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闇色のセレナーデ 登場人物紹介

























【登場人物 紹介】




小嶋千佳(こじま ちか)

本作品のヒロインで有名私立高校に通う女子高生。
年令は17才。愛くるしい顔立ちの美少女である。
父親は大規模に事業展開を行っている実業家だが、千佳の母親は後妻のため血は繋がっていない。
白亜の洋館で暮らす社長令嬢だが、兄である和也に身体を弄ばれ、更には……



佐伯卓造(さえき たくぞう)

中堅規模の文房具卸売会社に勤めるサラリーマン。
年令は42才。そこそこ背も高くルックスも悪くないのだが、不思議と女運には恵まれず未だに独身である。
営業畑20年のベテランだが、融通の効かない性格からか出世は遅れ、窓際族候補生と陰口を叩く者も。
運命の悪戯としか思えない出会いで、千佳と知り合うことになり……



小嶋和也(こじま かずや)

千佳の兄であり、『小嶋技研工業』社長、小嶋啓治の長男である。
年令は20代半ば。父親の会社に入社し、若くして広報部長の役職に就いている。
一見、穏やかな性格の好青年に見えるが、その裏では妹の千佳を凌辱し続けている。
その彼女とは、母親が違うため血の繋がりはない。



藤波(ふじなみ)

和也に命じられて、千佳と卓造を監視している。
年令は20代半ば。筋肉隆々とした鍛え上げられた体格をしているが、切れ長な瞳を持つ美男子である。
難病のため長期入院している妹がいるとの噂も……



小嶋啓治(こじま けいじ)

千佳と和也の父親であり、『小嶋技研』の社長を務めている。
1代で巨大企業を立ち上げた凄腕の実業家だが、性格は豪胆にして清廉潔白。
先妻に先立たれ、後妻として迎えた千佳とその母親とも、分け隔てのない家族関係を築こうと努力している。



緒方副社長

年令は50代半ば。『小嶋技研』で副社長を務めている。
2千人の社員を束ねる重責にありながら、業務よりも私用を優先させるところがある。
あくまで噂だが、出資銀行と大株主と結託し、次期社長の座を狙っているとも?



山下課長

今年42になる卓造より5才は若い新任課長。
卓造の後輩として入社したが、今では立ち場が逆転し、彼の上司である。








エスカレーターの狭間で…… 登場人物紹介

























【登場人物 紹介】




大橋怜菜(おおはし れな)

B82ーW55ーH83
本作品のヒロインであり、あどけなさを感じさせる美少女。
女子大生だが、駅地下街で清掃のアルバイトをしている。
性格は、おとなしく真面目。尚、頼まれ事をされたら嫌と言えないとは、本人の弁。





独り身のサラリーマン。
多少いい加減で、かなりスケベな性格。
昼食を終え会社へと戻る途中に、階段を清掃する怜奈を見かける。









闇色間セレナーデ 第1話  闇に溶け込む白い裸体


























【第1話】




人通りの途絶えた深夜の裏通りを、ひとりの男が歩いていた。
ただし異様なほど無駄の多い歩様である。
幅3メートルほどの道路をジグザグに移動しては、道端に立ち並ぶ電柱にタッチするように身体を接触させて、反対側へと弾かれていく。

「うぃー、ひっく……ひっく……」

そう。この男、佐伯卓造は酒に酔っていたのだ。
会社帰りに、行きつけのスナックでビールの大瓶を5本ほど空けたまでは覚えている。
けれども、その後の記憶は白いモヤに包まれたように思い出せていない。

気が付けばこうして、家路に向かって歩いている。
本人の目線に合わせれば真っ直ぐに。
第3者の目線に従えば、溝にはまらないのが奇跡というレベルの千鳥足で。

「ちっくしょー! やまんした課長めぇ。なーにが佐伯君だぁ。年下のおめぇにクン読みされてよぉ、肩に手ぇを置くなぁってんだぁ。だいたい、やまんしたぁ。おめぇの尻拭いを誰がぁ、したと思ってんだぁ。おぉぅっ……ひっく……」

卓造の愚痴と共に吐き出される酒臭い息が、真冬の大気に触れて白く反応する。
節分を目前に控えた氷点下の風が、だらしなく着込んだコートの隙間に潜り込み、アルコールで温められた肌から貴重な体熱を奪っていく。

「うぅぅっ、さむぅ……だれだぁ、俺っちの胸元にぃ、手ぇ突っ込む奴はぁよぉ。ま、女ならぁ……ひっく……許してぇやるけどよぉ」

普通の酔っ払いレベルなら、この辺りで素面に戻るものだが、この男は違った。
月に一度の給料日の夜になると、浴びるほど酒を飲んでは何もかも忘れ、仕事の憂さを晴らしているのだ。

卓造は、中堅規模の文房具卸売会社で営業畑20年のベテランだが、融通の効かない性格からか出世は遅れ、今では窓際族候補生と陰口を叩く者さえいる。
今年で42になるが、未だに独身である。
そこそこ背も高くルックスも悪くないのだが、不思議と女運には恵まれず、これまで5度の恋愛を経験したものの、身の周りの世話から夜の営みに付き合ってくれる妻というパートナーはついに現れなかった。
その代わりといってはなんだが、アパートに帰れば、連れ添って8年になる三毛猫のミニィが待ってくれてはいるが。
もちろんメス猫である。



「ひっく……ひっく……」

千鳥足ながらも、スナックを後にして1キロほど歩いた頃だった。
目指すアパートの明りが、素面なら遠目に確認できる程になって、卓造の耳は聞き慣れない音を拾った。

ぼそぼそと話す若い男の声と、これは女のものだろうか。
ハードな運動でもしたかのような激しい息遣い。それに、耳障りなモーターの音も。

(なんだぁ、いったい?)

気にならない訳ではないが、酔いの回った卓造にそれを詮索する気力など持ち合わせていない。
立ち止まろうともせずに、ヨタヨタとした足取りのまま更に数メートル歩いた時だった。
今度は、視野の隅っこに人影のようなモノを捉えたのだ。

「誰かぁ、立っていやがる」

狭い路地通しが交差する十字路に差し掛かっていた。
その進行方向の左側。ここから数10メートル離れた所で、長身な男が紐状のようなモノを引っ張るようにして佇んでいる。

「ふーん、犬の散歩ねぇ。寒い中ぁ、ご苦労なこって」

ご苦労なと言うわりには、全然同情のない口ぶりでそう呟いた卓造は、虚ろな目でその人影を眺めていた。

真っ暗な道端に取り残されたような街灯がある。
その光の輪から少し距離を置いて立つその男は、卓造が『犬の散歩』と言わせたように、路面にうずくまった白い物体に視線を落としていた。

(ションベンでもさせているのかもしれんが、この吹きっ晒しの風に当たって、飼い主だけじゃない。犬だって可哀想に)

アルコールが回っている割には、妙にそこだけ冷静になれた卓造だった。
しかし長居は無用とばかりに、再び歩き出そうと前を向いた。
年季の入った皮靴が一歩踏み出そうとして……なぜかその足が止まった。

上半身を捻る形で、もう一度その男を見つめていたのである。
正確には男ではなく、男が連れている真っ白なペットの方を。

(あれは……犬なんかじゃねぇ。そう、あれは……!)

卓造は上半身だけではない。下半身も捻っていた。
左向け左をすると、帰り道から外れて真っ直ぐにペットを連れた男の元へと向かった。
リードを引き寄せるようにしてペットを立ちあがらせ、卓造に背を向けようとする人影を、いつのまにか懸命に追い掛けていた。

「おーい、待ってくれぇ」

足がもつれそうになりながらも、確実に目標としたモノとの距離は縮まっていく。
そして耳障りなモーターの音は、はっきりと聞き取れるほど大きくなり、激しい息遣いがやはり女のものであることを認識する。

「こんばんわ。寒いですね」

見た目20代半ばの男は、卓造が到着する前に向き直り、悠然とした態度で口を開いた。

「あ、あぁ……こんばんわ。それよりも、アンタ。これは?」

酔いはかなり冷めていた。
卓造は歯切れの悪い口調でそう返事すると、それを補うように足元で固まっている白い肌をしたペットを指さしていた。

「え? あぁ、これですか。こいつは僕の飼っているメス犬で、名前をチカって言うんです」

「メス犬ってアンタ。こ、これはどう見たって、そのぉ……女の子だろう?」

「女の子? まあ人間の年齢に直せばチカも17才くらいだから、当たっているといえば当たっているけど。おじさんって、変わった表現しますね。ちょっとお酒臭いし、酔っていらっしゃるでしょ」

ダウンジャケットを着込んだ男は、赤ら顔の卓造をじっと見るなりそう言うと、顔を伏せたまま震えているチカの首筋を撫で始めた。

うなじの上あたりで真っ直ぐに切り揃えられた黒髪。
その直ぐ下で純白の肌に喰い込む、なめしの効いた本皮製の首輪。

(俺は……何を見ているんだ? 人間の少女? それとも……メス……犬? イヤ、そんなわけはない。いくら酔っ払っているからって、犬と人間を見間違えるなんて?!)







闇色のセレナーデ 第2話  メス犬の衣装


























【第2話】




口を開けばアルコールの匂いはするが、酔いは醒めていた。
それだけに許せないのである。
いつも損な役割ばかりを押し付けられるチッポケナな正義感が、ムラムラと沸き起こってくる。

「アンタ、冗談もほどほどにしろよ。女の子にこんなひどいことをするなんて」

卓造は若い男を睨みつけたまま羽織っていたコートを脱ぐと、それを少女の背中に掛けてやる。

「ちょっと待ってくださいよ。メス犬を散歩させただけで、ひどいことなんて。ねぇ、チカもそう思うだろ?」

そんなチカと呼ばれる少女の脇に男はしゃがみ込んでいた。
そして、彼女の耳元に顔を寄せると何事か話しかけている。

数秒もしないうちに、四つん這いの少女は、持ち上げかけた首を力なく項垂れさせていた。
その姿を目で確認した若い男が、勝ち誇った表情のまま立ち上がる。

(こいつ、あの少女に何を話した?)

卓造が怪訝な表情を浮かべたその時だった。

「んんっ、は、はぁ……いりません、こんなモノ」

少女は細い肩を揺らせると、卓三が掛けてやったコートを払い落していた。
寒々とした路上に再び白い肌を露出させる。

「ふふふっ、そういうことです。メス犬に服なんて必要ないですからね。それに震えているのは、なにも寒いだけではないですよ。ねぇ、チカ」

唖然とする卓三だが、男の方は気にする風でもなく少女に語り掛けていた。
まるで彼の行動を待っていたかのように、更に何事か追加で囁きかけてみせる。

「んんっ……はあぁぁっ……」

甘い吐息を吐きながらも、男を見上げたチカはイヤイヤをするように首を振った。
美しいというより愛らしく整った顔立ちを、悲痛なほど歪ませて、目尻にはたっぷりと涙を浮かべて。

けれども、その抵抗は長くは持たなかった。
リードを握る男の目に冷たい炎が宿ると、少女は諦めたように目を伏せ、身体の向きを反転させていく。
キュッと引き締まった未成熟なヒップを曝け出していた。

「……イヤ……見ないで」

チカが初めて人の言葉を吐いた。

「お、おい……そんな……嘘だろ?!」

卓三は声を上ずらせて唸った。

「くくくっ……どうです、おじさん?」

若い男は、喉の奥で笑いながら訊いた。

本当は目を逸らせないといけないのだろう。
けれども卓三の両目は、少女の下半身に釘付けになったまま離れようとしない。

おぼろげな街灯の明りを受けて、剥き身のゆで卵のような双丘を。
その下に潜む女の部分。柔肉の狭間を。
その恥肉のスリットを貫いている……?!

ヴゥーン、ヴゥーン、ヴゥーン……

「どうです、おじさん。チカが震えている理由がお分かりになりましたか?」

「あ、ああぁ……確かに……」

少女自身がずり落としたコートの件が尾を引いているのかもしれない。
卓三は曖昧ながらも頷いていた。

「でしょう。よかったね、チカ。オマ○コから生やしている尻尾を認めてもらえて」

「あはぁぁっ……ダメェ、んんっ……はふぅんんっっ!」

それは、バイブだった。
グリップだけを残したバイブが、サーモンピンクの亀裂を割り拡げるように、深々とヴァギナに突き刺さっていたのである。

「いつから、散歩を?」

「そうですね、1時間ほどでしょうか」

「えっ! 1時間も、バイブを挿入させたまま散歩を?」

淡々と話す男の説明に、卓造は衝撃を隠せなかった。
そして男を習い自分もしゃがみ込むと、潤いすぎたチカの股間を凝視する。

なるほど、男が話す1時間は嘘ではなさそうだった。
呻りながら小円を描くグリップの先で、おそらく膣肉は相当掻き回されているのだろう。
おびただしい量の愛液が割れ目の縁から溢れ出し、内股から膝のあたりまでをべっとりと濡らしている。
邪魔な北風が吹き付けなければ、ここまで淫水の匂いが届きそうな具合だった。

俺と出会うまでに、この少女は何回気をやったのか?
人通りが途切れたとはいえ、俺みたいな酔っ払いの目を気にしながら、惨めな姿を晒して。
吹きっ晒しの寒風の中で。

(いったい、この男は何者なんだ? どうして、このチカって少女はこんなバカげたプレイに付き合っているんだ? どう見ても本意とは思えないが)

ズボンのフロントを膨らませたまま、至極当たり前の疑問を展開させる卓造。
だがその疑問の答えを探し出す暇はなさそうだった。

ヴゥーン、ヴゥーン、ヴゥーン……
じゅにゅ、じゅにゅ、じゅにゅ……ぬちゃ、ぴちゃ……

「だめっ、あっ、あぁぁっっ……イク、イク……イキ……ます……イヤァァァッッッ!!」

お腹に溜まった空気を全部吐き出して、チカが絶頂したのだ。

男と卓造の真ん前で、唸るバイブを脂肪の付ききっていない太股が挟み込んでいる。
美しい背中のラインが湾曲し、せり上がった両肩がブルブルと痙攣する。

どぴゅ、どぴゅ、どぴゅぅぅっっっ!!

「ううっ……はあぁ……」

それを目の当たりにした卓造は、下半身がすっと解放されるのを感じた。
不覚にも、バイブで昇りつめた少女に感化されて射精していたのである。
それも、ズボンの中で。

「どうも驚かせてしまったようで、すいません。ホント、盛りのついたメス犬を管理するのは、骨が折れるんです」

泣き腫らしたように真っ赤な瞳のまま、チカは肩で息をしていた。
その少女の花弁では、今もバイブが暴れ続けている。
次の絶頂の準備に移ろうと、蕩けそうな秘肉を刺激し続けているのだ。

「では、失礼します」

男は、唖然とする卓造を残して去って行った。
四つん這いのまま腰をくねらせるチカを引きずるようにして。

「夢にしちゃあ……出来過ぎだよな……」

卓造は、冷たくなったズボンの前を手で拭った。







闇色のセレナーデ 第3話  運命の出会い


























【第3話】




あの衝撃的な夜から卓造の様子が変わった。
周囲は気付いていないようだが、チカという少女の痴態が目に焼きついて離れなくなったのである。

それ以降も卓造は、会社帰りにわざわざ時間をつぶしまで、深夜のあの時間、あの場所で待ち続けたみたものの、結局出会うことはなかった。
しかし、出会えなければ忘れられるといった甘いものではない。
かえって『もう一度あの少女を』の想いは更に強まり、次第に仕事にも身が入らなくなっていたのだ。
そして、1カ月が過ぎた頃……



「佐伯君、ちょっと!」

卓造は、課長の山下に呼ばれた。
慌てて席を離れると、棒グラフの記されたホワイトボードを睨むその男の元へ向かった。

(どうせまた、嫌みを言うつもりだろう)

ここ最近の恒例行事になりつつある課長の呼びつけに、歩きながら溜息を吐いてみせる。
もちろん、胸の中で。

「今日は、はっきりと言わせてもらいます。佐伯君、この成績を見て恥ずかしいとは、思わないですか? 営業畑20年のアナタが、どうして我が営業3課で最下位の成績なのです。今年入社したばかりの鈴木君にまで抜かされて……」

今年42になる卓造より5才は若い新任課長は、それでも先輩を敬うつもりなのか、多少は配慮した言葉遣いだった。
しかし、刺のある本音をづけづけとぶつけてくるのには変わらない。
まあ、営業3課15名の中で断トツの最下位では、申し開きひとつできないのだが。

「アナタも知っていると思いますが、我が社は現在、非常に厳しい状況にあります。このままだと、佐伯先輩……いえ、佐伯君。アナタの身の振り方も考えなければならなくなりますよ」

「えっ! いえ……それは困ります」

「そうですよね。ですからお願いします。どうか、私を悩ませるようなことをしないで下さい」

『どうせ、いつもの』と、高を括っていた卓造の予感は、ものの見事に外れていた。
長年の付き合いから、その男の目を見れば、言葉以上に自分の置かれている状況が危ういことは察しがつく。

(だからいって、どうしろというんだ。でもこのままだと……リストラ?!)

肩をすくめる卓造に向かって、チラチラと覗き見ては囁き合う冷たい視線が浴びせられる
だが、それにも気付かないほど、卓造は追い詰められていた。



(今更飛び込みで名刺を配ったところで、どうになる? だからといって、俺が握っている顧客だけでは……)

卓造は当てもなく繁華街を歩いていた。いや、彷徨っていたという方がしっくりとくる。

今から成績を挽回するとすれば、おそらくは2千万規模の受注を、それも短期で獲得しないと間に合わないだろう。
けれども、そんな気前のいい仕事を世話する者など、どう考えても思い浮かばない。
それもそのはずである。
元来、気弱でここぞという時の押しが弱い卓造には、両手の指があれば足りるほどの得意先しか持ち合わせていないのだから。

日が西に傾いてきた。
どこをどう歩いてきたかさえ分からないまま、閑静な住宅街に迷い込んでいた。
並び建つ家はどれも、威圧感のある門構えが象徴の豪邸と称されるものばかりである。
6畳一間と、お情け程度のキッチンが全てのオンボロアパートに暮らす卓造にとって、ここは踏み入れてはならない別世界である。

(こいつら、いったいいくら溜め込んでるんだ? いっそのこと有閑マダムを相手に、学習ノートと鉛筆の飛び込みでもするか? 消しゴムでもオマケにチラつかせて)

余りにものバカらしい策を思いついた途端、卓造は苦笑いを浮かべた。
そして、ツマラナイ誘惑を断ち切ろうと足を速めかけた時。

「見つけた! 間違いない、あの子だっ!」

思わず卓造は声をあげた。
チカと呼ばれ、メス犬として四つん這いで歩かされていて少女が、十字路から突然姿を現したのだ。
ちらっと横顔を覗かせた後、卓造の前を歩き始めたのである。
ただし2足歩行で、この街の住人なら誰でも知っている超有名私立高校のセーラー服を身に纏ってはいるが。

その少女は、まるでバレリーナのようにしなやかな足取りで歩いていた。
後ろを振り返ることもなく、卓造にも気付いていない風である。

(家に帰るつもりか? だったら、後をつけてやる)

尾行して、どうするつもりなのか?
答えは見つかっていない。
その少女を目にした途端、心臓が鷲掴みされたように鼓動を激しく打ち鳴らし、その他の思考回路を遮断していたのである。
男の本能に突き動かされている。これが正直なところだろう。

「どこのお屋敷に住んでいるんだ? あれか? それとも、こっちか?」

卓造の素人丸出しの探偵ごっこにも、少女は反応しない。
アスファルトに引かれた白線ラインに添って、真っ直ぐに歩き続けている。

そして、閑静な高級住宅地の更に奥まった地区にまで来た頃、少女のバレリーナのような足取りが急に乱れ始めた。
要するに、歩様が重くなったのである。

(ん、どうしたっていうんだ? 様子が……)

卓造がその異変に気付いた時には、少女の足は完全に停止していた。
明治時代を彷彿させる白亜の洋館を前にして、身構えるように立ち尽くしているのである。

やがて少女の顔が次第に上向き、館の2階。半円を描くように突き出たバルコニー付きの一室へと視線を走らせる。
夕闇を写し込む窓ガラスへと……

「なっ?! アイツは? あの男は確か……」

そう、忘れられるわけがない。

少女が見上げ、卓造の視線が追った先には、冷たい瞳を湛えたチカの飼い主が立っていたのだ。
こちらを見下ろすようにして……








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