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見果てぬ夢 2  INFORMATION







【小説 見果てぬ夢 2  ご案内】


        典子の見果てぬ夢。
        それは亡き夫と共に築いてきた、かけがえのない想いを守り実現するため。
        拓也の見果てぬ夢。
        それは誇り高き自分を傷つけた者たちへの復讐。己のプライドを満足させ
        るための野望。
        そのために、男は女の身体を踏み台に夢を掴もうとする。
        女は、その成熟した身体を差し出す見返りに、男の野望に微かな期待を寄
        せる。

        半年前に愛する夫を亡くした岡本典子。
        理不尽な派閥争いに巻き込まれて左遷させられた典子の元恋人。河添拓也。
        互いの心が開かれないまま、男と女は絡み合っていく。
        それぞれの『見果てぬ夢』実現のため。
        そして今、典子と拓也。
        このふたりの男女をなぞるように、新たな男と女がもがき苦しみながら報
        われない愛を追い求めていく。
        おぼろげでしかない、夢を掴み取ろうとして……

        この物語は、4人の登場人物の視点で描くザッピング形式をとっています。
        夢と現実の狭間で揺れ動く男女の心理を、ぜひお愉しみくださいませ。




● 目次をクリックすればそのページへ飛びます


                   登場人物紹介

            第1話    戻れない……あの日……              
         
            第2話    シャワーを浴び続ける理由                

            第3話    尾行ターゲットは、副社長の娘

            第4話    お願いします……美里を抱いてください
             
            第5話    バスタオルを落として、身体を回転させて
             
            第6話    処女な女の子は、自分から股を開くの 

            第7話    バージンを隠していて、ごめんなさい 

            第8話    時が操れるなら……美里は…… 

            第9話    たった一人のお父さんだったのに……

            第10話   公園に佇む美しき裸像

            第11話   運命の人は、砂埃の中にいた

            第12話   ようこそ♪ 陰謀渦巻く開拓地へ 

            第13話   アナタに覗かれながら慰めます その1 

            第14話   アナタに覗かれながら慰めます その2 

            第15話   アナタ……ただいま……     
 
            第16話   今夜のディナーは、どちらで?

            第17話   オブラートに包まれたふたり

            第18話   絶望の淵に現れた白馬の王子様
 
            第19話   重なり合う二人の想い 

            第20話   明かされる陰謀  

            第21話   余興の宴はエロ水着で……    

            第22話   成熟ボディ狂騒曲 

            第23話   唇から零れる白い残液  

            第24話   女体盛り  

            第25話   すれ違い……男と女……    

            第26話   懐かしい香り 

            第27話   新しい飼い主は誰?   

            第28話   リモコンローターの響き 

            第29話   フェラチオ3分! 尻叩き5発!  

            第30話   親が親なら娘も娘 

            第31話   極太ディルドを跨いで   

            第32話   典子の見たモノ&拓也の見た現実

            第33話   夢の終点

            第34話   女のケジメ 男の覚悟

            最終話   両腕を伸ばせばそこに~見果てぬ夢




【本文より抜粋】


        「どうしたの? 自分から誘っておきながら緊張しているの?」

        目を閉じたまま話しかけてきた男の人……黒川さんに、わたしは素直に頷
        いていた。
        声に出さないと伝わらないのに、黒川さんが薄眼を開けていることに期待
        して、そのままじっと立ち尽くしていた。

        どうしよう?
        このままベッドに上がって、彼の隣に寝転べばいいの?
        横になって、お人形のように身を固くしていれば、彼の方がリードして抱
        いてくれるの?

        「美里、身体を見せてくれないかな?」

        「……はっ! ……はい……」

        そんなわたしの迷いを黒川さんの一言が吹き飛ばしてくれた。
        『美里』って下の名前を呼び捨てにされて、心臓がドクンって鳴って……
        『身体を見せて』で、その心臓を鷲掴みにされて……

        それでもわたしは頷いていた。
        今度は掠れた声だけど、『はい』って素直に答えていた。

        そして身体に巻き付けたバスタオルを解こうと、おっぱいの左上に右手を
        移動させる。
        きつく挟み込んだバスタオルの端を引き抜くようにして外した。

        あとはこの手を放すだけ。そうすればバスタオルが勝手に床に落ちて、美
        里の身体を……

        「まだかな、美里? 早くキミの身体を見せてよ」

        ここまでして躊躇するわたしに、黒川さんがせっついてくる。
        美里と一緒。ちょっと掠れた声で、それにバスロープに覆われた下腹部を
        大きく膨らませたまま。

        ファサッ……!

        「は、ああぁぁ……んんっ……」








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見果てぬ夢 2  登場人物紹介






















【登場人物 紹介】



          岡本 典子(おかもと のりこ)   

        本作品のヒロイン  88ー58ー87  25才 非処女
        3年前、職場で知り合いになった博幸と結婚。パン屋の経営を夢見る夫
        ともに昭和の面影を残す下町に移り住み、苦労の末ふたりの夢を実現す
        る。
        だが夫である博幸が、街の再開発計画に翻弄され他界。
        ふたりの愛した街並み。ふたりの夢の結晶であるパン屋を守るため、偶
        然再会した昔の恋人である河添拓也に自らの身体を提供する。
        もうひとりのヒロイン篠塚美里とは、『ベーカリーショップ 岡本』を
        立ち上げて以来の親しい間柄。
        家族の情に薄い美里を自分の妹のように可愛がっている。



          篠塚 美里(しのづか みさと)

        本作品のもうひとりのヒロイン  79ー55ー81  処女
        有名子息令嬢が通う、私立宮下学園に在籍。現在2年生。
        クラブ活動は陸上部に所属。主に中距離走を得意として、インターハイ
        でも上位の成績を残している。
        性格は勝気な面があるものの、誰とでも分け隔てなく付き合えることか
        ら、クラスでもクラブでもマスコット的存在。
        父親は時田グループ副社長である篠塚唯郎。母親とは5年前に両親が離
        婚後は会わせてもらえないでいる。
        なにかと親身になって寄り添ってくれるヒロインの岡本典子を、実の姉
        のように慕っている。



          河添 拓也(かわぞえ たくや) 

        時田金融グループに勤めるエリート社員で、典子の元恋人。26才
        高校時代はサッカー部に所属し、マネージャーを務めていた1年後輩の
        典子とは、そこで知り合い、お互い深い関係になったこともある。
        時田金融では出世街道を突き進むも、副社長である篠塚の陰謀に巻き込
        まれ、左遷。
        元恋人の典子の身体を利用して、己の野望の実現と自分を追い落とした
        篠塚への復讐を画策している。



          黒川 信人(くろかわ のぶと)

        まだ30才ながら、時田グループ建設部2課に所属する協力会社『株式
        会社黒川開発』を経営している。
        この会社を立ち上げる前は、興信所に勤めていたらしいが当時のことは
        本人が話したがらない。
        かなり優秀な探偵だったとの噂も……
        小柄で丸顔。日に焼けた黒い肌。性格はどちらかといえば温厚。
        調査対象の美里に惹かれ、彼女とは運命的な出会いをすることになる。



          篠塚 唯郎(しのづか ただお)

        時田金融グループ副社長であり、社内ナンバー2の実力者。
        現社長の時田謙一のワンマン経営に批判的で、社長派の力を弱めるため
        なら有能な社員でも左遷、解雇もいとわない冷酷な性格。
        密かに反旗を目論んでいるという噂も……
        河添を左遷した張本人であり、娘の美里とは血は繋がっているものの家
        族関係は希薄。



          岡本 博幸(おかもと ひろゆき)

        典子の夫で『ベーカリーショップ 岡本』の店主 既に他界
        3年前、典子と知り合いその後結婚。
        長年の夢だったパン屋の経営を、典子と共に苦労の末実現する。
        だが、店の経営が安定した頃に持ち上がった街の再開発計画に翻弄され、
        体調を崩し世を去る。
        生前は、おいしい『あんぱん』を目標に試作を繰り返していた。





戻れない……あの日……

















【見果てぬ夢  あらすじ】
  


        典子の見果てぬ夢。
        それは亡き夫と共に築いてきた、かけがえのない想いを守り、そして実
        現するため。
        拓也の見果てぬ夢。
        それは誇り高き自分を傷つけた者たちへの復讐。己のプライドを満足さ
        せるための野望。

        そのために、男は女の身体を踏み台に夢を掴もうとする。
        女は、その成熟した身体を差し出す見返りに、男の野望に微かな期待を
        寄せる。

        半年前に愛する夫を亡くした岡本典子(おかもと のりこ)は、絶望と
        悲しみに追い立てられるようにして懸命に生きてきた。
        夫と共に苦労して開業した店を守るため。
        夫と共に愛した街並みを再開発の嵐から守るため。

        99パーセント勝ち目のない戦いに挑むように、朝と夜の区別もなく働
        き続けて、やがてその気力さえ失いかけたとき、典子はひとりの男と出
        会う。
        その男は、河添拓也(かわぞえ たくや)
        典子が高校時代に、初めての身体を捧げた元恋人であった。

        拓也もまた、勤務する会社内での理不尽な派閥争いに巻き込まれて左遷。
        行き場を失い、傷ついた心を引きずったまま彷徨っていたのだった。

        そして再開まもなくして、典子は拓也に抱かれた。

        『俺の男を満足させてみろ。典子、お前の身体でな。
        ふふっ、そうだ。俺の命じるままに痴態を演じれば、お前の夢を叶えて
        やってもいいぞ』

        その後も、成熟した肢体を拓也のアブノーマルな要求に応えさせて、様々
        な痴態を演じる典子。
        だが、彼女の心の中には愛する夫の面影が生き続けていた。

        『どんなに身体を弄ばれても、心だけは穢されない』

        『だったら典子。お前のその身体、もっと利用してやろうじゃないか。
        この俺様のために』

        互いの心が開かれないまま、男と女は絡み合っていく。
        それぞれの『見果てぬ夢』実現のため。

        そして今、典子と拓也。
        このふたりの男女をなぞるように、新たな男と女がもがき苦しみながら
        報われない愛を追い求めていく。
        おぼろげでしかない、夢を掴み取ろうとして……







(1)



        篠塚美里の視点


        1年前のある日……

        「ここも再開発されちゃうのかな?」

        わたしは歩きながら、黒目がちの瞳を左右に走らせた。
        昭和の面影を色濃く残した街並み。
        車がすれ違うのがやっとの細い路地。
        その至る所で目に付くのが、街の再開発に反対するおびただしい看板の
        群れ。

        合板を真っ二つに切り裂いた感のある立て看板には、『再開発反対』と書
        き殴られたような文字が。
        また、威勢のいい声で呼び込みをする魚屋さんの入り口にも『時田の横
        暴を許すな』って。

        そうだよね。この街が変わっちゃうのは美里も反対かも。
        わたしのお父さんは、その時田グループで働いているけど、そんなの関
        係ない。
        鉄筋コンクリートのビルばかりが並んだ街なんて、息が詰まっちゃうも
        の。
        このお空だって……

        わたしはオレンジ色に染まる空を見上げた。
        明日も天気かな?
        お天気だったら、思いっきり走ろうっと。嫌なことをなんか全部忘れて。
        美里は走ることが大好きだから。

        グーぅぅっっ!

        やだな。お空を見てたらお腹が空いてきちゃった。
        こういうときは、迷わずに『ベーカリーショップ 岡本』だよね。
        あそこのあんぱんは絶品だし、それに典子お姉ちゃんも旦那様の博幸さ
        んも、とってもいい人だから。

        「おや、美里ちゃん。今、学校の帰り?」

        美里が買い食いしようとしているのが、バレちゃったのかな?
        お店の引き戸を開ける前に、博幸さんが顔を覗かせた。

        「あのぉ~、あんぱん……まだ、ありますぅ?」

        学校帰りって言葉が胸に刺さったけど、そんなことくらいで成長期の食
        欲は抑えられないの。
        わたしは博幸さんを見上げて、横目にお店の中も覗き込んでいた。

        「う~ん、せっかく寄ってくれたのに申し訳ない。あんぱんは、ついさ
        っき売り切れちゃって。ごめんね、美里ちゃん」

        「え~っ! あんぱん、売り切れちゃったんですかぁ。残念だなぁ」

        顔の前で両手を合わせる博幸さんに、お腹のムシも残念がっている。
        ググーって。

        「でもせっかく来てくれたんだし、美里ちゃん。さ、中へどうぞ」

        そんな美里に深く同情してくれたのか、博幸さんが引き戸を大きく開け
        てわたしを迎え入れてくれた。

        「おじゃましま~す。クンクン……いい香り♪」

        焼き立てのパンの香りに、わたしは鼻を上向かせた。
        美里の肌と一緒、小麦色をしたパンくんたちが、わたしを出迎えてくれ
        ている。

        「あら、美里ちゃん。お帰り」

        「ただいま、典子お姉ちゃん」

        お客さんを知らせるベルが鳴ったからかな?
        水色のエプロンをした典子お姉ちゃんが、顔を覗かせてくれた。

        「典子。美里ちゃんが来てくれたんだけど、もう、あんぱんは残ってな
        いよね?」

        「ええ、さっきのお客様で完売。あっ! ちょっと待っててね。確か試
        作品が……」

        典子お姉ちゃんはポンと手を打つと、また店の奥に消えた。
        ちょっと、そそっかしいところがあるけど、美里は典子お姉ちゃんがだ
        ーい好き。
        美人でスタイルが良くて、それなのに、とっても気さくで優しくて。

        お母さんのいない美里に、お母さんのように接してくれて。
        1人っ子の美里に、本当のお姉さんのように寄り添ってくれて、いろん
        な相談に乗ってくれて。

        血は繋がっていないのに、家族のよう。
        ううん、絶対に家族だよ。一緒に暮らしていなくたって。

        「美里ちゃん、このあんぱんを試食してくれないかな?」

        「えっ、いいの? わぁ、おいしそう♪」

        典子お姉ちゃんが持ってきてくれた試作品のあんぱんは、表面が艶々と
        輝いていて、とってもいい香りがした。

        「いただきま~す♪」

        パクっ……ムシャ、ムシャ……

        「どう? 美里ちゃん。おいしい?」

        典子お姉ちゃんが、お茶を差し出してくれた。
        その様子を博幸さんが、目を細めて眺めている。

        「ごく、ごく、ごく……ふぁぁ、こんなあんぱんを食べたの初めて。最
        高です♪ 美里お姉ちゃん、もう一個お代わり!」

        「あらあら、美里ちゃんは食いしん坊ね。でも、そう言ってもらえると
        嬉しいな。ね、博幸」

        「ああ、そうだな典子。美里ちゃんのお墨付きももらえたし、早速商品
        化決定だな。はははは……」

        「もう、博幸ったら、気が早いんだから。それに気が早いといえば、そ
        うだ。ちょっと美里ちゃん、これを見てくれる?」

        典子お姉ちゃんが、大き目の画用紙をわたしの前で拡げた。

        「えーっと、おいしい……焼き立てのあんぱん……あります……? 
        う~ん……」

        わたしは黒い墨で書かれた文字を口にした。
        ついでに唸っていた。
        お世辞にもあまり上手じゃない。
        美里も習字は苦手だけど、このレベルなら勝てるかも。
        それに余白に描いてある、丸いお饅頭のようなものって……もしかして
        あんぱん?
        でも湯気まで描いてあるし……

        「あんぱんはOKとして、でもこれはねぇ。博幸が張り切って作ってく
        れたんだけど……」

        「これって、博幸さんが……? う~ん、人は見かけに寄らないという
        か……」

        「おいおい、美里ちゃんまでなんだよ。そんなに俺って、センスないの
        かな」

        博幸さんが、顔を真っ赤にして頭を掻いている。

        「でも……いいかも? これを引き戸のガラスに貼り付けておけば、意
        外とお客さんの目に留ったりして」

        「そうねぇ、美里ちゃんの言うとおりね。ふふっ……」

        美里のアイデアに、典子お姉ちゃんの顔が綻んだ。
        隣では博幸さんが、ポカンとした顔で典子お姉ちゃんとわたしを見比べ
        ている。

        雲ひとつない澄み切った秋の夕暮れ。
        ほんわかとしていて、まったりとしていて……
        いいよね、こんなひと時。

        いつまでも浸っていたい。
        わたしはオレンジ色に染まった世界の中で、そう思っていた。






シャワーを浴び続ける理由

















(2)



        篠塚美里の視点


        「後悔なんてしてない。うん……美里は……決めたんだから」

        わたしはシャワーを浴びながら呟いた。
        熱めにセットしたお湯を全開にして、頭のてっぺんから滝のように流れ
        落とさせたまま、同じセリフを何度も何度も繰り返していた。

        口を開けるたびに、肌を伝うお湯が流れ込んでくる。
        天井を見上げるように首を反らせて、そのたびにむせ返した。
        肺の中にまでお湯を侵入させて、激しくせき込みながらも、同じポーズ
        でシャワーを浴び続ける。

        バスルームが真っ白な霧に覆われても、まだダメなの。
        美里の身体から、世間知らずな女の子の匂いを消し去られるまで。
        振り子のように揺れ動く美里の決心が、固定されるまで。

        ふふっ。わたしったら、シャワーを浴び続ける理由を探しているだけじ
        ゃないのかな?
        たぶん解決しない難問を無理に作り出して。
        あの人が、首を長ーくして待っているかもしれないのに……

        「でも……ちょっと上せてきたかも。早く身体を洗って出ようかな?」

        気まぐれな振り子が大きく傾くのを待って、わたしは呟いた。
        頭に刻み込まれたセリフじゃない言葉を、このバスルームに入って初め
        て口にした。

        そして、ボディーソープが滴りそうなタオルで身体中を擦り上げていく。
        両腕も両足も背中も、最近、急に大きくなったおっぱいだって、キュッ
        と引き締まったお腹も……

        特にアソコの部分は念入りに。
        普段はそこまで丁寧に洗わないのに、石鹸でヌルヌルの指を使って割れ
        目のヒダの奥の奥まで。
        そうよ。ちょっと怖いけど、膣の入り口から指先だけ突っ込んでクルク
        ルって洗うの。

        「ここも、きれいにしないと……」

        最後に美里の指が向かった処。
        それは割れ目の先端からピンク色の頭を覗かせている、ちっちゃなお豆。
        クリトリス。

        ちょっと触れただけでも痛痒いような電気が走っちゃう、美里のとって
        も感じる処。
        でもこの部分はよく洗わないといけないって、雑誌とかにも書いてあっ
        たし、わたしもそう思ってる。
        だからいつも、勉強のこととかテストの成績とか、暗~くなりそうなテ
        ーマを思い浮かべては、指先をくちゅくちゅ動かすの。
        そうすれば、変な気分にならないで済むでしょ。

        だけど今夜は……

        「……んんっ……はあぁ……ダメ……なのに」

        思わず甘い声を漏らしちゃった。
        人差し指と親指がクリトリスに触れているから、いつものように想像し
        てあげたのに。
        美里、どうしちゃったの?
        勉強のこともテストのことも思い浮かぶ前に消えちゃうよ。

        代わりに映しだされるのは、筋肉を盛り上がらせた男の人の裸体。
        モザイクに包まれているけど、反りかえって凶器みたいにそそり立つ男
        の人のシンボル。
        その男性がこのシャワールームのように、その姿をおぼろげなシルエッ
        トにして美里を抱きしめてくる。
        おっぱいを揉まれて、アソコを弄られて、とっても気持ちよくさせられ
        る。
        硬いモノが大切な処に触れて、割れ目の中に吸い込まれていって……

        「ああっ……は、はあぁ……指が勝手に……」

        わたしは石鹸に塗れた指で、クリトリスをくちゅくちゅしていた。
        もう、ここを洗っていたことなんて忘れかけている。
        ひとりエッチしている時のように、硬くなってる突起を指で転がして、
        エッチな気分に浸らせようとしている。

        美里の心を……?
        なぜ? どうしてこんな所で?

        わからないよ、そんなこと。
        なんとなく、わかるような気がするけど、でもこれ以上考えると自分自
        身が惨めになっちゃうかも。

        「ふあぁっ、はあぁっ……だめよ美里。これ以上は……」

        わたしはクリトリスを弄り続ける指たちを、なんとか引き剥がした。
        オナニーという形で現実逃避しようとする、気弱な美里をメッってして
        あげた。

        「ホントにホント。上せちゃうかも」

        火照った身体をごまかすように、シャワーの温度を下げる。
        真水に近い冷水で一気に身体を冷ますと、そのままバスルームを後にす
        る。

        そして洗面台の上に、乱雑に放置された衣類の塊を見つめた。
        今日一日、学校という場所で身に着けていた制服に目を落としていた。

        「どうしようかな? パンツだけでも穿こうかな?」

        頭に浮かんだものをそのまま口にして、蓋をするように覆いかぶさるチ
        ェック柄のスカートを取り除いてみる。
        小さなイチゴがプリントされた薄い布を掴もうとして、その手を止めた。

        「やっぱりパンツなしの方がいいかな。穿いたって、どうせすぐに脱が
        ないといけないから」

        自虐に満ちた笑みが浮かんだ。
        わたしはその気持ちが萎えないうちに、素肌の上からバスタオルだけを
        巻き付けた。

        高鳴る心臓をなだめるように深呼吸を繰り返す。
        急速冷凍されたように強張る顔の表情筋を解きほぐして、ドアのロック
        を外した。

        「後悔なんてしてない。うん……美里は……決めたんだから」

        わたしは、あの人が待つ部屋に足を踏み入れていた。






尾行ターゲットは、副社長の娘

















(3)



        黒川信人の視点


        俺はクッションの効きすぎたベッドに寝転んで、天井を見上げていた。
        5分……10分……20分……30分……
        要するに、あの娘がバスルームに消えてから、ずーっとってことだ。

        初めのうちは、壁一面を覆う窓ガラスからの夜景に見とれていたが、い
        つのまにか興味が消え失せていた。
        それは内装に関しても同じだった。
        向かい合うように配置された、高級感漂うひとり掛けソファー。
        シックな黒を基調とした木目が美しいキャビネット。
        裸足で歩くことまで想定しているのか、肌触りが心地よい絨毯まで。
        俺の中での感動は、そう長続きはしなかった。

        河添課長が手懐けている岡本という女も、このホテルで抱いたと聞いた
        から利用してみたが……
        俺のような零細企業の社長には、分不相応ってやつかもしれない。

        「それにしても、あの娘……本気で俺に抱かれるつもりか?」

        このベッドに横になってから、この言葉を何回口走っただろう?
        同時に、濃紺のブレザーに身を包んだ少女の姿が、思い返されてくる。

        『お、お願いします……わたしを……み、美里を抱いてください。
        美里とその……セ、セックスしてください!』

        熟れたリンゴのように頬を赤く染めて、薄い唇をわなわなと震わせなが
        らも、はっきりとした口調で少女は言った。
        夕暮れ時の人通りの途切れた道端で、俺はその気迫に押されるように頷
        いていた。
        いや、可憐な少女の大胆な告白に、俺の男が突き動かされていた。
        そうに違いない。

        ふっ、まさかこの俺が……?
        元、興信所あがりのこの俺が……?

        謎が謎を呼び、それが脳ミソを溶かすように渦を巻いている。
        俺はその渦から這い上がる糸口を探ろうと、これまでの経緯を思い返し
        ていた。



        それは1週間ほど前のこと……

        「黒川、この娘を頼む」

        俺は上司である河添課長から1枚の写真を手渡され、簡単な指示を受け
        た。
        頼むとは、要するに写真の娘を尾行し、素行を調査しろということだ。

        「ですが、この娘さんは副社長の……?」

        そこまで口にして、俺は声を消した。
        おそらくだが、この人は写真の彼女を利用して、自分を陥れた副社長に
        復讐しようとしている。
        そのために彼女の身体を奪って……

        「それでいつ頃までに?」

        俺は顔を引き締めると、会話を元に戻した。

        「なるべく早く頼む。なーに、その間のお前の業務は気にしなくても大
        丈夫だ。俺がお前の分まで面倒を見てやる。
        帰ってきたら、仕事が倍増しているかもしれんがな」

        そう言うと、課長は白い歯を見せて豪快に笑った。
        日焼けした現場主義の肌に、輝くような前歯のコントラストがいかにも
        この人らしい。
        そう思った俺も、つられるように笑い声をあげた。

        この上司と出会って、まだ3カ月余り。
        だが、この人になら自分の人生を賭けても構わない。
        ここ最近の俺は、そう思い始めていた。

        そして、その日から俺の特命業務が開始されることになる。

        篠塚美里(しのづか みさと)
        私立宮下学園に在籍、現在2年生。学業成績は平均値よりやや良。
        クラブ活動は陸上部に所属。
        主に中距離走を得意とし、インターハイでも上位の成績を残す。
        性格は勝気な面があるものの、誰とでも分け隔てなく付き合えることか
        ら慕う者多数。

        「要は勉強もそこそこ出来て、運動神経抜群。おまけにクラスでも、ク
        ラブでも人気者ってやつか」

        調査を始めて2日。
        俺は宮下学園の裏門脇に待機しながら、ターゲットの基礎情報を読み返
        していた。
        そのうえで、写真の中の彼女とイメージを重ね合わせていく。

        陸上に打ち込んでいるせいか、首筋をすっきりとさせたショートカット
        の髪型。
        健康的な小麦色の肌をした面長な顔立ち。
        勝気な性格を表す、やや縦長の意志の強そうな瞳。
        薄いながらもぷっくりと膨らんだ、穢れを知らない桜色の唇。

        「天は全ての者を平等に……って、わけではなさそうだな」

        初めてこの写真の少女を目にした時からそうだった。
        三十路に差し掛かったこの俺が、こんな乳臭い少女に惹かれるなど……

        有り得ない!
        そう、有ってはならないはずだったが、胸の中がざわつくのを抑えられ
        なかった。
        はるか昔に感じた淡い恋心を思い出させる、そんな美少女だった。

        だがな、ここからは真剣勝負のビジネスだ。
        元興信所勤めの俺が、ターゲットにほだされてどうする?
        それに、この娘の父親は『篠塚 唯郎』
        この国の金融界をリードする、時田グループ副社長の娘さんだ。
        課長と副社長の関係なら、俺も耳にしている。
        それだけに、今回ばかりは、相当性根を入れて努めないとヤバいかもし
        れん。
        俺も、命じた河添課長も……

        「おっ、出てきやがった」

        夕暮れ時の校門から姿を現したターゲットに、俺は身体を起こすと尾行
        を開始する。
        迫る暗闇と同化させるようにして。






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