症なんだから……
わたしなら大丈夫よ。これでも由緒正しい霊媒術師の末裔なんですからね。だから早く行って」

「……はい。では、くれぐれもお気を付けて。
でも、絶対に無理をなさらぬよう。もしもの時は知らせてください。すぐに飛んで来ますから」

「うん、そうする」

わたしは安心させようと大きくうなずいた。
その仕草に自分を納得させたのか、黒い影は東の方位へと走り去っていく。

「守こそ……無理しちゃ、いやだよ」

墨で染め上げたような漆黒の着流し。それを束ねる深紅の角帯。
それが闇と同化するまで見送った後、わたしは北の空を見上げた。

「不動にして不変の星よ。我に力を……我に屈せぬ御霊を……」

詠唱……しばらくの沈黙。
そしてわたしは歩き始めた。
春夏秋冬(ひととせ)家、当主見習巫女、神楽(かぐら)として……



「それにしても、自然破壊もこれに極まれりって感じね。
3年くらい前までは、このあたりも緑の生い茂った自然豊かな丘だったのにね。
それなのに、こんなにされて……」

地肌が剥き出しにされた赤茶色の大地。
それが闇夜の世界に延々と不毛の世界のように広がっている。

ニュータウン計画。大型工業団地。
言葉の響きは甘美なお酒のようだけど、破壊されていく自然のことなんて誰も気にも留めない。
それが巡り巡って、自らに降りかかる災難になることも知らずに……

「このあたりでいいかな?」

わたしは、造成地が作り出す不毛の谷間で足を止める。
両側には同じく不毛の小山。
うん、ここなら人目にはつかないからいいかも。
でもあのモノたちには……

白衣(びゃくえ)と呼ばれる白色の着物に、真っ赤な緋袴(ひばかま)
おっぱいの下あたりで蝶結びにした帯紐に差し込んでいるのは、春夏秋冬家に伝わる宝器『観鬼の手鏡』

どこからどう見ても、お社で男の人たちを釘付けにする巫女さんよね。
この衣装って……
まあ、普段はわたしも似たようなお仕事をすることもあるし、でも彼女たちよりも本当の神の力を身近で感じていたりする。
神楽の場合はね……

「ふ~ぅ。やっぱり恥ずかしいな。でも、がんばらないと……」

わたしは手鏡を引き抜くと自分の顔を映し出した。
そして、おとなっぽくウインクした後、鏡を持つ右手を上に伸ばしたまま身体を一回転させる。

全日本巫女コンテストナンバー1の美少女 春夏秋冬 神楽(ひととせ かぐら)のショータイムが今から始まるよ。
興味のある方は、この『観鬼の手鏡』の元に集まってねって。

「それじゃあ、始めようか? 神楽!」

シュルっ、シュルシュルシュル……

わたしは手鏡を足元に置くと、真っ赤な帯紐を解いていく。
腰の後ろでクロスした帯を緩めると、下半身を覆う緋袴がだらしなく垂れ下がる。

誰もいない。
人の気配の感じない荒涼とした大地で、あるモノたちを愉しませるための恥辱のショータイム。
だからわたしは続ける。続けられる。
だって、相手は人間ではないのだから。

上衣として着込んだ白衣の腰紐をすっと解いたとき、お待ちかねの邪風がほっぺたを撫でた。
生温かくて動物の吐く息のように生臭くて、現世と黄泉の隙間から流れ込む邪な風。
でもわたしは臆することなく白衣を脱ぎ去ると、緋袴と共に地面から突き出た鉄のポールに引っかけた。

「もう、神楽のドジ! バッグくらい持って来なさいよ」

わたしは白い半襦袢姿で自分を叱った。
でもその声は、喉を通過する時ちょっぴり震えた。

だってパンツが見えちゃっているんだもん。
半襦袢って丈が短いから、腰のあたりまでしか隠してくれないから。

そのとき、またゴーッて風が吹く。
今度は邪風ではない、もっと濃密な気体。

ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。全部で4体の邪悪な気体の渦がわたしを取り囲むように出現する。
『邪鬼』……この世に未練を残す鬼と化した人の魂。その原型なるモノ。

わたしは、足元に置いた『観鬼の手鏡』を素早く左手に持つと、4体の渦巻きを一体ずつ鏡に映し出していく。

「全員、男のようね。年齢はまちまち。ま、当然かな」

シュルシュルシュル……

おへその前で結んである半襦袢の腰紐も解いてあげた。
左前の襟元を焦らすようにひらいてあげる。
もちろん、ブラジャーはしていない。
神楽自慢の、お椀を伏せた上向きのおっぱいを夜空の下で晒け出している。

(ぐぅぅぅっ、お、女の身体だ)
(ふぐぅぅぅぅっ、それも巫女の身体だ)
(処女か? いや、この匂いは違う)
(そんなの構わん。この女の穴はわしのものじゃ)

常人の耳には聞こえない鬼の声が、直接心に伝わってくる。
性欲という本能を依り代とした哀れな霊魂。

そんなあなたたちを、今からとってもいい所に連れて行ってあげる。
もちろん、神楽の身体も少しなら愉しませてあげる。
だから、おとなしくついて来るのよ。

わたしは残りの1枚をスルスルと下すと、肌襦袢の下に挟み込んだ。
そして、生まれたままの姿で歩き始める。

手鏡だけを握り締めて、北の空で瞬く北極星を見つめながら。



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『時は巡りて』 始まりまぁ~す♪♪





















皆様、お初にお目にかかります。
新作小説『時は巡りて』でヒロインを演じております、春夏秋冬 神楽(ひととせ かぐら)と申します。
このたびは『公開日予告 ショートすとーりぃ♪♪』にお呼びいただきまして恐悦至極に存じます。
この神楽、誠心誠意努力してアピール致しますので、皆様どうかよろしくお願い申し上げます。

(雪音)
ちっちっちっ! 神楽ったら、な~にかしこまって挨拶しているのよ。
ここはね、日頃とっきーさっきーの小説で、あんな事やこんな事をされちゃう可哀そ~な女の子たちが、唯一ストレス発散できる場所なのよ。
そうよ、羞恥の風に出演するヒロインの聖地なの。
もっとふんぞり返って、鼻でもほじくってたら、あなたもそれで羞恥の風ガールズの仲間入り♪♪
って、挨拶が遅れました。
惜しまれつつも終了した『シャッター・チャンス』の北原雪音でぇ~す。みんなぁ、元気にしてたかな?

(神楽)
ものすご~くハイテンションな子ね。
それにわたしの方が設定上ふたつ年上だったような……?
ま、まあ、それはいいとして、前々作のヒロインがどうして顔を覗かせているのかな?

(雪音)
あらら、神楽はな~んにも知らないのね。
このコーナーは、前作のヒロインさんのご機嫌を窺いながら、さり気な~く作品を予告することになっているのよ。
あたしなんか、『少女涙の羞恥生活』に出演してた小姑ガール有里と、『見果てぬ夢』に出演してた姑オバさん典子に好き放題に乗ったられちゃったんだから。
ムッキィィィィッッ!! 今思い出しても歯ぎしりギリギリしちゃう。

(神楽)
はあぁ~、ということは、雪音がわたしのコーナーの小姑ってわけ?

(雪音)
にこにこにこ♪♪ うふふふっ、よろしくです。神楽たん♪

(神楽)
な、なによぉ! 人の名前をたん付けしないでぇ。雪音ってまさかオタクなわけ?

(雪音)
ちっちっちっ! な~に言っているのよ。
神楽の作品『時は巡りて』に合わせてあげただけでしょ。
羞恥の風が始まって以来の、オカルト風? ファンタジー風? エロエロ風? よくわからん?? 小説なんでしょ。
刀と魔法でエイヤーッ! みたいな。

(神楽)
う~ん、微妙に非常に違うような? そうでないような?
ということで、詳細は皆様の目でお確かめくださいね。
それでは『時は巡りて』予告コーナーに移ります。


  第1話  5月 3日  土曜日
  第2話  5月 6日  火曜日
  第3話  5月 9日  金曜日


時刻は、それぞれ午後8時を予定しています。(ゴールデンウイークなので変更の場合あり?)
出演はヒロインであるわたし、春夏秋冬 神楽が務めさせていただきます。

科学文明が発達した現在においても、この世に未練を残す邪悪な闇は蠢いている。
だが、その闇を切り裂く者たちがいる。うら若き見習巫女『神楽』
彼女もまたそのひとりとして果敢に立ち向かう。差し出す身体を武器として……

いや~ん♪ なんか格好いいけど……神楽たんたん恥ずかしい♪♪
って、あっ! ただいまお聞き苦しい言葉を発してしまいました。お詫び申し上げます。


(雪音)
神楽たんたん……って?! やっぱりオタク宅なわけ? 本性を現したわね。

(神楽)
違いますっ! オタクっぽいのはお父さんだけですっ!

(雪音)
ああ、涼風の社の神職さんのことね。確かにあのしゃべり方はものすご~く怪しすぎるわね。

(神楽)
えっ、雪音は、お父さんのことを知っているの?

(雪音)
あったりまえのクラカカでしょう。涼風の社はこの街の人の氏神様じゃない。
あたしだって、ちゃ~んとあの社で七五三のお祓いをしてもらったんだから。
神楽のお父さんにね。

(神楽)
そ、そうなんだ……だからだから、やっぱり……別居して……パパ様がダメダメで……娘が私脱ぎます宣言して……ううぅっ、こ、怖いです。
よくよく見たら見える見えるです。

(雪音)
な、なによ? 急に神楽ったら震えてどうしちゃったのよ?

(神楽)
詳細は次回の放送ということで、『時は巡りて』お楽しみに~♪♪

(雪音)
ちょ、ちょっとぉっ、こんなところで切らないでよ。ものすご~く気になるじゃない。
あっ! 肩が重くなってきた。背後に不気味な気配が……?
神楽た~ん、お祓いしてぇ~!!


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